中生代哺乳類の社会性

 中生代哺乳類の社会性に関する研究(Weaver et al., 2021)が公表されました。現在の有胎盤哺乳類には社会性を有するものが多いものの、産卵性哺乳類(単孔類)と有袋哺乳類は相対的に社会性を欠いていることから、哺乳類の祖先は約6600万年前に恐竜が絶滅するまで単独性の生活を送っていた、と考えられてきました。この研究は、アメリカ合衆国モンタナ州で発見された小型哺乳類の骨の堆積物について、異なる世代の複数個体が一緒に埋もれたもので、年代は後期白亜紀のものだった、と報告しています。

 また、これらの骨格は齧歯類サイズの多丘歯類哺乳類の新属のもので、Weaverたちにより「Filikomys primaevus(化石から解釈した行動にちなみ、「友人」や「隣人」を意味するギリシャ語のfilikósに由来)」と命名されました。この多丘歯類哺乳類は穴を掘るのによく適応した強力な肢を有し、これにより最大5匹の複数世代集団で同じ穴に生息していました。この研究は、ウサギのような現生の潜穴性社会性哺乳類の行動に基づき、この化石個体には血縁関係があったのではないか、と推測しています。この研究は、これらの化石が7500万年以上前の哺乳類の社会性行動を示す証拠になる、と結論づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古生物学:古代の齧歯類様の化石から哺乳類の初期の社会性行動が示唆された

 7550万年前のものとされる齧歯類様の多丘歯類哺乳類の化石標本に、同じ穴に生息していた複数個体の骨格が含まれていたことから、中生代には哺乳類に社会性があった可能性が示唆された。この知見について報告する論文が、今週、Nature Ecology & Evolution に掲載される。

 現在の有胎盤哺乳類には社会性を有するものが多いが、産卵性哺乳類(単孔類)と有袋哺乳類は相対的に社会性を欠いていることから、哺乳類の祖先は約6600万年前に恐竜が絶滅するまで単独性の生活を送っていたと考えられてきた。

 今回の論文で、Lucas Weaverたちの研究チームは、米国モンタナ州で発見された小型哺乳類の骨の堆積物について、異なる世代の複数個体が一緒に埋もれたもので、年代は後期白亜紀のものと記述している。また、これらの骨格は齧歯類サイズの多丘歯類哺乳類の新属のもので、WeaverたちによってFilikomys primaevus(化石から解釈した行動にちなみ、「友人」や「隣人」を意味するギリシャ語のfilikósに由来)と命名された。F. primaevusは穴を掘るのによく適応した強力な肢を有し、これによって最大5匹の複数世代集団で同じ穴に生息していた。Weaverたちは、ウサギのような現生する潜穴性の社会性哺乳類の行動に基づき、この化石個体には血縁関係があったのではないかと考えている。

 Weaverたちは、これらの化石が7500万年以上前の哺乳類の社会性行動を示す証拠になるものと結論付けている。



参考文献:
Weaver LN. et al.(2021): Early mammalian social behaviour revealed by multituberculates from a dinosaur nesting site. Nature Ecology & Evolution, 5, 1, 32–37.
https://doi.org/10.1038/s41559-020-01325-8