大河ドラマ『青天を衝け』第36回「栄一と千代」

 今回で栄一の妻である千代が退場となります。千代は序盤から登場していただけに、寂しさはあります。千代は栄一との結婚で多少の紆余曲折があって見せ場となっており、結婚後は家を空けることの多い栄一を家庭でよく支え、栄一の活躍も千代の支えがあってのことだと、しっかり描かれていたように思います。千代は表舞台に出ることも夫を叱咤激励して積極的に導くこともほとんどありませんでしたが、その穏やかな人物造形は視聴者にも深く印象に残ったのではないか、と思います。

 今回のもう一つの見どころは、栄一が海運業で岩崎弥太郎に挑もうとしたことですが、岩崎の新聞を使った巧みな攻撃により、開業前に実質的に敗北してしまいます。ここは岩崎の大物感がよく示されており、よかったと思います。やはり、強敵をどう描くかは、作品の質を決めるうえで重要だと思います。栄一と岩崎は欲深い点で似ている、との五代友厚の評価も興味深いものでした。栄一の長女と穂積陳重とが結婚し、栄一の子供の世代の成長も描かれていますし、栄一と喜作には多少白髪が見られ、今でも若者のような情熱を前面に出している栄一ですが、こうした描写を見ると時間の経過を感じます。