テーマ:日本史近世

渡辺尚志『百姓たちの幕末維新』

 草思社より2017年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は百姓視点の幕末維新史です。私のような非専門家だと、幕末維新史はどうしても、将軍など幕府要人、雄藩の大名や著名家臣、志士、列強との外交関係に注目しがちでしょうから、百姓視点本書の一般向け書籍の意義は大きいと思います。本書が対象とする年代は1830年代から1880年代で…
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黒田基樹『下剋上』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2021年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、戦国時代の重要な特徴と一般的に考えられている下剋上の実像を個別の事例から検証していきます。下剋上という言葉は戦国時代の前から低頻度ながら使用されており、その意味は、家臣による主君の排除だけではなく、百姓が領主支配に抵抗したり、下位の者が…
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黒田基樹『羽柴家崩壊』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2017年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、豊臣氏羽柴家の崩壊過程を、関ヶ原合戦後から片桐且元の大坂城退去まで、羽柴秀頼およびその生母の茶々と片桐且元との関係の視点から取り上げます。関ヶ原合戦後、秀頼はまだ幼く、茶々が「女主人」として羽柴家を率います。本書は、茶々が片…
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黒田基樹『戦国北条家の判子行政』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2020年10月に刊行されました。本書は、戦国大名である北条家の領国統治の仕組みが、その後の近世大名と基本的に変わらなかった、とその意義を高く評価します。江戸時代につながる統治権力による領民統治の基本的な仕組みは、織田信長と羽柴秀吉ではなく、すでに戦国大名により作り出されていた、というわけです。本書は…
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黒田基樹『関東戦国史 北条VS上杉55年戦争の真実』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2017年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、織田信長と羽柴秀吉による天下一統路線を大前提とする通俗的な結果論的戦国時代認識に対して、関東における「関東の副将軍」たる上杉と「日本の副将軍たる」北条(後北条)との55年にわたる抗争に着目し、戦国時代の変化を把握します。信長…
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町田明広『攘夷の幕末史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2010年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は複雑な幕末情勢を、主に「攘夷」の観点から解説します。本書は、幕末の「日本人(の武士など一定以上の知識層」にとって「攘夷」は常識だった、と指摘します。「国論」が分裂したのは、「攘夷」の具体的手段が大きく二つに分かれていたからでした。一方は、…
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安藤優一郎『島津久光の明治維新 西郷隆盛の“敵"であり続けた男の真実』

 イースト・プレスより2017年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。島津久光の一般的な印象は、今でもたいへん悪いように思います。時代錯誤の頑迷な保守派で、名君である異母兄の斉彬と比較して人物は大きく劣り、明治維新の功績は久光ではなく大久保利通たち家臣のもので、それどころか、久光は家臣たちに騙されて討幕に加担してしまった間抜けな…
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柴裕之『織田信長 戦国時代の「正義」を貫く』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2020年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、旧弊・旧勢力を破壊し、新たな時代を築いた革新者という通俗的な印象が抱かれている信長を、「同時代人」として把握します。信長はあくまでも当時の社会秩序下で生きた人物だ、というわけです。本書は織田が尾張においてどのような立場にあ…
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平井上総『列島の戦国史8 織田政権の登場と戦国社会』

 吉川弘文館より2020年10月に刊行されました。『列島の戦国史』は全9巻で、すべて読まねばならないところですが、戦国時代の優先順位は以前ほど高くないので、まずは最も関心の高い話題を扱っているだろう本書を読むことにしました。昨年(2020年)半ば頃に電子書籍に移行したので、漫画作品の『卑弥呼』と『創世のタイガ』の単行本を除いて紙の書籍を…
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白峰旬編『関ヶ原大乱、本当の勝者』

 日本史史料研究会監修で、朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2020年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。関ヶ原の戦いについても20年近く勉強を怠っているので、近年の知見を得るために読むことにしました。 序章●白峰旬「「関ヶ原の戦い」の従来イメージ打破に向けて」  関ヶ原の戦いに関するじゅうらいの通俗的印象…
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原口泉『明治維新はなぜ薩摩からはじまったのか』

 パンダ・パブリッシングより2015年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、薩摩藩が幕末に大きな影響力を有するに至ったことに関して、18世紀にまでさかのぼって検証しています。本書は、薩摩藩が組織として動いたからこそ幕末に大きな影響力を有した、という視点から、家老、とくにそのうちの二人に注目しています。一人は幕府の命により行…
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光成準治『本能寺前夜 西国をめぐる攻防』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2020年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、地域としては畿内よりも西、とくに毛利を、年代は織田信長の上洛から本能寺の変までを主要な対象として、織田権力と西国の大名・領主層との関係に着目し、本能寺の変を検証しています。本書から窺えるのは、戦国時代の領主層の自立性と、それがとくに境目…
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天野忠幸『松永久秀と下剋上 室町の身分秩序を覆す』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2018年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。随分前に読んだ本か記事では、松永久秀は出自不明とされていたように記憶しています。本書では、久秀の出自は摂津国の五百住の土豪だった可能性が高い、とされています。久秀は当時としてはそれなりの身分の生まれだったようですが、父の名前も伝わっ…
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川戸貴史『戦国大名の経済学』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2020年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、大名領国の収入と支出の分析から、戦国時代の日本経済の構造、さらにはアジア東部および南東部とのつながりまでを対象としており、戦国大名の領国経営という一見すると細かい主題ながら、広い視野を提示しているように思います。こうした一般向け書籍では…
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鈴木眞哉『戦国時代の計略大全』

 PHP新書の一冊として、2011年6月にPHP研究所より刊行されました。奇襲・水攻め・火攻め・伏兵・内応などといった、合戦における奇策・計略の事例を紹介しています。軍記物や講談が出典の話も多いので、単に紹介するだけではなく、創作の可能性が高いなどといった評価もなされています。戦国時代の事例が中心なのですが、南北朝時代や平安時代末期など…
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桐野作人『明智光秀と斎藤利三』

 宝島社新書の一冊として、宝島社から2020年3月に刊行されました。表題にあるように、本書は本能寺の変における斎藤利三の役割を重視しています。まず不明な点の多い明智光秀の前半生ですが、やはり確実な史料はないようで、本書も後世の編纂史料などから推測するに留まっています。本書から窺えるのは、光秀は美濃土岐氏もしくは土岐明智氏のなかなか有力な…
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福留真紀『将軍と側近 室鳩巣の手紙を読む』

 新潮新書の一冊として、新潮社から2014年12月に刊行されました。本書は、室鳩巣の視線を通して、江戸時代中期、6代将軍家宣~8代将軍吉宗の時代までの幕府政治史を検証しています。本書は、将軍個人に仕え、将軍の交代とともに失脚することもある側近と、幕府官僚として将軍が交代しても政権中枢にい続ける老中とを対比させ、この期間の幕府政治史を描い…
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松尾千歳『シリーズ・実像に迫る11 島津斉彬』

 戎光祥出版から2017年7月に刊行されました。本書は島津斉彬の生涯を、豊富な図版で分かりやすく解説しています。斉彬の背景として、島津がどのような家柄なのか、ということも鎌倉時代にまでさかのぼって簡略に説明されており、少ないページ数ながら、一般向け書籍としてなかなか配慮されていると思います。斉彬登場の背景として、琉球を服属させ、「中国」…
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渡邊大門『関ヶ原合戦は「作り話」だったのか 一次史料が語る天下分け目の真実』

 PHP新書の一冊として、2019年9月にPHP研究所より刊行されました。本書は、1600年9月15日(西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)の関ヶ原合戦の戦闘にまつわる見解・俗説を検証しているというより、関ヶ原合戦を長期の政治過程の転機として把握したうえで、そこへと至る政治情勢に関する見解・俗説を取り上げています。こうした本…
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三鬼清一郎『大御所徳川家康 幕藩体制はいかに確立したか』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年10月に刊行されました。本書は大御所時代の徳川家康、つまり征夷大将軍を息子の秀忠に譲ってから死去までの約10年を基本的には対象としています。この期間は、江戸幕府の体制確立においてたいへん重要となります。本書は、家康の大御所政治の前提として、養子も含めて息子に家督を譲った父親が、依然として…
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金子拓『信長家臣明智光秀』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2019年10月に刊行されました。来年(2019年)の大河ドラマの主人公は明智光秀なので、すでに光秀関連の一般向け書籍が複数刊行されていますし、今後も続々と刊行されていくでしょう。もう15年以上、戦国時代の勉強が停滞しているので、この機会に新たな知見を得るとともに復習することも目的に、光秀関連の一般向…
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中野等『太閤検地 秀吉が目指した国のかたち』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。本書は太閤検地を、一貫した方針・基準のもとに遂行されたものとして把握するのではなく、その時々の政治情勢から読み解いていきます。豊臣政権に服属したばかりの大名の領地、豊臣秀吉から疑いを抱かれていた大名の領地、秀吉により改易され、新たな領主が入部することになった地域など…
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和田裕弘『織田信忠 天下人の嫡男』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2019年8月に刊行されました。本書は織田信忠の親族と事績を丁寧に解説しており、一般向けの信忠の伝記として今後長く定番になるでしょう。信忠は本能寺の変で落命したさいに数え年26歳で、すでに家督を継承していたとはいえ、実権は父の信長にあったので、一般的な印象はさほど強くないかもしれません。かつて(今…
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長澤伸樹『楽市楽座はあったのか』

 シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2019年2月に刊行されました。以前は「楽市楽座」について強い関心を抱き、色々と調べましたが、もう15年以上勉強を怠っていたので、最近の研究成果を把握するために読みました(まあ、15年前に最新の研究成果を把握できたいたのかというと、そうではないのですが)。本書は「楽市楽座」に関する各史…
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三谷博『維新史再考 公議・王政から集権・脱身分化へ』

 NHKBOOKSの一冊として、2017年12月にNHK出版から刊行されました。本書は西南内乱の頃までの維新史を概観しています。本書は近代化の進展する世界の中に日本を位置づけ、さらには日本も含めて近代世界の前提となる近世の世界も解説しており、単なる幕末史ではなく、近世史の復習にもなります。本書は、400ページ超という分量の多さもあります…
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江戸時代の新知見

 新知見とはいっても、江戸時代に詳しい人々には常識的なものが多そうですし、私が見落としている新知見も多そうですが、まだ一般にはあまり知られていないかな、と思うものを中心にいくつかまとめてみました。基本的には『週刊新発見!日本の歴史』の該当号を参照しました。各項目の()の数字は号数を示します。なお、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換…
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桐野作人『龍馬暗殺』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2018年3月に刊行されました。坂本龍馬殺害(暗殺)事件(近江屋事件)への関心は高く、実行犯や黒幕などの「謎解き」が盛んです。しかし本書は、近江屋事件関連の史料を調査し、幕末のさまざまな殺害事件のなかでも近江屋事件は比較的よく解明されている方だ、と指摘します。竜馬を殺害したのは見廻組で、…
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呉座勇一『陰謀の日本中世史』

 角川新書の一冊として、KADOKAWAから2018年3月に刊行されました。本書は日本中世史におけるさまざまな陰謀論的見解を取り上げ、そうした見解のどこに問題があるのか、解説していきます。本書が対象としているのは保元の乱から関ケ原の戦いまでとなります。本書は、まず史実というか通説を簡潔に叙述し、その後に陰謀論的見解を紹介し、その問題点と…
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家近良樹『西郷隆盛 維新150年目の真実』

 これは12月17日分の記事として掲載しておきます。NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2017年11月に刊行されました。来年(2018年)の大河ドラマ『西郷どん』の主役である西郷隆盛について予習しておこうと思い、読んでみました。著者は、ミネルヴァ日本評伝選で本格的な西郷隆盛の伝記を著しており、そちらを読むべきなのでしょうが、今は…
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平井上総『兵農分離はあったのか』

 これは10月29日分の記事として掲載しておきます。シリーズ「中世から近世へ」の一冊として、平凡社より2017年9月に刊行されました。私はかつて兵農分離について熱心に調べていましたが、この十数年ほどは優先順位が以前ほど高くはなくなり、ほとんど勉強が進んでいません。それでも、まだ関心の高い問題なので、最新の研究成果を知る好機と思い読んでみ…
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