テーマ:アフロユーラシア史近現代

スコットランド人の遺伝的構造

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、スコットランド人の遺伝的構造に関する研究(Gilbert et al., 2019)が報道されました。ブリテン島とアイルランド島およびその周辺の島々では、移住と侵略により現代人集団が形成されてきました。ブリテン島に人類が移住してきたのは更新世で、完新世になると、紀元前4000~紀元前3000年頃に農…
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中国「教授拘束事件」の意味…内外の研究者に及ぶ管理・統制(追記有)

 表題の記事が公開されました。先々月(2019年9月)、中国で日本の国立大学教授が拘束された事件については当ブログでも言及しましたが(関連記事)、川島真氏の表題の記事は、この事件が深刻な意味を有するものである可能性を指摘しており、たいへん注目されます。この事件が「衝撃」だった理由として、川島氏は経緯・専門・準公務員とも言うべき国立大教授…
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中世カトリック教会による西洋工業化社会への心理的影響

 中世カトリック教会による西洋工業化社会への心理的影響に関する研究(Schulz et al., 2019)が公表されました。日本語の解説記事もあります。世界の人々の間には、心理的な信念や行動に大きなばらつきがあります。特に、西洋の工業国における個人主義は独特です。これまでの研究により、最近では「Western, Educated, I…
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長期にわたるローマ住民の遺伝的構成の変遷

 長期にわたるローマ住民の遺伝的構成の変遷に関する研究(Antonio et al., 2019)が報道されました。日本語の解説記事もあります。紀元前8世紀、ローマはイタリア半島の多くの都市国家の一つでした。1000年も経たないうちに、ローマは地中海全域を中心とする古代世界最大の帝国の首都となる大都市に成長しました。イタリア半島の一部と…
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浅野裕一『儒教 怨念と復讐の宗教』

 講談社学術文庫の一冊として、2017年8月に講談社より刊行されました。本書の親本『儒教 ルサンチマンの宗教』は平凡社新書の一冊として1999年5月に平凡社より刊行されました。本書は儒教の開祖とも言うべき孔子を、怨念と復讐に囚われた誇大妄想の人物と指摘します。孔子は、有徳の聖人こそが受命して天下を統治するという徳治主義を主張し、自らを周…
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岡本隆司『世界史とつなげて学ぶ中国全史』

 2019年7月に東洋経済新報社より刊行されました。本書は経済を中心とした社会構造の観点からの中国通史です。政治史的要素は薄く、英雄譚的な要素も希薄なため、人間関係中心の通史を期待して読むと、失望するかもしれません。しかし、中国史の大きな構造が提示されているという点で、読みごたえがあります。もちろん、個人による広範な地域を対象とした通史…
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大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2019年7月に刊行されました。本書は独ソ戦の一般向け概説となりますが、戦況の推移や軍部指導層の思惑や兵器についてのみ取り上げた「狭義の軍事史」ではなく、「絶滅戦争」とも言われる独ソ戦のイデオロギー的性格や、当時の独ソ両国の政治状況も重視しており、独ソ戦を広い視野から位置づけています。独ソ戦に…
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大木毅『「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨』

 角川新書の一冊として、KADOKAWAから2019年3月に刊行されました。ロンメルについて、近年の研究動向を踏まえた伝記を読みたいというよりも、そもそもロンメルについて基礎的な知識も怪しいので、一から知りたい、という目的で本書を読みました。じっさい私は、ロンメルについての初歩的な知識も欠けており、第二次世界大戦後に西ドイツでシュトゥッ…
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野村啓介『ナポレオン四代 二人のフランス皇帝と悲運の後継者たち』

 中公新書の一冊として、中央公論社より2019年2月に刊行されました。本書はボナパルト家の「ナポレオン四代」の視点からの近代フランス・ヨーロッパ史になっています。「ナポレオン四代」とは、初代が1804年に即位した有名な皇帝、二代目がその嫡男たるライヒシュタット公(ローマ王)、三代目が初代の甥である皇帝、四代目が三代目の嫡男です。新書一冊…
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君塚直隆『ヨーロッパ近代史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2019年1月に刊行されました。本書が対象とする時代は、ルネッサンスから第一次世界大戦の終結とレーニンの死去までとなります。本書は、宗教と科学というか「理性」との相克を軸に、この期間のヨーロッパの近代化を描写していきます。本書の構想の前提として、中世ヨーロッパは「神の時代」であり、キリスト教により統…
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東アジア仏教史でモンゴルやチベットも対象とされるべきか

 岩波新書の石井公成『東アジア仏教史』を購入してまだ読んでいませんが、同書について、 岩波新書の東アジア仏教史、案の定モンゴルやチベットの仏教を無視してる。 岩波は江戸以前の文化に関しては妙に保守、というか守旧なところがあるのだけど著者が師匠筋の学説から外れたがらないだけなのかもしれない。 との指摘があることを知りました。…
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小笠原弘幸『オスマン帝国 繁栄と衰亡の600年史』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2018年12月に刊行されました。オスマン帝国については、いつか林佳世子『興亡の世界史10 オスマン帝国500年の平和』(関連記事)を再読するつもりだったのですが、同書を再読する前に本書を読むことになりました。いつかは同書と本書を続けて再読するつもりです。本書は手軽に読めるオスマン帝国通史として優…
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竹中亨『ヴィルヘルム2世 ドイツ帝国と運命を共にした「国民皇帝」』

 中公新書の一冊として、中央公論新社から2018年5月に刊行されました。「あとがき」にあるように、ヴィルヘルム2世は、傲慢で独善的、癇性で衝動的、自信過剰で自己顕示欲が強烈という、とても個人的には付き合いたくはない人間です。しかし本書は、ヴィルヘルム2世には柔弱で依存心の強いところもあった多面的で矛盾した人物で、人格的矛盾こそ最大の人格…
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飯倉章『1918年最強ドイツ軍はなぜ敗れたのか ドイツ・システムの強さと脆さ』

 文春新書の一冊として、文藝春秋社より2017年12月に刊行されました。本書は第一次世界大戦におけるドイツの敗北を検証しています。第一次世界大戦でドイツは最終的に敗北し、帝政は崩壊したのですが、西部戦線ではイギリスとフランス、東部戦線ではロシアを相手に4年以上戦い、時に大勝することもありました。もっとも、ドイツは当時まだ(かろうじて)大…
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手稿の真贋を見分ける方法

 手稿の真贋を見分ける方法に関する研究(Newton et al., 2018)が公表されました。スコットランドの「国民的」詩人であるバーンズ(Robert Burns)の著作物については、発表から現在に至るまでに数多くの偽物が出現しています。原本であれば6000~9万ポンド(約90万円~1350万円)の売値がつくと考えられますが、本物…
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玉木俊明『ヨーロッパ繁栄の19世紀史 消費社会・植民地・グローバリゼーション』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2018年6月に刊行されました。本書はヨーロッパの「ベルエポック(良き時代)」がどのように成立したのか、さらにはその内実と影響を論じています。著者の他の著書としては、『ヨーロッパ覇権史』(関連記事)や『先生も知らない世界史』(関連記事)を当ブログで取り上げましたが、そのため、本書の見解で戸惑うことは…
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Richard Bessel『ナチスの戦争1918-1949 民族と人種の戦い』

 リチャード=ベッセル(Richard Bessel)著、大山晶訳で、中公新書の一冊として、中央公論新社から2015年7月に刊行されました。原書の刊行は2004年です。本書は対象とする時代を第二次世界大戦やナチス政権期に限定せず、第一次世界大戦におけるドイツの敗北から第二次世界大戦後の冷戦構造の確立の頃までを取り上げ、「ナチスの戦争」が…
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杉本淑彦『ナポレオン 最後の専制君主、最初の近代政治家』

 これは4月15日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店から2018年2月に刊行されました。最近、ナポレオンに関する本では『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』を読みましたが(関連記事)、同書がナポレオンの伝記というよりは、ナポレオン時代のパリの様相を中心に、フランス、さらにはヨーロッパにおけるナポレオン…
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楊海英『「中国」という神話 習近平「偉大なる中華民族」のウソ』

 これは4月8日分の記事として掲載しておきます。文春新書の一冊として、文藝春秋社から2018年1月に刊行されました。本書は内陸アジアの視点から「中国」を相対化し、中華人民共和国における体制教義とも言える「中華民族」なる概念(関連記事)に疑問を呈しています。本書が強調する中華人民共和国の民族差別について、誇張や認識の誤りを指摘する識者もい…
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人類の拡散などチベット関連記事のまとめ

 これは4月7日分の記事として掲載しておきます。チベット関連の記事をまとめてみます。チベット高原高地帯における人類の痕跡は15000年以上前までさかのぼるものの、人類が生活していたのか、それとも短期間の野営場として利用したのか、定かではありません(関連記事)。チベット高原高地帯における農耕は3600年前頃までさかのぼり、海抜3400mに…
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Alistair Horne『ナポレオン時代 英雄は何を遺したか』

 これは2月11日分の記事として掲載しておきます。アリステア=ホーン(Alistair Horne)著、大久保庸子訳で、中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年12月に刊行されました。原書の刊行は2004年です。ナポレオンの伝記を読んだのは10代の頃で、それ以降はフランス史も含めて近代ヨーロッパ史の一般向け書籍くらいでしかナポレ…
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石野裕子『物語 フィンランドの歴史 北欧先進国「バルト海の乙女」の800年』

 これは2月4日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年10月に刊行されました。本書はフィンランドの通史で、基本的にはスウェーデンの支配下以降の時期が対象となっています。新石器時代や更新世についてもわずかに言及されており、フィンランド西部で4万年以上前のネアンデルタール人(Homo neander…
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長谷川貴彦『イギリス現代史』

 これは11月26日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店から2017年9月に刊行されました。本書は、第二次世界大戦から、昨年(2016年)の国民投票でのEU(ヨーロッパ連合)離脱の決定と、今年の総選挙までを取り上げています。まさに現代史といった感じで、手堅くまとめられており、私のような門外漢にとって手ご…
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渡辺克義『物語 ポーランドの歴史 東欧の「大国」の苦難と再生』

 これは10月22日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年7月に刊行されました。本書は10世紀後半~現代までのポーランド史を概観しています。ポーランド映画への言及は多めなのですが、政治史が主体で、文化史・経済史は少なく、社会構造への言及はきわめて少なくなっています。ポーランドの通史なのですから、…
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小野寺史郎『中国ナショナリズム 民族と愛国の近現代史』

 これは10月8日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年6月に刊行されました。本書は、19世紀末から現在までの中国におけるナショナリズムの変容を検証しています。近現代中国のナショナリズムは、伝統的世界観を前提に、西洋の衝撃への対応として形成されていったものなので(中国に限らず、非西洋地域の近代は…
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光田剛編『現代中国入門』

 これは9月24日分の記事として掲載しておきます。ちくま新書の一冊として、筑摩書房から2017年5月に刊行されました。本書は、歴史・現代文化・国際関係・軍事など、さまざまな観点から現代中国を論じています。歴史に関しては、やはり近現代史が中心となるのですが、現代中国の前提として、前近代史についても随所で言及されています。台湾・中華民国につ…
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澁谷由里『<軍>の中国史』

 これは9月3日分の記事として掲載しておきます。講談社現代新書の一冊として、講談社から2017年1月に刊行されました。本書は軍事的観点からの中国通史です。古代・中世(唐代まで)と近世(宋~18世紀末まで)にも1章ずつ、近代以降に3章割かれています。現代中国社会では、前近代と近代との境目としてアヘン戦争が特筆されているようですが、本書では…
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カナダにおける人口増加の要因

 カナダにおける人口増加の要因に関する研究(Pelletier et al., 2017)が公表されました。これまで、進化は時間のかかる過程だと考えられてきました。しかし最近では、進化には生物種の生態学的動態に測定可能な違いを生み出すだけの速さがあり、たとえば人口増加率を高めたり、地理的分布の拡大を加速したりする、という認識が浸透しつつ…
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今井宏平『トルコ現代史 オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで』

 これは2月19日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年1月に刊行されました。本書は、オスマン帝国の崩壊・トルコ共和国の成立から、昨年(2016年)までのトルコの動向を対象としています。本書は経済・社会構造・文芸なども取り上げていますが、ほぼ政治史になっており、政党政治の変遷や民族問題・外交が詳…
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アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源

 アイルランドの移動型民族集団であるアイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関する研究(Gilbert et al., 2017)が公表されました。アイルランド国内のトラヴェラー集団の人口は29000~40000人と推定されており、アイルランドの総人口の約0.6%に相当します。アイリッシュ・トラヴェラー集団の起源に関しては、1845~18…
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