砂原遺跡をめぐる議論

 日本列島では最古となるだろうと報道された、島根県出雲市の砂原遺跡で発見された石器については、このブログでも取り上げたことがありますが、
http://sicambre.at.webry.info/200909/article_30.html
http://sicambre.at.webry.info/201005/article_28.html
この遺跡について、研究者の間で評価が分かれている現状が報道されました。
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY201007050091.html

 砂原遺跡で発見された石器が本当に石器なのか、稲田孝司岡山大名誉教授は疑問を呈し、自然の破砕礫と考えるほうが合理的ではないか、と指摘しています。このブログの上記の記事でも、kuronekoさんから、「石器に見えない、ところが困った問題です」と疑問が呈されています。一方、砂原遺跡を調査した松藤和人同志社大教授は、ヨーロッパとアジアでは違う人類がいたのだから、石器の特徴が違うのは当然だとの考えから、ヨーロッパの石器学の知識ではアジアの石器は理解できない、と反論しました。

 この松藤教授の見解にたいして、人類学者の松浦秀治お茶の水女子大教授は、「日本列島にいたのが欧州とは違う人類だとしても、中国にいた人類とは同じでしょう。その中国ではだれが見ても人間が作ったと認める石器が見つかっている。現代人以前の人類とはいえ、明確な意思をもって石器を作っている。そうした石器が見つからない日本列島には、どのような人類がいたと想定しているのでしょうか」と批判しています。日本列島にかつて現生人類(ホモ=サピエンス)以外の人類がいたとしても、同時代のユーラシア東部の人類と「同じ」だったとは断言できないと思いますが、この批判は傾聴すべきでしょう。この報道を読むと、石器や遺跡を認定する一致した基準がないという問題も含めて、砂原遺跡をめぐる議論は当分収束しそうにありません。

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