海鳥グアノ肥料により1000年頃から発達したアタカマ砂漠の農業

 海鳥グアノ肥料によりチリのアタカマ砂漠で紀元後1000年頃から農業が発達したことを報告する研究(Santana-Sagredo et al., 2021)が公表されました。この研究は、アタカマ砂漠で得られた紀元前1000~紀元後1800年頃のトウモロコシ・チリペッパー・ウリ・豆類・キヌア・野生地場果実の完全な標本を分析しました。その結果、紀元後1000年頃から窒素同位体値が大幅に上昇している、と明らかになりました。最も変化が大きかったのはトウモロコシで、窒素同位体値は30‰上昇していました。

 この研究は、同じ地域と年代範囲の800以上の既報のヒト同位体値を分析し、ヒトの骨のコラーゲンが同様の傾向をたどっていることも明らかにしました。さらに、炭素同位体値の有意な上昇も明らかになり、同時代にトウモロコシの消費量が増加した、と示唆されました。スペイン人が侵略する以前(先コロンブス期)のチリ北部の考古学的記録には、極端な乾燥条件では説明のつきにくい水準の農業の成功を示唆する、多様な作物が大量に保存されていたわけです。

 この研究は、こうした窒素同位体値の極端な上昇(考古学的植物に関しては世界最高の上昇)は、海鳥グアノを作物の肥料として使用したことに起因する、と推測しています。この研究は、「白い金」として知られる海鳥グアノ肥料の使用が、インカ帝国前における、農業の集約化と人口増加、さらにはこうした極端な環境条件ではあまり見られない社会の複雑性に強い影響を与えた、と指摘します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


農業:海鳥グアノが紀元1000年以降のアタカマ砂漠でのロバストな農業を促進した

 「白い金」として知られる海鳥グアノ肥料は、アタカマ砂漠の乾燥地域にありながら生産性が高かった、前インカ文明の農業システムに貢献した可能性があることを報告する論文が、Nature Plants に掲載される。この知見は、現在のチリ北部で紀元1000~1450年に大規模な人口集積地と社会が発達したことに光を当てるものである。

 世界で最も乾燥した砂漠に位置するロバストな農業システムが、数世紀にわたって前インカ文明を支えていた。スペイン人が侵略する以前のチリ北部の考古学的記録には、説明のつかないレベルの農業の成功を示唆する、多様な作物が大量に保存されている。

 今回、Francisca Santana-Sagredoたちは、アタカマ砂漠で得られた紀元前1000~紀元1800年のトウモロコシ、チリペッパー、ウリ、豆類、キヌア、野生地場果実の完全な標本を分析した。その結果、紀元1000年頃から窒素同位体値が大幅に上昇していることが分かった。最も変化が大きかったのはトウモロコシで、窒素同位体値は30‰上昇していた。Santana-Sagredoたちはまた、同じ地域と年代範囲の800以上の既報のヒト同位体値を分析して、ヒトの骨のコラーゲンが同様の傾向をたどっていることを明らかにした。さらに、炭素同位体値の有意な上昇も明らかになり、同時代にトウモロコシの消費量が増加したことが示唆された。

 Santana-Sagredoたちは、こうした窒素同位体値の極端な上昇(考古学的植物に関しては世界最高の上昇)は、海鳥グアノを作物の肥料として使用したことによるものだと考えている。彼らは、海鳥グアノ肥料の使用が農業の集約化と人口増加、さらには、こうした極端な環境条件ではあまり見られない社会の複雑性に強い影響を与えたと主張している。



参考文献:
Santana-Sagredo F. et al.(2021): ‘White gold’ guano fertilizer drove agricultural intensification in the Atacama Desert from AD 1000. Nature Plants, 7, 2, 152–158.
https://doi.org/10.1038/s41477-020-00835-4

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