大河ドラマ『青天を衝け』第31回「栄一、最後の変身」

 今回は栄一の銀行立ち上げを中心に、喜作(成一郎)との再会や富岡製糸場の操業や栄一の浮気発覚などが描かれ、最後に栄一は大蔵省を辞めると決断し、民間での道を歩み始めることにします。栄一と喜作の再開は、両者の想いのぶつかり合いと和解という王道的な描写になっていましたが、悪くはなかったように思います。銀行の立ち上げは、癖の強い豪商との駆け引きもあってなかなか見ごたえがありました。明治初期の近代化は多様で複雑なので、その全貌を大河ドラマで描くことはもちろん無理としても、本作は栄一視点でなかなか丁寧な作りになっており、よいと思います。

 幕末から近代初期の大河ドラマらしい政治劇の描写は少なめですが、主人公の栄一が西郷隆盛や大久保利通や大隈重信ほどの政治的地位にあるわけではないので、栄一視点の作品と考えると、とくに不満はありません。栄一が大蔵省を辞めると決断したことに西郷隆盛との会話が大きく影響したことも、西郷のこの時点での立場と心情を踏まえて、なかなか上手く構成されていたように思います。民間人としての栄一の功績を描くには残りが10回と少ないのは残念ですが、今後も期待できそうと予感させる内容でした。