出生前のアンドロゲン曝露による多嚢胞性卵巣症候群のリスク

 出生前のアンドロゲン曝露による多嚢胞性卵巣症候群のリスクに関する研究(Risal et al., 2019)が公表されました。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は生殖年齢の女性の17%にまで見られ、受精率の低下や2型糖尿病、それに不規則な月経周期のような健康に有害な事象に関連があり、そのすべては肥満によりさらに悪化します。PCOSの罹患率は高く、女性の健康に対する悪影響も大きいと考えられていますが、PCOSの原因やリスク因子はほとんど明らかになっていません。これまでの研究から、単純な遺伝だけで説明できるのは、PCOSの遺伝率のせいぜい10%に過ぎない、と明らかになっています。

 この研究は、スウェーデンのPCOSを発症した女性の診療記録を解析し、ある症例対照研究からチリのPCOS患者とその娘のコホートを追跡しました。その結果、PCOSのスウェーデン女性もチリ女性もともに、娘がPCOSと診断される確率は通常の5倍でした。この現象の原因をさらに調べるため、この研究はマウスで検証しました。すると、観察された世代を超えて伝わる現象に関わっているのは、妊娠中の肥満ではなく、出生前のアンドロゲン曝露出と明らかになりました。また、世代を超えた作用は永続し、最大で三世代にわたって受け継がれることも分かりました。これらの知見から、PCOSという多様な症状を示す疾患の複雑さの一端が明らかになり、これからの女性のPCOSを防ぐ研究を進めるための基盤が得られました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【医学】出生前のアンドロゲン曝露が、多嚢胞性卵巣症候群のリスクにつながる

 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性から生まれた娘は、PCOSを発症するリスクが5倍も高いことを報告する論文が掲載される。

 PCOSは生殖年齢の女性の17%にまで見られ、受精率の低下や2型糖尿病、それに不規則な月経周期のような健康に有害な事象に関連がある(そのすべてが、肥満によってさらに悪化する)。PCOSの罹患率は高く、女性の健康に対する悪影響も大きいが、PCOSの原因やリスク因子はほとんど明らかになっていない。これまでの研究から、単純な遺伝だけで説明できるのは、PCOSの遺伝率のせいぜい10%に過ぎないことがわかっている。

 Elisabet Stener-Victorinたちは、スウェーデンのPCOSを発症した女性の診療記録を解析し、ある症例対照研究からチリのPCOS患者とその娘のコホートを追跡した。すると、PCOSのスウェーデン女性、チリ女性ともに、娘がPCOSと診断される確率が通常の5倍にも上った。この現象の原因をさらに調べようと、著者たちはマウスでの研究を行った。すると、観察された世代を超えて伝わる現象に関わっているのは、妊娠中の肥満ではなく、出生前のアンドロゲン曝露出あることが分かった。また、世代を超えた作用は永続し、最大で三世代にわたって受け継がれることが分かった。

 これらの知見から、PCOSという多様な症状を示す疾患の複雑さの一端が明らかになり、これからの女性のPCOSを防ぐ研究を進めるための基盤が得られた。



参考文献:
Risal S et al.(2019): Prenatal androgen exposure and transgenerational susceptibility to polycystic ovary syndrome. Nature Medicine, 25, 12, 1894–1904.
https://doi.org/10.1038/s41591-019-0666-1

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