乳児の食物アレルギーのリスクを低減する妊娠中の母親の腸内微生物

 妊娠中の母親の腸内微生物が乳児の食物アレルギーのリスクを低減する、と報告した研究(Vuillermin et al., 2020)が公表されました。妊娠中の母親の腸内マイクロバイオーム(細菌叢)は、胎児の免疫系の発生・発達を促進する上で重要な役割を果たしています。これに対しては、特定の細菌種の不在が免疫関連疾患の発症リスクの高さと関連している、との学説が提起されています。

 この研究は、オーストラリア人コホートの母親1064人の妊娠中の腸内細菌叢を分析し、その子供について、1歳になるまで3ヶ月ごとに調査を行ないました。この調査の結果、腸内細菌Prevotella copriが検出された母親の子供は食物アレルギーになりにくい、と分かりました。こうした防御的関連性が最も多く見られたのは、脂肪分と繊維分の多い食餌を取る母親でした。また、大家族であることや妊娠第3三半期に抗生物質を投与されていないことが、妊娠中の腸内細菌叢にP. copriが含まれることと相関していました。

 この知見を他の集団で裏づけ、プロバイオティクスやバイオマーカーとしてのP. copriの可能性を評価するためには、さらなる研究が必要ですが、この研究は、妊婦に対する抗生物質の投与管理や母親の腸内細菌叢を最適な状態に維持する食餌の重要性が明確になった、と指摘します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


健康:妊娠中の母親の腸内微生物が乳児の食物アレルギーのリスクを低減する

 妊婦のマイクロバイオームに細菌Prevotella copriが含まれることは、その子が生後1年以内に食物アレルギーを起こすリスクが低いことと関連していることが明らかになった。この新知見について報告する論文が、Nature Communications に掲載される。

 妊娠中の母親の腸内マイクロバイオームは、胎児の免疫系の発生・発達を促進する上で重要な役割を果たしている。これに対しては、特定の細菌種が存在していないことが、免疫関連疾患の発症リスクが高いことと関連しているとする学説が提起されている。

 今回、Peter Vuillerminたちの研究チームは、オーストラリア人コホートの母親(1064人)の妊娠中の腸内マイクロバイオームを分析し、その子どもについて、1歳になるまで3か月ごとに調査を行った。この調査の結果、腸内細菌P. copriが検出された母親の子どもは食物アレルギーになりにくいことが分かった。こうした防御的関連性が最も多く見られたのは、脂肪分と繊維分の多い食餌を取る母親だった。また、大家族であることや妊娠第3三半期に抗生物質を投与されていないことが、妊娠中の腸内マイクロバイオームにP. copriが含まれることと相関していた。

 今回の研究によって得られた知見を他の集団で裏付け、プロバイオティクスやバイオマーカーとしてのP. copriの可能性を評価するためには、さらなる研究が必要である。それでも、Vuillerminたちは、妊婦に対する抗生物質の投与管理や母親の腸内マイクロバイオームを最適な状態に維持する食餌の重要性が、今回の研究結果によって明確になったと考えている。



参考文献:
Vuillermin PJ. et al.(2020): Maternal carriage of Prevotella during pregnancy associates with protection against food allergy in the offspring. Nature Communications, 11, 1452.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-14552-1

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