テーマ:歴史総合

皇位男系継承を「日本の存亡に関わる問題」とする竹内久美子氏の認識はある意味で正しい

 「皇統の男系男子継承の深い意味」と題する竹内久美子氏の記事が公開され、それなりに話題になっているというか、嘲笑されているようです。とくに嘲笑の対象になっているのは、皇位継承を「日本の存亡に関わる問題」としているところのようですが、竹内氏の認識はある意味で正しいと思います。似たような認識として、「女系(他系)継承を認めたら、日本は、終わ…
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社会的な父親と生物学的な父親の不一致率と人口密度および階級との相関

 社会的な父親と生物学的な父親の不一致率と人口密度および階級との相関についての研究(Larmuseau et al., 2019)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。行動生態学では、長期のペア結合を有する種のペア外交尾(extra-pair copulation、EPC)の発生と適応的意義が激しく議論されてき…
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考古資料から人類集団の遺伝的継続・変容の程度を判断することは難しい

 文化の変容・継続とその担い手である人類集団の遺伝的構成との関係については、1年近く前(2018年11月25日)にも述べました(関連記事)。その時からこの問題に関していくつか新たな知見を得ることができましたが、私の見解はほとんど変わっておらず、両者の関係は実に多様なので、考古学的研究成果から担い手の人類集団の変容と継続の程度を一概には判…
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注目が高まるY染色体(追記有)

 皇位継承をめぐる議論でY染色体への関心が高まっているように思いますが、それ以前より、皇位継承とは関係なく、現代日本人の遺伝的構成の特異性を強調する観点から、Y染色体は注目されていたように思います。そうした言説では、現代日本人男性において3~4割を占めるY染色体ハプログループ(YHg)Dが韓国人や漢人ではほとんど見られないことから、日本…
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女系(他系)継承を認めたら、日本は、終わります

 表題の発言は半年ほど前(2019年5月10日)のもので、以下に全文を引用します。 女系(他系)継承を認めたら、日本は、終わります。 身を挺して歴代の天皇や、特に女性天皇が死守してきた皇統が、何者かに乗っ取られるのです。 征服者にとっては、それが始まりなのでしょうけどね。  この発言を嘲笑する人は多いかもしれませんが、重…
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皇位継承の根拠をY染色体とする言説について、竹内久美子氏より有本香氏の見解の方がずっとまとも

 現行法では、悠仁親王に息子がいなければ将来皇位継承者が不在になるため、皇位継承への関心が以前よりも高まっているように思います。そうした中で、皇位継承の根拠をY染色体とする言説が支持を拡大しているように見えます。そうした言説の古株とも言える竹内久美子氏は、 神武天皇のY染色体です。男しか持たない性染色体Yは、父から息子へ純粋に受け…
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天皇はなぜ「王(キング)」ではなく「皇帝(エンペラー)」なのか

 一昨日(2019年10月22日に即位の礼が行なわれたためか、天皇への一般的関心が高まっているようで、Y染色体を根拠に男系維持を主張したり、中にはろくに理解できずに「神武天皇由来のY遺伝子」と発言したりする人もいますが(関連記事)、この問題に関しては以前述べたので繰り返しません(関連記事)。なお、皇族の天皇というか皇族のY染色体ハプログ…
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久住眞理、久住武『ヒューマン 私たち人類の壮大な物語─生命誕生から人間の未来までを見すえる総合科学』

 人間総合科学大学より2018年5月に刊行されました。本書は人間の総合的理解を意図しています。そのため本書は、DNAのような分子から、細胞→組織→臓器→個体→個体群(社会)→生物圏(生態系)まで各階層を扱い、それらを統合して人間を理解しようとしています。したがって、狭義の生物学だけではなく、文化的な側面にも多くの分量が割かれており、農耕…
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同じアジア人を差別する輩は絶対に許さねえ

 表題の古谷経衡氏の発言がTwitterで注目されているようです。全文を引用すると、 俺は反米右翼の民族保守だ。と同時にアジア主義者だ。同じアジア人を差別する輩は絶対に許さねえ。アジア国家の政権批判は全然良い。だが同じアジア人へのいわれなき差別は絶対に許さん。 となります。差別は誰が相手であろうとよくない、ということくらいは…
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日本の多様性

 もう20年近く前(2001年5月24日)になりますが、大山誠一『聖徳太子と日本人』(風媒社、2001年)を取り上げました(前編および後編)。今となっては恥ずかしい限りですが、聖徳太子は架空の人物である、という大山説にたいして、批判的なところもあったとはいえ、当時はおおむね肯定的でした(関連記事)。その後、2008年頃までには大山説にか…
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私はアジア人と呼ばれる事に抵抗がある

 表題の発言をTwitterで見かけました。全文を引用すると、 私はアジア人と呼ばれる事に抵抗がある。私は日本人だ。中国人や朝鮮人と同じグループの一員ではない。それではドイツ人やフランス人をあまり好まないイタリア人はヨーロッパ人か?なぜ無知な西洋人の都合に合わせる?私はいつも「いや、違う。日本人だ!」と大声で答えてやる。 と…
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中国史の画期についての整理

 画期という観点から、一度短く中国史を整理してみます。そもそも、「中国」とはどの範囲を指すのか、どのように範囲は変遷してきたのか、という大きな問題があります。また、この記事では更新世における人類の出現以降を扱いますが、もちろん、更新世に「中国」という地域区分を設定することは妥当ではありません。考えていくと大きな問題を多数抱えているわけで…
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天皇のY染色体ハプログループ

 天皇というか皇族のY染色体ハプログループ(YHg)について、D1bとの情報がネットで出回っており、確定したかのように喧伝されているので、以前から一度調べてみるつもりだったのですが、さほど優先順位が高いわけでもないので、後回しにしていました。今回、少し調べてみたのですが、査読誌に掲載された論文や、信頼できる研究機関の報告では見つけること…
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過去2000年間における最近の気候変動の位置づけ

 過去2000年間における最近の気候変動の位置づけに関する3本の論文が公表されました。過去2000年間の気候変動性については議論が繰り広げられてきました。とくに注目すべき時期としては、中世の気候異常、小氷期、気候に対する人間の影響に対応した過去150年間の急速な温暖化などがあります。これらの時期の範囲を決定することは、過去に気候変動性を…
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石浦章一『王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎』

 講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2019年6月に刊行されました。本書はおもに王族を対象として、DNA解析により解明された世界史上の著名人の「謎」を取り上げています。具体的には、リチャード3世、ツタンカーメン、ジョージ3世、ラムセス3世、トーマス・ジェファーソンです。本書の主題からして、醜聞めいた内容になることは避けられない…
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1970年代に社会主義への道を批判した市井人

 表題の記事を読みましたが、なかなか興味深い内容でした。この記事が取り上げている中村隆承氏は、おそらく有名ではなく、失礼ながら私も知りませんでしたが、優れた見識の持ち主だったようです。中村氏は1983年に49歳という若さで亡くなり、翌年『中村隆承遺稿集』が家族により自費出版されたそうです。インターネットの普及した現在なら、優れた見識を有…
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佐藤弘夫『「神国」日本 記紀から中世、そしてナショナリズムへ』

 講談社学術文庫の一冊として、2018年6月に講談社より刊行されました。本書の親本『神国日本』は、ちくま新書の一冊として2006年4月に筑摩書房より刊行されました。以前、当ブログにて本書を取り上げましたが、制限字数の2万文字を超えてしまったので、前編と後編に分割しました。今週(2019年7月2日)、ウェブリブログの大規模メンテナンスおよ…
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ヨーロッパのジャガイモの複雑な進化史

 ヨーロッパのジャガイモの複雑な進化史に関する研究(Gutaker et al., 2019)が公表されました。ジャガイモは南アメリカ大陸のアンデス地方が起源で、現在では世界各地に見られます。ヨーロッパのジャガイモに関する歴史記録は、16世紀後半のスペインまでさかのぼります。ジャガイモの塊茎の成長は、日長や温度などの複数の環境要因の影響…
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小路田泰直『日本史の思想』、『「邪馬台国」と日本人』、『邪馬台国と「鉄の道」』

 小路田泰直氏の著書で過去に取り上げたものを一つの記事にまとめます。『日本史の思想』の雑感は2001年12月に前編と後編に分割して、『「邪馬台国」と日本人』の雑感は2001年5月に、『邪馬台国と「鉄の道」』の雑感は2011年9月にそれぞれ掲載しました。小路田氏の著書の雑感をまとめようと思ったのは、近年、小路田氏の著書『卑弥呼と天皇制』(…
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山極寿一、小原克博『人類の起源、宗教の誕生 ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき』

 平凡社新書の一冊として平凡社より2019年5月に刊行されました。補論を除いて対談形式になっています。第1章では、宗教の起源として共存のための倫理が挙げられており、この点に関して、(人間を除く)動物と人間との間の連続性が指摘されています。宗教を人間と動物の決定的な違いとするヨーロッパ世界で根強い観念が、一定以上相対化されています。ただ、…
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原勝郎の古代~中世日本史認識

 以前、原勝郎『日本中世史』を取り上げましたが(関連記事)、その古代~中世日本史認識は、その後の日本人の歴史認識に大きな影響を及ぼしたように思います。原の古代~中世日本史認識をまとめると、以下のようになります。  古代日本は中華文明を輸入し、律令国家体制と、一見すると華麗な文化を築きましたが、中華文明の影響は皮相・局所的で、社会全…
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双系的な現生人類社会

 最近、神武天皇のY染色体を強調する言説について、皇位継承と絡めて述べましたが(関連記事)、人類社会の構造について、少し補足しておきます。古代日本社会を双系的と解釈する見解は現在では有力とされているでしょうが、それは現生人類(Homo sapiens)において普遍的な、所属集団を変えても元の集団への帰属意識を持ち続ける、という特徴に由来…
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中国における朝鮮人女性性奴隷疑惑

 中華人民共和国において朝鮮民主主義人民共和国の女性数千人が性労働者として強制的に働かされている、との報告書の公表について報道されました。ロンドンに本部のあるコリア・フューチャー・イニシアティヴという人権団体が調査したそうです。もちろん、これがどこまで正確な調査なのか、という問題はありますし、謀略を主張する人は日本でもいるでしょうが、現…
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神武天皇のY染色体

 皇位継承にさいして男系維持派がY染色体を根拠とすることについては、すでに11年半近く前(2007年11月)に当ブログで述べましたが(関連記事)、今でも男系維持派がY染色体を根拠とすることもあり、一部?の界隈ではすっかり定着したようです。この問題について当時も今も思うのは、皇位継承のような物語性の強い社会的合意事項に安易に自然科学の概念…
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Vybarr Cregan-Reid『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』

 ヴァイバー・クリガン=リード(Vybarr Cregan-Reid)著、水谷淳・鍛原多惠子訳、真柴隆弘解説で、飛鳥新社より2018年12月に刊行されました。原書の刊行は2018年です。本書は、現代社会の環境の多くが人間にとって「ミスマッチ」となっており、それが腰痛・糖尿病・肥満・近視などの要因になっている、と指摘します。『人体600万…
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複雑社会の出現後に始まった道徳を説く神への信仰

 道徳を説く神への信仰の起源に関する研究(Whitehouse et al., 2019)が公表されました。日本語の解説もあります。過去1000年間に「向社会的な宗教」の広がりが顕著になっています。このような宗教では、強力な「道徳律に従うことを求める神」、またはより一般的な道徳律違反に対する「超自然的な罰」(たとえば、仏教におけるカルマ…
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石井公成『東アジア仏教史』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年2月に刊行されました。率直に言って、本書は新書としてはかなり密度の濃い一冊になっており、一読しただけでは、概略を把握することも困難でした。もちろん、これは私に仏教史の知見が著しく欠けているためで、仏教史の教科書として、今後再読していかねばならないな、と痛感しています。本書は、1章を割…
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天武の年齢が不明な件についての補足

 もう8年半近く前(2010年9月30日)になりますが(関連記事)、天武天皇の年齢が不明であることについて、井沢元彦『逆説の日本史』文庫版2巻(小学館、1998年)を引用しました。以下、『逆説の日本史』文庫版からの引用は、「逆説*」と省略します(*が巻数)。逆説2は、『日本書紀』は天武を顕彰するための史書であり、現代にたとえるならば、創…
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私ほど東大や朝日などの権威主義に反発してきた人間はいないと言う自負があります

 井沢元彦氏が亀田俊和氏の 私は、あなたが呉座さんへの批判に梅原猛氏のお名前を出したことを完全な蛇足であると考えました。そして、それはあなたの権威主義が原因であると解釈しています。 との指摘を受けて(この経緯についてはまとめ記事があります)、以下のように発言しています。 私ほど東大や朝日などの権威主義に反発してきた人間…
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「宗教なんて迷信に過ぎないから歴史の解明には一切必要ない」という日本歴史学者

 井沢元彦氏が以下のように発言しています。 私はあなた方宗教学者のために「宗教なんて迷信に過ぎないから歴史の解明には一切必要ない」という日本歴史学者に対して「それは違いますよ」と四半世紀にわたって戦ってきました。私の愛読者のみならず宗教学会の先輩なら誰でも知っている事実です。それにあなたの批判には事実誤認があります。  率直…
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