テーマ:読書

大隅洋『日本人のためのイスラエル入門』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2020年3月に刊行されました。本書は現代イスラエルの多面的側面を一般層向けに分かりやすく解説しています。日本に限らないでしょうが、イスラエルへの印象は政治的信条に基づくものになりがちで、イスラエルに対してひじょうに悪い印象を抱いている人は少なくないかもしれません。それは、反ユダヤ主義的側面もあるで…
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保阪正康『幻の終戦 もしミッドウェー海戦で戦争をやめていたら』

 中公文庫の一冊として、中央公論新社から2001年7月に刊行されました。本書の親本は、同じ題名で柏書房から1997年6月に刊行されました。本書は、ミッドウェー海戦後に太平洋戦争が終結していた可能性を探る、思考実験的な歴史書と言えるでしょうが、小説的な性格も多分にあるように思います。本書はまず第一部にて、ミッドウェー海戦へと至る経緯を、軍…
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鈴木眞哉『戦国時代の計略大全』

 PHP新書の一冊として、2011年6月にPHP研究所より刊行されました。奇襲・水攻め・火攻め・伏兵・内応などといった、合戦における奇策・計略の事例を紹介しています。軍記物や講談が出典の話も多いので、単に紹介するだけではなく、創作の可能性が高いなどといった評価もなされています。戦国時代の事例が中心なのですが、南北朝時代や平安時代末期など…
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古松崇志『シリーズ中国の歴史3 草原の制覇 大モンゴルまで』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2020年3月に刊行されました。本書はおもに、紀元後4~14世紀のユーラシア内陸部東方を対象としています。比較的乾燥した「中央ユーラシア」は、文字記録の多く残るアジア東部および南西部やヨーロッパよりも軽視されてきたところがありますが、前近代、とくに海域交流が比重を増してくる16世紀以前において…
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池上英洋『血みどろの西洋史 狂気の1000年』

 光文社新書の一冊として、光文社より2007年11月に刊行されました。本書はまず、ヨーロッパには『ヨーロッパの歴史』という共通教科書があり、ヨーロッパの相互の利害関係を排除した中立的視点で歴史を把握しようとしているものの、ヨーロッパをあまりにも美化していることが決定的欠陥である、と指摘します。このヨーロッパ共通教科書は、日本語版で400…
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丸橋充拓『シリーズ中国の歴史2 江南の発展 南宋まで』第2刷

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2020年2月に刊行されました。第1刷の刊行は2020年1月です。本書はおもに江南を対象に、新石器時代から南宋の滅亡までを取り上げています。江南は華北で形成されていった「中華世界」の視点からは、当初外縁的な位置づけでした。それが、前漢後期から後漢前半にかけて成立していった「古典国制」に江南も次…
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小山俊樹『五・一五事件 海軍青年将校たちの「昭和維新」 』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2020年4月に刊行されました。本書は五・一五事件の具体的な経過とともに、その背景について対象を広くとって考察しています。また、五・一五事件後の首謀者、とくに三上卓の動向が詳しく取り上げられているのも本書の特徴です。そもそも、五・一五事件の具体的な経過を詳しく読んだことがなかったので、本書の簡潔な…
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桐野作人『明智光秀と斎藤利三』

 宝島社新書の一冊として、宝島社から2020年3月に刊行されました。表題にあるように、本書は本能寺の変における斎藤利三の役割を重視しています。まず不明な点の多い明智光秀の前半生ですが、やはり確実な史料はないようで、本書も後世の編纂史料などから推測するに留まっています。本書から窺えるのは、光秀は美濃土岐氏もしくは土岐明智氏のなかなか有力な…
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加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』第10刷

 朝日出版社より2009年11月に刊行されました。第1刷の刊行は2009年7月です。本書は中学生と高校生を対象とした著者の5日間の講義の書籍化です。対象となるのは日清戦争から太平洋戦争までですが、日清戦争の前史としての日清関係も詳しく取り上げられており、「戦争を選択した」という観点からの大日本帝国史とも言えそうです。本書の特色は、同時代…
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渡辺信一郎『シリーズ中国の歴史1 中華の成立 唐代まで』第2刷

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年11月に刊行されました。第1刷の刊行は2019年11月です。『シリーズ中国の歴史』の特色は、単純な時代区分による通史になっていないことです。本書は新石器時代から安史の乱までを扱っていますが、主要な対象は中原で、江南への言及は少なくなっています。江南は第2巻で扱われるそうですが、こちら…
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Emmanuel Todd『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』第2刷

 エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)著、堀茂樹訳で、文春新書の一冊として、文藝春秋社から2015年6月に刊行されました。第1刷の刊行は2015年5月です。本書は著者への複数のインタビューで構成されており、本書自体すでに5年近く前の刊行と古いのに、インタビューは2011年11月から2014年8月までのものですから、今になっ…
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福留真紀『将軍と側近 室鳩巣の手紙を読む』

 新潮新書の一冊として、新潮社から2014年12月に刊行されました。本書は、室鳩巣の視線を通して、江戸時代中期、6代将軍家宣~8代将軍吉宗の時代までの幕府政治史を検証しています。本書は、将軍個人に仕え、将軍の交代とともに失脚することもある側近と、幕府官僚として将軍が交代しても政権中枢にい続ける老中とを対比させ、この期間の幕府政治史を描い…
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関幸彦『戦争の日本史5 東北の騒乱と奥州合戦』

 吉川弘文館より2006年11月に刊行されました。本書は、前九年合戦・後三年合戦・奥州合戦(源頼朝が奥州藤原氏を攻め滅ぼした戦い)を扱っています。一般書ながら、研究史の把握・整理が多いのが特徴となっています。本書は、東北地方と河内源氏という共通点を有するこれら三合戦から、中世的世界の成立の経緯・背景・その意味、頼朝の御家人たちの間で共有…
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千葉聡『進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語』

 講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2020年2月に刊行されました。本書は一般向けを意識してか、進化の実態や仕組みといった学術的な解説だけではなく、進化学に関わった研究者たちの人間模様話も取り上げており、単に進化学の解説書というだけではなく、読み物としても優れていると思います。たとえば、ガラパゴス諸島が進化論発祥の聖地というよ…
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益尾知佐子『中国の行動原理 国内潮流が決める国際関係』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年11月に刊行されました。本書は、中国の対外行動(国際関係)が、国内の政治潮流、さらに根本的には中国の社会構造に規定される、と論じます。その社会構造とは外婚制共同体家族で、家父長が家族に対して強い権威を有します。息子たちは家父長に服従し、家父長の地位を継承すべく兄弟たちと激しく競争します。…
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岡田晋吉『太陽にほえろ!伝説』

 ちくま文庫の一冊として、筑摩書房より2020年2月に刊行されました。本書の親本『太陽にほえろ!伝説 疾走15年私が愛した七曲署』は、2003年に増補決定版として日本テレビ放送網より刊行されました。この増補決定版の親本は1996年に日本テレビ放送網より刊行されました。本書の親本は、以前図書館で読んだと記憶していますが、もうその記憶は薄れ…
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山本博文『歴史をつかむ技法』第4刷

 新潮新書の一冊として、新潮社から2013年11月に刊行されました。第1刷の刊行は2013年10月です。本書は、歴史をどう理解するのか、専門家がその「技法」を一般向けに解説しています。専門家にとっては当然の常識でも、一般層はほとんど知らないというか理解していないことは、歴史学に限らずほとんどの分野で見られます。本書は、専門家がその大きな…
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保阪正康『昭和の怪物 七つの謎』第3刷

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2018年7月に刊行されました。第1刷の刊行は2018年7月です。本書は、昭和時代の「怪物」とそれにまつわる「謎」を取り上げています。具体的には、東條英機は何に脅えていたのか(第1章)、石原莞爾は東條暗殺計画を知っていたのか(第2章)、石原莞爾の「世界最終戦論」とは何だったのか(第3章)、犬養毅は…
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加藤徹『西太后 大清帝国最後の光芒』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2005年9月に刊行されました。本書は西太后の伝記ですが、西太后を広く中国史の文脈に位置づけているのが特徴です。本書は2005年刊行ですから、その後の研究の進展により訂正されるべきところもあるかもしれませんが、日本語で読める手頃な西太后の伝記としては、今でも優れているのではないか、と思います。日本…
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井上寿一『論点別昭和史 戦争への道』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2019年11月に刊行されました。本書は、10の視点での敗戦までの昭和史(1926~1945年)です。それぞれ、天皇(なぜ立憲君主が「聖断」を下したのか)、女性(戦争に反対したのか協力したのか)、メディア(新聞・ラジオに戦争責任はなかったのか)、経済(先進国か後進国か)、格差(誰が「贅沢は敵だ」を…
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村井良太『佐藤栄作 戦後日本の政治指導者』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年12月に刊行されました。本書は、日本の首相として連続在職日数の最長記録を有する佐藤栄作(2020年8月には佐藤栄作の姪孫である安倍晋三首相がこの記録を抜くかもしれませんが)の伝記で、誕生から政治家になる前までに1章、政治家になってから首相に就任する前までに2章、首相時代に3章、首相退任後…
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山内昌之、細谷雄一編『日本近現代史講義 成功と失敗の歴史に学ぶ』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。以下、本書で提示された興味深い見解について備忘録的に述べていきます。 序章●山内昌之「令和から見た日本近現代史 ヘロドトスの「悪意」から劉知幾の「公平」へ」P3~29  近現代日本の起点として、徳川家康による江戸幕府開設が「日本1.0」として高く評価…
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筒井清忠編『昭和史講義 【戦前文化人篇】』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2019年7月に刊行されました。すべて筒井清忠氏編の、『昭和史講義─最新研究で見る戦争への道』(関連記事)、『昭和史講義2─最新研究で見る戦争への道』(関連記事)、『昭和史講義3─リーダーを通して見る戦争への道』(関連記事)、『昭和史講義 【軍人篇】』(関連記事)の続編となります。いずれも好評だった…
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松尾千歳『シリーズ・実像に迫る11 島津斉彬』

 戎光祥出版から2017年7月に刊行されました。本書は島津斉彬の生涯を、豊富な図版で分かりやすく解説しています。斉彬の背景として、島津がどのような家柄なのか、ということも鎌倉時代にまでさかのぼって簡略に説明されており、少ないページ数ながら、一般向け書籍としてなかなか配慮されていると思います。斉彬登場の背景として、琉球を服属させ、「中国」…
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牧野雅彦『ヴェルサイユ条約 マックス・ウェーバーとドイツの講和』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2009年1月に刊行されました。本書は、ドイツ視点からのヴェルサイユ条約締結へと至る交渉史ですが、副題にあるように、ウェーバーの言説と関与を取り上げることで、ヴェルサイユ条約の意義をより深く分析するとともに、外交における大きな転機となった第一次世界大戦末期から直後の世界的思潮を掘り下げています。「…
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とくに面白かった本(4)

 以前、ネットで取り上げた本のなかで、とくに面白かったものについて、2010年4月までの分(関連記事)と、2010年5月~2013年12月までの分(関連記事)と、2014年1月~2018年4月までの分(関連記事)をまとめました。今回は、2018年5月~2019年12月までの分を以下にまとめます。次からは、1年ごとにまとめていく予定です。…
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渡邊大門『関ヶ原合戦は「作り話」だったのか 一次史料が語る天下分け目の真実』

 PHP新書の一冊として、2019年9月にPHP研究所より刊行されました。本書は、1600年9月15日(西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)の関ヶ原合戦の戦闘にまつわる見解・俗説を検証しているというより、関ヶ原合戦を長期の政治過程の転機として把握したうえで、そこへと至る政治情勢に関する見解・俗説を取り上げています。こうした本…
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渡邉義浩『はじめての三国志 時代の変革者・曹操から読みとく』

 ちくまプリマー新書の一冊として、筑摩書房から2019年11月に刊行されました。著者は現在、早稲田佐賀中学・高校の理事長とのことで、本書は『三国志』に興味を抱いた中高生向けに書かれたそうです。確かに、全体的に平易な文章になっており、分かりやすく解説しよう、という意図は伝わってきます。ただ、「はじめての三国志」と題している割には、官渡の戦…
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三鬼清一郎『大御所徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年10月に刊行されました。本書は大御所時代の徳川家康、つまり征夷大将軍を息子の秀忠に譲ってから死去までの約10年を基本的には対象としています。この期間は、江戸幕府の体制確立においてたいへん重要となります。本書は、家康の大御所政治の前提として、養子も含めて息子に家督を譲った父親が、依然として…
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飯山陽『イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観』

 河出書の一冊として、河出書房新社から2019年11月に刊行されました。本書の「イスラム2.0」とは、イスラム教をめぐる新たな状況を意味します。その契機となったのがグローバル化の進展とインターネットの普及で、それ以前が「イスラム1.0」とされます。「イスラム1.0」、つまりイスラム教の始まりから20世紀末まで、イスラム教徒の大半は知識層…
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