テーマ:読書

伊藤之雄『大隈重信』上・下

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年7月に刊行されました。大隈重信は83歳まで生き、若き日より政治の場で活躍し、76歳で首相に就任し(第二次大隈内閣)、78歳まで務めただけに、取り上げるべき事柄は多く、新書で取り上げるとなると、過不足なく適切にその事績を叙述するのはなかなか難しいと思います。本書は新書としては大部の上下2巻…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

久住眞理、久住武『ヒューマン 私たち人類の壮大な物語─生命誕生から人間の未来までを見すえる総合科学』

 人間総合科学大学より2018年5月に刊行されました。本書は人間の総合的理解を意図しています。そのため本書は、DNAのような分子から、細胞→組織→臓器→個体→個体群(社会)→生物圏(生態系)まで各階層を扱い、それらを統合して人間を理解しようとしています。したがって、狭義の生物学だけではなく、文化的な側面にも多くの分量が割かれており、農耕…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

中野等『太閤検地 秀吉が目指した国のかたち』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。本書は太閤検地を、一貫した方針・基準のもとに遂行されたものとして把握するのではなく、その時々の政治情勢から読み解いていきます。豊臣政権に服属したばかりの大名の領地、豊臣秀吉から疑いを抱かれていた大名の領地、秀吉により改易され、新たな領主が入部することになった地域など…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

Craig Stanford『新しいチンパンジー学 わたしたちはいま「隣人」をどこまで知っているのか?』

 クレイグ・スタンフォード(Craig Stanford)著、的場知之訳で、2019年3月に青土社より刊行されました。原書の刊行は2018年です。本書はまず、チンパンジー観察の難しさと、この分野におけるグドール(Dame Jane Morris Goodall)氏の功績を強調します。今では当然のように考えられている、チンパンジーが道具を…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

和田裕弘『織田信忠 天下人の嫡男』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。本書は織田信忠の親族と事績を丁寧に解説しており、一般向けの信忠の伝記として今後長く定番になるでしょう。信忠は本能寺の変で落命したさいに数え年26歳で、すでに家督を継承していたとはいえ、実権は父の信長にあったので、一般的な印象はさほど強くないかもしれません。かつて(今…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

古澤拓郎『ホモ・サピエンスの15万年 連続体の人類生態史』

 『叢書・知を究める』の一冊として(15)、ミネルヴァ書房より2019年4月に刊行されました。表題にあるように、本書は基本的に現生人類(Homo sapiens)のみを対象としています。本書の基調は、現生人類(人間)を「連続体(スペクトラム)」として把握することです。肌の色は何らかの能力と連動しているわけではなく、メラネシアの比較的狭い…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

内藤一成『三条実美 維新政権の「有徳の為政者」』

 中公新書の一冊として、中央公論社より2019年2月に刊行されました。三条実美の一般的な評価は高くない、と言えるでしょう。歴史ドラマでも、おおむね優柔不断で優秀ではない人物として描かれてきたように思います。内閣制度導入の一因として、政治力に欠ける三条実美の更迭が必要だった、とも指摘されているくらいです(関連記事)。本書も、三条の政治的な…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

河辺俊雄『人類進化概論 地球環境の変化とエコ人類学』

 東京大学出版会より2019年3月に刊行されました。本書は大学初年次クラスの自然人類学の教科書として執筆されたとのことで、人類の誕生から農耕の始まりの頃までを概観しています。表題にあるように、環境変化を重視しているのが本書の特徴で、最初に1章を割いて地球環境の変化を解説しています。本書は700万年にわたる人類の身体および行動面での進化を…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

岡本隆司『世界史とつなげて学ぶ中国全史』

 2019年7月に東洋経済新報社より刊行されました。本書は経済を中心とした社会構造の観点からの中国通史です。政治史的要素は薄く、英雄譚的な要素も希薄なため、人間関係中心の通史を期待して読むと、失望するかもしれません。しかし、中国史の大きな構造が提示されているという点で、読みごたえがあります。もちろん、個人による広範な地域を対象とした通史…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

長澤伸樹『楽市楽座はあったのか』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2019年2月に刊行されました。以前は「楽市楽座」について強い関心を抱き、色々と調べましたが、もう15年以上勉強を怠っていたので、最近の研究成果を把握するために読みました(まあ、15年前に最新の研究成果を把握できたいたのかというと、そうではないのですが)。本書は「楽市楽座」に関する各史…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年7月に刊行されました。本書は独ソ戦の一般向け概説となりますが、戦況の推移や軍部指導層の思惑や兵器についてのみ取り上げた「狭義の軍事史」ではなく、「絶滅戦争」とも言われる独ソ戦のイデオロギー的性格や、当時の独ソ両国の政治状況も重視しており、独ソ戦を広い視野から位置づけています。独ソ戦に…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

岩明均『ヒストリエ』第11巻発売(講談社)

 待望の第11巻が刊行されました。実に2年3ヶ月振りの新刊となります。第10巻は、紀元前337年、フィリッポス2世とエウリュディケの婚礼が秋と決定し、「王の左腕」に選ばれたエウメネスがマケドニアから去る決断をしたところで終了しました。第11巻は、マケドニアの首都ペラで、商人2名が心は脳と心臓のどちらにあるのか、尋ねて回っている場面から始…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

石浦章一『王家の遺伝子 DNAが解き明かした世界史の謎』

 川端裕人著、海部陽介監修で、講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2019年6月に刊行されました。本書はおもに王族を対象として、DNA解析により解明された世界史上の著名人の「謎」を取り上げています。具体的には、リチャード3世、ツタンカーメン、ジョージ3世、ラムセス3世、トーマス・ジェファーソンです。本書の主題からして、醜聞めいた…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

本郷恵子『院政 天皇と上皇の日本史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2019年5月に刊行されました。本書は古代と近世にも言及しつつ、おもに中世を対象として、院政がどのように確立し、変容していったのか、解説しています。本書は、院政の前提というか院政との類似として、藤原道長の権力掌握の在り様を挙げています。公職を退いた道長は「大殿」として権勢をふるいますが、これは公式…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

佐藤弘夫『「神国」日本 記紀から中世、そしてナショナリズムへ』

 講談社学術文庫の一冊として、2018年6月に講談社より刊行されました。本書の親本『神国日本』は、ちくま新書の一冊として2006年4月に筑摩書房より刊行されました。以前、当ブログにて本書を取り上げましたが、制限字数の2万文字を超えてしまったので、前編と後編に分割しました。今週(2019年7月2日)、ウェブリブログの大規模メンテナンスおよ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

小路田泰直『日本史の思想』、『「邪馬台国」と日本人』、『邪馬台国と「鉄の道」』

 小路田泰直氏の著書で過去に取り上げたものを一つの記事にまとめます。『日本史の思想』の雑感は2001年12月に前編と後編に分割して、『「邪馬台国」と日本人』の雑感は2001年5月に、『邪馬台国と「鉄の道」』の雑感は2011年9月にそれぞれ掲載しました。小路田氏の著書の雑感をまとめようと思ったのは、近年、小路田氏の著書『卑弥呼と天皇制』(…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

山極寿一、小原克博『人類の起源、宗教の誕生 ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき』

 平凡社新書の一冊として平凡社より2019年5月に刊行されました。補論を除いて対談形式になっています。第1章では、宗教の起源として共存のための倫理が挙げられており、この点に関して、(人間を除く)動物と人間との間の連続性が指摘されています。宗教を人間と動物の決定的な違いとするヨーロッパ世界で根強い観念が、一定以上相対化されています。ただ、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

渡邉義浩『漢帝国 400年の興亡』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年5月に刊行されました。本書は秦王朝崩壊期から『三国志』の時代までを対象とし、漢王朝の前提となる秦の制度と、漢王朝滅亡後の漢の「古典化」にも言及しています。本書は、「漢」がいかに「中国の古典」となったのか、儒教を中心に解説しています。古典的というか通俗的見解では、前漢武帝期に儒教が国教化さ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

佐伯智広『皇位継承の中世史 血統をめぐる政治と内乱』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2019年4月に刊行されました。本書は皇位継承の視点からの政治史となっています。表題に「中世史」とあるように、おもに院政期から室町時代前半までが対象となっていますが、古代にもそれなりの分量が割かれています。通史で皇位継承問題に言及されることは珍しくありませんが、古代にもそれなりの分量を割…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

乃至政彦『平将門と天慶の乱』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2019年4月に刊行されました。本書は、平将門の怨霊譚など、将門が後世においてどう語られてきたのか、という問題も取り上げつつ、天慶の乱を中心に将門の生涯を解説していきます。やや個人の心情に踏み込みすぎているかな、とも思うのですが、将門の怨霊譚にもそれなりに分量が割かれており、一般向け書籍であること…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

森恒二『創世のタイガ』第5巻(講談社)

 本書は2019年5月に刊行されました。第5巻は、タイガが、住まわせてもらっている現生人類(Homo sapiens)の集落を襲撃してきたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と戦う場面から始まります。タイガは苦戦しつつも、ウルフ(タイガが飼っている狼)と共同してネアンデルタール人を殺していきます。タイガはネア…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

佐藤信『日本古代の歴史6 列島の古代』

 『日本古代の歴史』全6巻の第6巻として2019年3月に吉川弘文館より刊行されました。本書は第1巻~第5巻で扱われた、更新世~平安時代にかけての概説となっており、ユーラシア東部世界を視野に入れた叙述になっていることと、考古学的成果も積極的に取り入れているのが特徴です。本書は、更新世~平安時代という長期間を対象とした概説だけに(更新世~縄…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

Vybarr Cregan-Reid『サピエンス異変 新たな時代「人新世」の衝撃』

 ヴァイバー・クリガン=リード(Vybarr Cregan-Reid)著、水谷淳・鍛原多惠子訳、真柴隆弘解説で、飛鳥新社より2018年12月に刊行されました。原書の刊行は2018年です。本書は、現代社会の環境の多くが人間にとって「ミスマッチ」となっており、それが腰痛・糖尿病・肥満・近視などの要因になっている、と指摘します。『人体600万…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

大木毅『「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨』

 角川新書の一冊として、KADOKAWAから2019年3月に刊行されました。ロンメルについて、近年の研究動向を踏まえた伝記を読みたいというよりも、そもそもロンメルについて基礎的な知識も怪しいので、一から知りたい、という目的で本書を読みました。じっさい私は、ロンメルについての初歩的な知識も欠けており、第二次世界大戦後に西ドイツでシュトゥッ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

篠田謙一『日本人になった祖先たち DNAが解明する多元的構造』

 NHKBOOKSの一冊として、2019年3月にNHK出版から刊行されました。本書は2007年2月刊行の『日本人になった祖先たち』(関連記事)の改訂版となります。本書は基礎的な解説に分量を割いており、DNA解析による人類集団の移動の推定の限界も指摘しているので、一般向けとして配慮された良書になっていると思います。著者が認めるように、前著…
トラックバック:2
コメント:0

続きを読むread more

更科功『進化論はいかに進化したか』

 新潮選書の一冊として、新潮社より2019年2月に刊行されました。本書は2部構成になっています。第1部は進化のメカニズム、第2部は一般層の関心の高そうな具体的事例を取り上げています。本書は第1部でダーウィンを起点として、進化論がいかに変容してきたのか、解説しています。本書で強調されているのは、ダーウィン自身もその生涯において見解が変わっ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

佐藤信編『古代史講義【戦乱篇】』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2019年3月に刊行されました。本書は、佐藤信編『古代史講義 邪馬台国から平安時代まで』(関連記事)の続編というか、対となる1冊だと言えるでしょう。以下、本書で提示された興味深い見解について備忘録的に述べていきます。なお、以下の西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です。 第1講●大高…
トラックバック:1
コメント:0

続きを読むread more

河上麻由子『古代日中関係史 倭の五王から遣唐使以降まで』

 中公新書の一冊として、中央公論社より2019年3月に刊行されました。本書は、いわゆる倭の五王の時代から、遣隋使・遣唐使の時代を経て、「日中」の「国家間」の関係が途絶えた10世紀までを対象としています。倭の五王に関しては、武を最後に遣使が途絶えた理由として、日本列島における「天下」概念の成長・肥大化によるものではなく、武(雄略)死後の王…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

石井公成『東アジア仏教史』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年2月に刊行されました。率直に言って、本書は新書としてはかなり密度の濃い一冊になっており、一読しただけでは、概略を把握することも困難でした。もちろん、これは私に仏教史の知見が著しく欠けているためで、仏教史の教科書として、今後再読していかねばならないな、と痛感しています。本書は、1章を割…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

李相僖、尹信榮『人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ』

 イ・サンヒ(Sang-Hee Lee、李相僖)、ユン・シンヨン(Shin-Young Yoon、尹信榮)著、松井信彦訳で、早川書房より2018年12月に刊行されました。原書の刊行は2015年です。本書は人類進化史を時系列に沿って体系的に解説するのではなく、一般層で関心の高そうな話題を各章で扱う、という構成になっています(付録2は簡略な…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more