テーマ:読書

飯山陽『イスラム2.0 SNSが変えた1400年の宗教観』

 河出書の一冊として、河出書房新社から2019年11月に刊行されました。本書の「イスラム2.0」とは、イスラム教をめぐる新たな状況を意味します。その契機となったのがグローバル化の進展とインターネットの普及で、それ以前が「イスラム1.0」とされます。「イスラム1.0」、つまりイスラム教の始まりから20世紀末まで、イスラム教徒の大半は知識層…
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『性の進化論 女性のオルガスムは、なぜ霊長類にだけ発達したか?』第4刷

 クリストファー・ライアン(Christopher Ryan)、カシルダ・ジェタ(Cacilda Jetha)著、山本規雄訳で、2017年9月に作品社より刊行されました。第1刷の刊行は2014年7月です。原書の刊行は2010年です。今年(2019年)1月に掲載したさいには、当時の字数制限2万文字を超えたので前編と後編に分割したのですが、…
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梅津和夫『DNA鑑定 犯罪捜査から新種発見、日本人の起源まで』

 講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2019年9月に刊行されました。本書はDNA鑑定の原理をその問題点・限界点とともに分かりやすく解説しており、DNA鑑定の具体例も示されていますから、入門書としてなかなか工夫されており、楽しめると思います。また、環境DNAなど最新の研究動向も抑えられており、この点もよいと思います。著者はDNA…
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髙橋昌明氏による『中世の罪と罰』の書評

 網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎭夫『中世の罪と罰』(東京大学出版会、1983年、私が所有している第9刷の刊行は1993年)が講談社学術文庫で再刊された、との呟きをTwitterで見かけました。新たに解説が所収されたのは魅力ですが、以前よりも日本中世史の優先順位が下がっているので、親本を所有しているのに新たに購入すべきか否か、迷ってい…
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森恒二『創世のタイガ』第6巻(講談社)

 本書は2019年11月に刊行されました。第6巻は、タイガたちがマンモス狩りに出かけて苦戦している場面から始まります。苦戦するタイガたちに、アラタがリクの作った槍を届け、タイガは崖からマンモスに飛び掛かり、残りの男たちがマンモスの腹を槍で突き、何とかマンモス1頭を仕留め、タイガは戦士としての名声をますます高めます。マンモスを倒した後の宴…
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更科功『残酷な進化論 なぜ私たちは「不完全」なのか』

 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2019年10月に刊行されました。本書は、第1部が「ヒトは進化の頂点ではない」とあるように、進化に関する一般的な誤解を強く意識した構成になっています。進化に完成型が存在するとか、ヒトが最も進化していて高性能であるとかいった観念は、今でも根強くあるかもしれません。進化否定論でよく言われているよう…
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北條芳隆編『考古学講義』第2刷

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2019年6月に刊行されました。第1刷の刊行は2019年5月です。以下、本書で提示された興味深い見解について備忘録的に述べていきます。なお、以下の西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です。 I 旧石器・縄文時代 第1講●杉原敏之「列島旧石器文化からみた現生人類の交流」P…
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金子拓『信長家臣明智光秀』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2019年10月に刊行されました。来年(2019年)の大河ドラマの主人公は明智光秀なので、すでに光秀関連の一般向け書籍が複数刊行されていますし、今後も続々と刊行されていくでしょう。もう15年以上、戦国時代の勉強が停滞しているので、この機会に新たな知見を得るとともに復習することも目的に、光秀関連の一般向…
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瀧浪貞子『持統天皇 壬申の乱の「真の勝者」』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年10月に刊行されました。本書は、小説など創作では、冷酷な人物として描かれることが多いように思われる持統天皇(鸕野讚良)の伝記です。本書は持統を、強靭な精神力の持ち主で、自身の血脈に固執する、激しい情念に燃える生一本な性格の人物と把握しています。この持統の個性と決断が、譲位の制度化をもたら…
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浅野裕一『儒教 怨念と復讐の宗教』

 講談社学術文庫の一冊として、2017年8月に講談社より刊行されました。本書の親本『儒教 ルサンチマンの宗教』は平凡社新書の一冊として1999年5月に平凡社より刊行されました。本書は儒教の開祖とも言うべき孔子を、怨念と復讐に囚われた誇大妄想の人物と指摘します。孔子は、有徳の聖人こそが受命して天下を統治するという徳治主義を主張し、自らを周…
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伊藤之雄『大隈重信』上・下

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年7月に刊行されました。大隈重信は83歳まで生き、若き日より政治の場で活躍し、76歳で首相に就任し(第二次大隈内閣)、78歳まで務めただけに、取り上げるべき事柄は多く、新書で取り上げるとなると、過不足なく適切にその事績を叙述するのはなかなか難しいと思います。本書は新書としては大部の上下2巻…
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久住眞理、久住武『ヒューマン 私たち人類の壮大な物語─生命誕生から人間の未来までを見すえる総合科学』

 人間総合科学大学より2018年5月に刊行されました。本書は人間の総合的理解を意図しています。そのため本書は、DNAのような分子から、細胞→組織→臓器→個体→個体群(社会)→生物圏(生態系)まで各階層を扱い、それらを統合して人間を理解しようとしています。したがって、狭義の生物学だけではなく、文化的な側面にも多くの分量が割かれており、農耕…
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中野等『太閤検地 秀吉が目指した国のかたち』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。本書は太閤検地を、一貫した方針・基準のもとに遂行されたものとして把握するのではなく、その時々の政治情勢から読み解いていきます。豊臣政権に服属したばかりの大名の領地、豊臣秀吉から疑いを抱かれていた大名の領地、秀吉により改易され、新たな領主が入部することになった地域など…
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Craig Stanford『新しいチンパンジー学 わたしたちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?』

 クレイグ・スタンフォード(Craig Stanford)著、的場知之訳で、2019年3月に青土社より刊行されました。原書の刊行は2018年です。本書はまず、チンパンジー観察の難しさと、この分野におけるグドール(Dame Jane Morris Goodall)氏の功績を強調します。今では当然のように考えられている、チンパンジーが道具を…
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和田裕弘『織田信忠 天下人の嫡男』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。本書は織田信忠の親族と事績を丁寧に解説しており、一般向けの信忠の伝記として今後長く定番になるでしょう。信忠は本能寺の変で落命したさいに数え年26歳で、すでに家督を継承していたとはいえ、実権は父の信長にあったので、一般的な印象はさほど強くないかもしれません。かつて(今…
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古澤拓郎『ホモ・サピエンスの15万年 連続体の人類生態史』

 『叢書・知を究める』の一冊として(15)、ミネルヴァ書房より2019年4月に刊行されました。表題にあるように、本書は基本的に現生人類(Homo sapiens)のみを対象としています。本書の基調は、現生人類(人間)を「連続体(スペクトラム)」として把握することです。肌の色は何らかの能力と連動しているわけではなく、メラネシアの比較的狭い…
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内藤一成『三条実美 維新政権の「有徳の為政者」』

 中公新書の一冊として、中央公論社より2019年2月に刊行されました。三条実美の一般的な評価は高くない、と言えるでしょう。歴史ドラマでも、おおむね優柔不断で優秀ではない人物として描かれてきたように思います。内閣制度導入の一因として、政治力に欠ける三条実美の更迭が必要だった、とも指摘されているくらいです(関連記事)。本書も、三条の政治的な…
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河辺俊雄『人類進化概論 地球環境の変化とエコ人類学』

 東京大学出版会より2019年3月に刊行されました。本書は大学初年次クラスの自然人類学の教科書として執筆されたとのことで、人類の誕生から農耕の始まりの頃までを概観しています。表題にあるように、環境変化を重視しているのが本書の特徴で、最初に1章を割いて地球環境の変化を解説しています。本書は700万年にわたる人類の身体および行動面での進化を…
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岡本隆司『世界史とつなげて学ぶ中国全史』

 2019年7月に東洋経済新報社より刊行されました。本書は経済を中心とした社会構造の観点からの中国通史です。政治史的要素は薄く、英雄譚的な要素も希薄なため、人間関係中心の通史を期待して読むと、失望するかもしれません。しかし、中国史の大きな構造が提示されているという点で、読みごたえがあります。もちろん、個人による広範な地域を対象とした通史…
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長澤伸樹『楽市楽座はあったのか』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2019年2月に刊行されました。以前は「楽市楽座」について強い関心を抱き、色々と調べましたが、もう15年以上勉強を怠っていたので、最近の研究成果を把握するために読みました(まあ、15年前に最新の研究成果を把握できたいたのかというと、そうではないのですが)。本書は「楽市楽座」に関する各史…
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大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年7月に刊行されました。本書は独ソ戦の一般向け概説となりますが、戦況の推移や軍部指導層の思惑や兵器についてのみ取り上げた「狭義の軍事史」ではなく、「絶滅戦争」とも言われる独ソ戦のイデオロギー的性格や、当時の独ソ両国の政治状況も重視しており、独ソ戦を広い視野から位置づけています。独ソ戦に…
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岩明均『ヒストリエ』第11巻発売(講談社)

 待望の第11巻が刊行されました。実に2年3ヶ月振りの新刊となります。第10巻は、紀元前337年、フィリッポス2世とエウリュディケの婚礼が秋と決定し、「王の左腕」に選ばれたエウメネスがマケドニアから去る決断をしたところで終了しました。第11巻は、マケドニアの首都ペラで、商人2名が心は脳と心臓のどちらにあるのか、尋ねて回っている場面から始…
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石浦章一『王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎』

 講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2019年6月に刊行されました。本書はおもに王族を対象として、DNA解析により解明された世界史上の著名人の「謎」を取り上げています。具体的には、リチャード3世、ツタンカーメン、ジョージ3世、ラムセス3世、トーマス・ジェファーソンです。本書の主題からして、醜聞めいた内容になることは避けられない…
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本郷恵子『院政 天皇と上皇の日本史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2019年5月に刊行されました。本書は古代と近世にも言及しつつ、おもに中世を対象として、院政がどのように確立し、変容していったのか、解説しています。本書は、院政の前提というか院政との類似として、藤原道長の権力掌握の在り様を挙げています。公職を退いた道長は「大殿」として権勢をふるいますが、これは公式…
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佐藤弘夫『「神国」日本 記紀から中世、そしてナショナリズムへ』

 講談社学術文庫の一冊として、2018年6月に講談社より刊行されました。本書の親本『神国日本』は、ちくま新書の一冊として2006年4月に筑摩書房より刊行されました。以前、当ブログにて本書を取り上げましたが、制限字数の2万文字を超えてしまったので、前編と後編に分割しました。今週(2019年7月2日)、ウェブリブログの大規模メンテナンスおよ…
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小路田泰直『日本史の思想』、『「邪馬台国」と日本人』、『邪馬台国と「鉄の道」』

 小路田泰直氏の著書で過去に取り上げたものを一つの記事にまとめます。『日本史の思想』の雑感は2001年12月に前編と後編に分割して、『「邪馬台国」と日本人』の雑感は2001年5月に、『邪馬台国と「鉄の道」』の雑感は2011年9月にそれぞれ掲載しました。小路田氏の著書の雑感をまとめようと思ったのは、近年、小路田氏の著書『卑弥呼と天皇制』(…
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山極寿一、小原克博『人類の起源、宗教の誕生 ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき』

 平凡社新書の一冊として平凡社より2019年5月に刊行されました。補論を除いて対談形式になっています。第1章では、宗教の起源として共存のための倫理が挙げられており、この点に関して、(人間を除く)動物と人間との間の連続性が指摘されています。宗教を人間と動物の決定的な違いとするヨーロッパ世界で根強い観念が、一定以上相対化されています。ただ、…
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渡邉義浩『漢帝国 400年の興亡』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年5月に刊行されました。本書は秦王朝崩壊期から『三国志』の時代までを対象とし、漢王朝の前提となる秦の制度と、漢王朝滅亡後の漢の「古典化」にも言及しています。本書は、「漢」がいかに「中国の古典」となったのか、儒教を中心に解説しています。古典的というか通俗的見解では、前漢武帝期に儒教が国教化さ…
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佐伯智広『皇位継承の中世史 血統をめぐる政治と内乱』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2019年4月に刊行されました。本書は皇位継承の視点からの政治史となっています。表題に「中世史」とあるように、おもに院政期から室町時代前半までが対象となっていますが、古代にもそれなりの分量が割かれています。通史で皇位継承問題に言及されることは珍しくありませんが、古代にもそれなりの分量を割…
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乃至政彦『平将門と天慶の乱』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2019年4月に刊行されました。本書は、平将門の怨霊譚など、将門が後世においてどう語られてきたのか、という問題も取り上げつつ、天慶の乱を中心に将門の生涯を解説していきます。やや個人の心情に踏み込みすぎているかな、とも思うのですが、将門の怨霊譚にもそれなりに分量が割かれており、一般向け書籍であること…
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