古第三紀の寄生バチ(追記有)

 古第三紀の寄生バチに関する研究(Kamp et al., 2018)が公表されました。化石から寄生事象の証拠が見つかることは珍しく、それは寄生者と宿主の相互作用に関する情報が保存されていなければならないからです。そのため、寄生バチの化石記録は、成体単体の化石にほぼ限られており、正体不明の幼虫と宿主が隣り合って琥珀に封じ込められた数点の化石があるだけです。捕食寄生種のハチと推定される個体が宿主の体内にいる既知で唯一の化石記録は、フランスのケルシー地方で発見された約4000万~3000万年前の鉱化したハエの蛹の薄い切片から見つかっています。

 この研究は、高処理能シンクロトロン放射X線マイクロトモグラフィーを用いて、フランスで発見された、約6600万~2300万年前となる古第三紀の鉱化したハエの蛹1510点を調べ、新たに発見されたハチ4種による55例の寄生事象を特定しました。4新種(Xenomorphia resurrecta、X. handschini、Coptera anka、Palaeortona quercyensis)はすべて、宿主の体内で単体の寄生生物として成長したもので、一つの生息地にいる同種の宿主に寄生するための形態的適応が種ごとに異なっていました。たとえば、C. ankaとP. quercyensisは、触角・翅・腹柄(胸部との境にある腹部前部の細い「くびれ」)を変化させ、他の2種のXenomorphiaよりも地上での生活様式に巧妙に適応していた、と明らかになっています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【古生物学】古代の寄生バチが見つかる

 フランスで古第三紀(約6600~2300万年前)のものとされる新種のハチ4種が発見され、古代の寄生事象の直接的な証拠が得られたことを報告する論文が、今週掲載される。

 化石から寄生事象の証拠が見つかることは珍しい。寄生者と宿主の相互作用に関する情報が保存されている必要があるからだ。そのため、寄生バチの化石記録は、成体単体の化石にほぼ限られており、わずかに正体不明の幼虫と宿主が隣り合って琥珀に封じ込められた例が数例あるだけだ。捕食寄生種のハチと推定される個体が宿主の体内にいるという唯一の化石記録は、フランスのケルシー地方で発見された約4000~3000万年前の鉱化したハエの蛹の薄い切片から見つかっている。

 今回、Thomas van de Kampたちの研究グループは、高処理能シンクロトロン放射X線マイクロトモグラフィーを用いて、フランスで発見された古第三紀の鉱化したハエの蛹1510点を調べ、新たに発見されたハチ4種による55例の寄生事象を特定した。4種の新種(Xenomorphia resurrecta、X. handschini、Coptera anka、Palaeortona quercyensis)は全て、宿主の体内で単体の寄生生物として成長したものであり、1つの生息地にいる同種の宿主に寄生するための形態的適応が種ごとに異なっていた。例えば著者たちは、C. ankaとP. quercyensisは、触角、翅、腹柄(胸部との境にある腹部前部の細い「くびれ」)を変化させて、他の2種のXenomorphiaよりも地上での生活様式に巧妙に適応していたことを明らかにしている。



参考文献:
Kamp T. et al.(2018): Parasitoid biology preserved in mineralized fossils. Nature Communications, 9, 3325.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-05654-y


追記(2018年8月31日)
 ナショナルジオグラフィックで報道されました。

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