大河ドラマ『青天を衝け』第34回「栄一と伝説の商人」

 今回は栄一が岩崎弥太郎と初めて会い、その経済観をめぐって論争するところが中心に描かれました。貿易での買い控えに対する外国との駆け引きなどでも描かれてきた、栄一の合本への強い想いを前提としての、栄一と岩崎弥太郎との激しいやり取りで、ここは本作らしくしっかりとした構成になっていたように思います。岩崎は強烈な個性の持ち主として造形されており、本作終盤の重要人物に相応しい描写でした。栄一と岩崎の対立はかなり激しいものだったようなので、今回のような明確な対立と決裂の描写はよかったと思います。

 近代化初期の人々の意識の在り様の変化が描かれていたことも、歴史ドラマとしてよかったと思います。ただ、近代化初期の変化とはいっても、今回描かれたような都市部、とくに首都と農村部とでは大きな違いがあったでしょうが。本作は主人公の能動的活躍をしっかりと描きつつ、主人公の言動の背景となる当時の世相やその変化、平岡円四郎の妻の「やす」と栄一との再会など、幕末編から明治編までの継続的な流れをさらには描いており、私はこの点で歴史ドラマとして高く評価しています。ただ残念なのは、本作の残りが7回しかないことで、もっと近代化の過程での栄一の活躍を詳しく見たいものです。