『週刊新発見!日本の歴史』第19号「鎌倉時代2 京と鎌倉のダイナミクス」

 ブログ用に書き溜めておいた記事がそれなりの量になったので、今日は記事を3本掲載します(その一)。


 この第19号は頼朝の死から北条時頼が執権職を辞任するあたりまでを対象としています。承久の乱における後鳥羽院の目的は倒幕ではなく北条義時の追討であるという見解や、それを鎌倉幕府首脳部が倒幕と読み替えたことで幕府は危機を切り抜けたという見解や(これらは最近読んだ一般向け書籍でも取り上げられていました)、第四代以降の鎌倉幕府の将軍の中にも存在感を示した者がいるという見解や、鎌倉時代にも院政は続いていたという見解が、この第19号が目玉としている「新発見」でしょうか。

 いずれも、中学もしくは高校以降に日本史関係の本をほとんど読んでいなかった30歳以上の人には、「新発見」的な解釈になるのかな、とは思います。ただ考えてみると、『週刊新発見!日本の歴史』を読むような人は日本史への関心が高いでしょうから、この第19号に限らずこれまでに取り上げられてきた「新発見」の多くをすでに知っている可能性が高そうです。そうすると、「新発見」が目玉なのにとくに新味はない、という感想を持たれても仕方がなく、継続的に購入しない人もいることでしょう。

 編集部の想定する主な読者層は、中学か高校で日本史を学んだ後、とくに日本史を学ぶ機会がなかったか、日本史関連の本をほとんど読んでいない30代以上の人なのかもしれませんが、じっさいの読者層は日本史への関心の高い人が多そうです。『週刊新発見!日本の歴史』がネットではあまり話題になっておらず(これは私の印象論にすぎませんが)、売れ行きもよくなさそう(私が普段購入している書店では、第1号と比較して最近は明らかに入荷数が激減しています)なのは、編集部の想定する読者層とじっさいの読者層との食い違いにあるのかもしれません。売れ行きが芳しくなさそうな理由をもう一つ考えると、以前にも述べましたが、オールカラーとはいえ薄いので、590円という価格が割高に感じられるためなのかもしれません。

 とはいっても、第一線の研究者による解説には読みごたえのあるものが多く、新たに得た知識も多くあるので、私は毎号楽しみにしています。この第19号も、下地中分や御成敗式目についての解説はとくに読みごたえがありましたし、天皇家領荘園の継承を示した図はたいへん分かりやすく(カラーページという特色を活かしています)、一般向けの週刊日本史ものとしての価値は高いと思います。朝日新聞の過去の週刊歴史ものの出来はよく、『週刊新発見!日本の歴史』もその伝統に恥じない出来になっているのではないか、と思います。

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