大河ドラマ『青天を衝け』第11回「横濱焼き討ち計画」

 今回は、幕末の動乱の中で、栄一や長七郎のような農村知識層の青年の焦燥が描かれ、幕末のドラマらしくなっていると思います。最近取り上げた町田明広『攘夷の幕末史』に従うならば、この時点での栄一たちは、通商条約を直ちに破棄してそれによる列強との戦争も辞さない、とする「小攘夷」派に分類されるでしょう(関連記事)。栄一たちは横浜焼き討ちを計画し、江戸で武器を買い集めますが、おそらく栄一のような過激派が当時の青年で多数だったわけではなく、多くは日々の生活に懸命で、栄一の父のような考えだったのでしょう。栄一は生まれたばかりの長男を麻疹で亡くし、それも計画に前のめりになった一因でしょうか。新たに子が生まれた栄一は、それでも攘夷実行を諦めず、家族に意志を伝え、父は栄一の選択を認めます。ここは、息子をよく理解している父の決断が描かれ、ある種の理想の父子関係と言えるかもしれません。

 一方、徳川慶喜は攘夷を主張する島津久光に対して、攘夷の即時実行の不可を説きますが、こちらは「大攘夷」に分類されるでしょうか。この時の久光に対する突き放すような慶喜の対応は、後の両者の衝突・関係悪化の伏線でしょうか。京都では過激派が跋扈して治安が悪化し、慶喜も標的とされます。慶喜は三条実美たち過激派の公家の恐喝にも屈しませんが、この混迷した状況に苛立っています。そこへ平岡円四郎が一橋家に戻り、慶喜は喜び勇気づけられたようです。いよいよ栄一と慶喜との出会いも近づき、これまで別々に描かれていた栄一と慶喜の話が融合してどう展開していくのか、楽しみです。