意思決定における不確実性の解消

 意思決定における不確実性の解消に関する研究(Mukherjee et al., 2021)が公表されました。視床背内側核と前頭前野の間の相互作用は、認知にきわめて重要です。ヒトでの研究から、これらの相互作用が意思決定において不確実性を解消している可能性が示されていますが、前頭前野に投射する視床領域には複数の細胞タイプがあり、これらの異なる細胞タイプが意思決定において別々の役割を担っているのかどうか、その正確な機構は分かっていません。この研究は、視床背内側核から前頭前野への2つの投射が、不確実な状況での意思決定において相補的な機構的役割を持つ、と突き止めました。

 具体的には、ドーパミン受容体(D2)を発現する投射は、課題からの入力が少ない場合に前頭前野の信号を増幅し、カイニン酸受容体(GRIK4)を発現する投射は、課題入力が密にあるものの整合的でない場合に、前頭前野の雑音(ノイズ)を抑制します。総合すると、これらのデータは微弱信号による不確実性と高雑音による不確実性を処理する別個の脳機構の存在を示唆しており、前頭前野要因の強い障害で見られる異常な意思決定を是正するための、機構的な突破口を提供しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


神経科学:前頭前野の信号と雑音をそれぞれ独立に制御する視床回路

神経科学:意思決定における不確実性を解消する

 前頭前野とそこへの視床からの入力は、さまざまな形の意思決定に重要なことが知られている。しかし、前頭前野に投射する視床領域には複数の細胞タイプがあり、これらの異なる細胞タイプが意思決定において別々の役割を担っているかどうかは判明していない。今回M Halassaたちは、2つの異なる細胞タイプが、前頭前野の活動を増幅または抑制していることを見いだした。これらの細胞タイプはさらに、課題の不確実性に応じて、前頭前野の活動を上昇させたり下降させたり切り替えていることも分かった。



参考文献:
Mukherjee A. et al.(2021): Thalamic circuits for independent control of prefrontal signal and noise. Nature, 600, 7887, 100–104.
https://doi.org/10.1038/s41586-021-04056-3

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