白亜紀後期の小惑星衝突にさかのぼる現代の熱帯多雨林の起源

 現代の熱帯多雨林の起源が白亜紀後期の小惑星衝突にさかのぼることを報告した研究(Carvalho et al., 2021)が公表されました。日本語のサイトからの解説記事もあります。6600万年前頃となる白亜紀後期の衝突は、世界中の生態系に壊滅的な被害を及ぼしましたが、熱帯林に及ぼした長期の影響は謎のままでした。これはおもに、熱帯林における古植物学的調査が不足しているのが原因で、こうした問題を評価するのに必要なデータは供給され始めたばかりです。

 この研究は、コロンビアで発掘された花粉と葉の化石を用いて、衝突による南米の熱帯林の変化を調べたところ、種構成および森林構造が大規模に変化したことを明らかにしました。この調査結果によると、白亜紀後期の多雨林は林冠が開放していましたと。しかし、、地球上の生物種の75%近くが絶滅した白亜紀と古第三紀の境界(K/Pg境界)で、植物多様性が約45%減少するとともに、広範囲で絶滅が起きました。この傾向は種子植物でとくに顕著でした。その後の600万年間で森林は回復し、被子植物(顕花植物)が森林で優勢になりました。この変化により林冠が閉じて、植物の生物多様性が層状に垂直分布するようになり、現代の熱帯多雨林の形になりました。

 この研究などから得られた結果により、K/Pg境界衝突と絶滅事象からの回復および長期にわたる影響は多様で、クレーターからの近さや地域の条件(気候など)に大きく左右されることが実証された、と指摘されています。現在、世界は6度目の大量絶滅に直面していますが、今回は地球上のどこにいても最大要因である人類から離れることはできず、近接する摂動は、程度の差はあるにせよ、どこでも存在しており、今後も存在すると思われる、とも指摘されています。


参考文献:
Carvalho MR. et al.(2021): Extinction at the end-Cretaceous and the origin of modern Neotropical rainforests. Science, 372, 6537, 63–68.
https://doi.org/10.1126/science.abf1969

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