テーマ:歴史総合

双系的な現生人類社会

 最近、神武天皇のY染色体を強調する言説について、皇位継承と絡めて述べましたが(関連記事)、人類社会の構造について、少し補足しておきます。古代日本社会を双系的と解釈する見解は現在では有力とされているでしょうが、それは現生人類(Homo sapiens)において普遍的な、所属集団を変えても元の集団への帰属意識を持ち続ける、という特徴に由来…
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中国における朝鮮人女性性奴隷疑惑

 中華人民共和国において朝鮮民主主義人民共和国の女性数千人が性労働者として強制的に働かされている、との報告書の公表について報道されました。ロンドンに本部のあるコリア・フューチャー・イニシアティヴという人権団体が調査したそうです。もちろん、これがどこまで正確な調査なのか、という問題はありますし、謀略を主張する人は日本でもいるでしょうが、現…
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神武天皇のY染色体

 皇位継承にさいして男系維持派がY染色体を根拠とすることについては、すでに11年半近く前(2007年11月)に当ブログで述べましたが(関連記事)、今でも男系維持派がY染色体を根拠とすることもあり、一部?の界隈ではすっかり定着したようです。この問題について当時も今も思うのは、皇位継承のような物語性の強い社会的合意事項に安易に自然科学の概念…
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Vybarr Cregan-Reid『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』

 ヴァイバー・クリガン=リード(Vybarr Cregan-Reid)著、水谷淳・鍛原多惠子訳、真柴隆弘解説で、飛鳥新社より2018年12月に刊行されました。原書の刊行は2018年です。本書は、現代社会の環境の多くが人間にとって「ミスマッチ」となっており、それが腰痛・糖尿病・肥満・近視などの要因になっている、と指摘します。『人体600万…
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複雑社会の出現後に始まった道徳を説く神への信仰

 道徳を説く神への信仰の起源に関する研究(Whitehouse et al., 2019)が公表されました。日本語の解説もあります。過去1000年間に「向社会的な宗教」の広がりが顕著になっています。このような宗教では、強力な「道徳律に従うことを求める神」、またはより一般的な道徳律違反に対する「超自然的な罰」(たとえば、仏教におけるカルマ…
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石井公成『東アジア仏教史』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年2月に刊行されました。率直に言って、本書は新書としてはかなり密度の濃い一冊になっており、一読しただけでは、概略を把握することも困難でした。もちろん、これは私に仏教史の知見が著しく欠けているためで、仏教史の教科書として、今後再読していかねばならないな、と痛感しています。本書は、1章を割…
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天武の年齢が不明な件についての補足

 もう8年半近く前(2010年9月30日)になりますが(関連記事)、天武天皇の年齢が不明であることについて、井沢元彦『逆説の日本史』文庫版2巻(小学館、1998年)を引用しました。以下、『逆説の日本史』文庫版からの引用は、「逆説*」と省略します(*が巻数)。逆説2は、『日本書紀』は天武を顕彰するための史書であり、現代にたとえるならば、創…
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私ほど東大や朝日などの権威主義に反発してきた人間はいないと言う自負があります

 井沢元彦氏が亀田俊和氏の 私は、あなたが呉座さんへの批判に梅原猛氏のお名前を出したことを完全な蛇足であると考えました。そして、それはあなたの権威主義が原因であると解釈しています。 との指摘を受けて(この経緯についてはまとめ記事があります)、以下のように発言しています。 私ほど東大や朝日などの権威主義に反発してきた人間…
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「宗教なんて迷信に過ぎないから歴史の解明には一切必要ない」という日本歴史学者

 井沢元彦氏が以下のように発言しています。 私はあなた方宗教学者のために「宗教なんて迷信に過ぎないから歴史の解明には一切必要ない」という日本歴史学者に対して「それは違いますよ」と四半世紀にわたって戦ってきました。私の愛読者のみならず宗教学会の先輩なら誰でも知っている事実です。それにあなたの批判には事実誤認があります。  率直…
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アイヌ民族が12世紀ごろ樺太から北海道に渡来した

 表題の呟きがTwitter上で流れてきました。全文引用すると、 DNA解析により、アイヌ民族が12世紀ごろ樺太から北海道に渡来したのが判明! 北海道の縄文人には、アイヌ民族の特徴であるミトコンドリアDNAのハプログループYがない。 よって、アイヌ民族は北海道先住民族ではない と北海道庁ご認定していた:そよ風 となります…
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正しい歴史認識・真実の歴史

 「正しい歴史認識」や「真実の歴史」といった主張への警戒は、十数年前より当ブログで何度か述べてきました。もちろん、どのような立場からの「正しい歴史認識」および「真実の歴史」なのか、という問題があるわけで、さまざまな観点からの警戒があるとは思います。私が十数年前よりとくに警戒していたのは、中華人民共和国の経済・軍事・政治力の強化が予想され…
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独裁者マドゥロを擁護する「21世紀の社会主義」の無責任

 表題の記事を読みました。ベネズエラの政治情勢については、2013年にチャベス前大統領が亡くなった時と(関連記事)、その後の大統領選(関連記事)について当ブログで取り上げました。チャベス大統領の訃報を聞いた時は、後継の大統領は国内運営に苦労しそうだ、と予想しましたが、現実は私の予想をはるかに上回っていました。当ブログでは、もう6年近くベ…
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マリファナ革命

 歴史上、有力政治家ではない個人の行動が歴史を動かす契機になったことは珍しくなく、最近(とはもう言えなくなったかもしれませんが)では、「ジャスミン革命」の発端になった焼身自殺がよく知られているように思います。この他にも、アメリカ合衆国における人種差別問題でのバス・ボイコット事件が有名だと思います。もちろん、そうした事例の多くでは、すでに…
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難波の倭王を百済の王が承認したのが「天皇」の始まり

 天皇には「キリスト生誕年を起点にしてる西暦より長い2679年の歴史」があり、天皇は「世界で現存する唯一の皇帝」で「ローマ法王やエリザベス女王より格上の位」との発言(記事を公開しようとしたら削除されていました)にたいして、「ただのファンタジー」との揶揄があり、それにたいして、 1500年前に漢字が入ってくるよりさらに1100年前に…
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先人たちの無能さをあざ笑う

 先行研究を読まずにひたすら史料を読み、論理的に導かれる確固たる答えを得た後で初めて先行研究を読むと、先行研究が気づいていないことや読み間違っていることがたちどころに分かる、との発言にたいして、 人類が今までに培った技術を完全に無視して、自分の力だけで火星行き有人宇宙船を1から開発し、今まで月までしか行けなかった先人たちの無能さを…
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よくもわるくも中国人はもともと「アジア」や「東アジア」といった語は好まない

 杉山正明氏関連の記事をまとめようとして、かつて当ブログで表題の一節を引用していた(関連記事)、と思い出しました。それと関連した調査をどこかで見かけた記憶があるのですが、今回見つけた論文(上ノ原.,2013)で引用されている調査がそうだったのか、はっきりとは思い出せませんでした。ただ、杉山氏の指摘を裏づける調査結果ではあると思います。本…
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人類の社会構造と近親婚

 人類の社会構造が元々は父系的だったのか母系的だったのか、という問題について、私は以前より高い関心を抱いていたので、当ブログでも何度か取り上げてきました。この問題については、唯物史観の影響により現在でも、人類の「原始社会」は母系制だった、との観念が一般層でも根強いように思われます(関連記事)。もっとも、より詳しくは、唯物史観が「原始社会…
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唯物論はネアンデルタール人級の発想

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)について検索していたら、表題の呟きを発見しました。関連する呟きを時系列に沿ってまとめてみます(呟き1および呟き2および呟き3および呟き4および呟き5)。 『ホモサピエンス全史』は読んでいて面白い。これによるとネアンデルタール人など旧人類とホモサピエンスの違いは目…
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新元号の公表時期をめぐる自民党保守派議員の奮闘に期待

 来年(2019年)5月1日に現在の皇太子が天皇となり、元号も平成から変更となるわけですが、次の元号の公表時期をめぐって与党内でも意見が一致していないことは、たびたび報道されていました。国民生活の混乱を避けるため、できるだけ早く公表しようという意見は以前から強く主張されていましたが(おそらくそれは今上天皇の意思でもあるのでしょうが)、自…
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増淵竜夫『歴史家の同時代史的考察について』

 岩波書店より1983年12月に刊行されました。本書を古書店で購入したのはかなり前だったと記憶していますが、その後ずっと放置してしまいました。本棚を整理していて本書が目についたので、読んでみようと思い立った次第です。本書はひじょうに濃密なのですが、精読して詳しく備忘録的に取り上げるだけの気力も見識も今はないので、とりあえず本書の内容を大…
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文藝春秋編『日本史の新常識』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社から2018年11月に刊行されました。以下、備忘録として各論考についてまとめます。なお、以下の西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です。 ◎序章 通史 ●出口治明「交易から見れば通史がわかる」P8~30  交易こそが人類社会の繁栄をもたらすのであり、社会・国家は開かれてい…
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『Newton』2019年1月号「創刊450号 記念大特集サピエンス」

 第一部が「人類の誕生」、第二部が「文明の芽生え」、第三部が「科学の躍進」で、執筆者は全員編集部員です。執筆協力者から期待できそうだと思い、購入しました。全体的に、一般向け雑誌であることを意識して、分かりやすい解説になっていると思います。第二部と第三部についてはよく分かりませんが、少なくとも第一部に関しては、基本的には近年の知見を反映し…
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文化変容・継続と遺伝的構成の関係

 古代DNA解析が飛躍的に発展していくなか、次第に明らかになってきたのは、文化の変容・継続とその担い手である人類集団の遺伝的構成との関係は一様ではない、ということです。この問題については、以前にも農耕の起源と拡散との関連で述べました(関連記事)。文化変容が、時には置換とも言えるような、その担い手である人類集団の遺伝的構成の大きな変化…
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馬場公彦『世界史のなかの文化大革命』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2018年9月に刊行されました。文化大革命(文革)は一般的には、中国の国内の出来事として語られることが多いでしょう。文革は中国指導部の路線・権力闘争であり、それに大衆が動員された、というのが現代日本社会における一般的な文革像だと思います。しかし本書は、文革が世界に及ぼした影響と、文革の国際的契機を強調…
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百田尚樹『日本国紀』(後編)

 前編の続きです。 第7章 幕末~明治維新(P233) ●ペリー来航(P233)  ペリー来航時の幕府の対応が腰抜けと糾弾されていますが、彼我の力関係を冷静に判断した妥当な判断だと思います。まあ、対外関係では、実力以上に強硬な姿勢を示すことも時として必要でしょうし、個人単位であれ戦闘であれ、幕末の攘夷が欧米列強に日本侵…
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百田尚樹『日本国紀』(前編)

 幻冬舎から2018年11月に刊行されました。字数制限2万文字を超過してしまったので、この前編と後編に分割します。多くの日本人は日本が大好きで、先祖が紡いできた文化伝統を凄いと思っています。しかし、GHQの洗脳工作により、戦後日本の歴史教育は自国を貶めるものに堕してしまいました。戦後生まれの日本人は学校では教えてもらえなかった正しい日本…
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民主主義は憲法十七条以来の日本の伝統

 自民党筆頭副幹事長にして元防衛相の稲田朋美衆院議員の、衆院本会議での代表質問が話題になっています。該当部分を映像で確認すると、 歴史をさかのぼれば、聖徳太子の「和を以て貴しと為す」という多数な意見の尊重と、徹底した議論による決定という民主主義の基本は、我が国古来の伝統であり、敗戦後に連合国から教えられたものではありません …
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多様な日本優越・礼賛論

 「日本スゴイ」と表記されるような日本優越論は、「リベラル」の側から揶揄・嘲笑・罵倒されることが多いのですが、少し検索しただけでも、じつに多様な日本優越論があるものだと、ある意味で感心します。昔からの日本優越・礼賛論でよく取り上げられてきたのは、「万世一系の天皇」でした。万世一系との観念は、たとえば中野正志『万世一系のまぼろし』(朝日新…
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文永の役日本勝利説は歴史修正主義?(追記有)

 表題のような呟きがTwitterで流れてきました。まあ正確には、引用画像で流れてきたので、検索して見つけたわけですが。 アンゴルモア、100%見る気もしないけどよもや「実は日本が勝っていた」という歴史修正主義に走るつもりじゃないだろうな。 とのことです。『アンゴルモア』という漫画があることは私も知っており(読んだことはあり…
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宋代以降の中国人を尊敬しない日本人

 日本で尊敬される「中国人」の大半が宋代より前の人物である理由について論じた記事が公表されました。「春秋時代の中国人は生気に満ち溢れ、品格もあったと紹介したほか、漢や唐の時代の中国人は自信に溢れ、余裕と覇気があった」のに対して、「明や清の時代の中国人は鈍感で脆弱、そして創造力も失っていた」とか、春秋時代は「平等や独立が重視された時代」だ…
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