大河ドラマ『青天を衝け』第29回「栄一、改正する」

 栄一は明治政府に出仕することになり、伊藤博文と大隈重信の同意を得て、各省の垣根を超えた改正掛を設置し、前島密たちを呼んで改革に努めます。何を改革すべきか、優先順位をどうするのか、議論百出で容易にはまとまりませんが、栄一はこの状況を歓迎し、楽しんでいました。栄一は製糸業も担当することになり、これは後に尾高惇忠も深く関わることになるので、重要な描写だったかもしれません。惇忠も血洗島で養蚕の改善に励んでおり、弟が死んだことで負った深い精神的打撃から立ち直りつつあるようですが、明治政府への蟠りはまだ強いようです。それでも惇忠は栄一の誘いを受け入れ、政府の関わる製糸業に従事する決断をします。

 今回は、明治政府での栄一の活躍が描かれました。明治初期の混沌としていながらも活気のある様子と、何よりも郵便事業など近代化進展の様相が具体的に描かれているのはよいと思います。栄一はすぐに政府から去りますが、政府役人時代の経験が後の諸事業に活かされているでしょうから、役人時代の描写は重要だと思います。その意味で残念なのは、恐らくは当初の予定より回数が減り、明治編が短くなっただろうことです。やや気になるのは、大久保利通が陳腐な悪役として描かれているように見えることです。ただ、これまでの作風からして、大久保の意図も今後描かれ、単純な悪役に終わるわけではないだろう、と期待しています。