肉食中心だった後期のネアンデルタール人

 後期ネアンデルタール人の食性は大型草食動物中心だった、との研究(Richards et al.,2008B)が報道されました。まだ要約しか読んでいませんが、この論文は校正中で印刷されておらず、確定版ではないので、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。

 フランスのシャラント=マリティム県にあるジョンザック遺跡出土の、ネアンデルタール人の歯と動物の骨から抽出したコラーゲンの同位体分析(炭素と窒素)によると、ネアンデルタール人の主要なタンパク源は巨大草食動物、とくにウシ科や馬だったと推測されました。これは従来の研究成果と一致します。なお、ネアンデルタール人は巨大草食動物の肉だけではなく、骨髄・臓器も食べていたと推測されています。またネアンデルタール人は、豆・穀類・堅果も食べていたものの、タンパク源としては重要でなかったと思われます。

 ネアンデルタール人の食性は、大型草食動物よりも小さな魚や鳥などを食していた現生人類と比較すると、限定されたものでした。この食性の柔軟さにより、現生人類は高密度の人口を養うことが可能になった、とこの論文の著者の一人であるスティール博士は考えています。もっとも、ネアンデルタール人の食性の評価については、今後さらなる検証が必要だろうとは思います。

 ジョンザック遺跡出土の大型草食獣は、基本的にはネアンデルタール人が狩ったと思われますが、トナカイはおもにハイエナが狩ったようです。ハイエナにとっては、ウシ科の大型草食獣よりもトナカイのほうが狩りやすかったと考えられるので、適切な選択と思われます。その意味で、ネアンデルタール人とハイエナはうまく棲み分けをしていた、と言えそうです。


参考文献:
Richards MP. et al.(2008B): Isotopic dietary analysis of a Neanderthal and associated fauna from the site of Jonzac (Charente-Maritime), France. Journal of Human Evolution, 55, 1, 179-185.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.02.007

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