テーマ:アフロユーラシア史前近代

アハルテケの起源

 トルクメニスタン原産の馬とされるアハルテケの起源について、2020年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)で報告されました(Zhu., 2020)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P319)。この研究は、中華人民共和国新疆(Xinjiang)ウイグル自治区石河子(Shihezi)市十戸窯(Shihuyao)村の墓で発見された…
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ヨーロッパ東部における後期新石器時代の漸進的な遺伝的混合

 ヨーロッパ東部における後期新石器時代の漸進的な遺伝的混合に関する研究(Immel et al., 2020)が公表されました。ヨーロッパ東部の考古学的記録では、農耕生活様式の最初の証拠は紀元前六千年紀に現れ、その頃に、たとえば紀元前5400~紀元前4900年頃となる線形陶器文化(Linear Pottery、Linearbandker…
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地中海西部諸島における新石器時代以降の人口史

 地中海西部諸島における新石器時代以降の人口史に関する研究(Fernandes et al., 2020)が報道されました。紀元前3000年頃、ポントス-カスピ海草原(中央ユーラシア西北部から東ヨーロッパ南部までの草原地帯)を起源とする人々が西進し始め、ヨーロッパ中央部の在来農耕民と交雑し、縄目文土器(Corded Ware)文化集団の…
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中期新石器時代から現代のサルデーニャ島の人口史

 中期新石器時代から現代のサルデーニャ島の人口史に関する研究(Marcus et al., 2020)が報道されました。サルデーニャ島は、100歳以上の割合が高く、βサラセミアやグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症のような自己免疫疾患や病気の割合が平均よりも高いため、病気や加齢に関連する可能性のある遺伝的多様体を発見するた…
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ニワトリではなく飼育していたキジを消費していた中国北西部の初期農耕民

 中国北西部の初期農耕民によるニワトリではなく飼育していたキジの消費を報告した研究(Barton et al., 2020)が公表されました。現在では、農耕・牧畜(植物の栽培化・動物の家畜化)は、年代は異なりつつも世界の複数の地域で独自に始まり、周辺地域に拡散していった、と考えられており、この問題に関しては2014年の総説的論文が今でも…
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早期新石器時代ピレネー山脈における虐殺

 早期新石器時代ピレネー山脈における虐殺に関する研究(Alt et al., 2020)が公表されました。中期~後期更新世にはヒトは基本的に狩猟採集民でしたが、平等主義の倫理のため本質的には善良で平和的だった、という考えがかつては浸透していました。この仮説では、12000年前頃の農耕開始以後(もちろん、地域により農耕開始年代は異なります…
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中国の紀元前の陵墓で発見された絶滅テナガザル

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、中国の陵墓で発見された絶滅テナガザルに関する研究(Turvey et al., 2018)が公表されました。日本語の解説記事もあります。この研究は、中華人民共和国陝西省西安市長安区にある2300~2200年前頃の陵墓で発見されたテナガザルについて報告しています。この陵墓には、秦の孝文王の側室…
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ピャスト朝の遺伝的調査

 ポーランドのピャスト朝の遺伝的調査に関して報道されました。この研究では、ピャスト家の人々の遺伝子を調べ、王家の起源や個体間の血縁関係、さらには健康や外見も明らかにしようとしています。当初、ポーランド全土と他地域から、500人の被葬者がピャスト家の構成員の候補とされたそうです。しかし、ほとんどの場合、墓が破壊されていたか、遺骨が後世のも…
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中世バスク地方で見られる寒冷期におけるミトコンドリアへの選択圧とトレードオフ

 中世バスク地方におけるミトコンドリアへの選択圧とトレードオフに関する研究(Laza et al., 2019)が公表されました。エネルギーを生成し活性酸素を生産するミトコンドリアの機能障害は、神経変性疾患や代謝性疾患やリウマチ性病変や加齢および癌と関連する過程など、いくつかのヒト疾患の発症に影響を与えているかもしれない、とさまざまな証…
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渡邉義浩『はじめての三国志 時代の変革者・曹操から読みとく』

 ちくまプリマー新書の一冊として、筑摩書房から2019年11月に刊行されました。著者は現在、早稲田佐賀中学・高校の理事長とのことで、本書は『三国志』に興味を抱いた中高生向けに書かれたそうです。確かに、全体的に平易な文章になっており、分かりやすく解説しよう、という意図は伝わってきます。ただ、「はじめての三国志」と題している割には、官渡の戦…
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古代人が噛んだカバノキの樹脂に含まれる遺伝的情報(追記有)

 古代人が噛んだカバノキ(Betula pendula)の樹脂に含まれる遺伝的情報についての研究(Jensen et al., 2019)が報道されました。カバノキの樹脂は樹皮を加熱することで得られる暗褐色の物質で、中期更新世(76万~126000年前頃)以降、接着剤として用いられてきました。カバノキの樹脂はスカンジナビア半島の遺跡で一…
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スコットランド人の遺伝的構造

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、スコットランド人の遺伝的構造に関する研究(Gilbert et al., 2019)が報道されました。ブリテン島とアイルランド島およびその周辺の島々では、移住と侵略により現代人集団が形成されてきました。ブリテン島に人類が移住してきたのは更新世で、完新世になると、紀元前4000~紀元前3000年頃に農…
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中国「教授拘束事件」の意味…内外の研究者に及ぶ管理・統制(追記有)

 表題の記事が公開されました。先々月(2019年9月)、中国で日本の国立大学教授が拘束された事件については当ブログでも言及しましたが(関連記事)、川島真氏の表題の記事は、この事件が深刻な意味を有するものである可能性を指摘しており、たいへん注目されます。この事件が「衝撃」だった理由として、川島氏は経緯・専門・準公務員とも言うべき国立大教授…
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中世カトリック教会による西洋工業化社会への心理的影響

 中世カトリック教会による西洋工業化社会への心理的影響に関する研究(Schulz et al., 2019)が公表されました。日本語の解説記事もあります。世界の人々の間には、心理的な信念や行動に大きなばらつきがあります。特に、西洋の工業国における個人主義は独特です。これまでの研究により、最近では「Western, Educated, I…
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長期にわたるローマ住民の遺伝的構成の変遷

 長期にわたるローマ住民の遺伝的構成の変遷に関する研究(Antonio et al., 2019)が報道されました。日本語の解説記事もあります。紀元前8世紀、ローマはイタリア半島の多くの都市国家の一つでした。1000年も経たないうちに、ローマは地中海全域を中心とする古代世界最大の帝国の首都となる大都市に成長しました。イタリア半島の一部と…
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チャタルヒュユク遺跡の被葬者のmtDNA解析

 チャタルヒュユク(Çatalhöyük)遺跡の被葬者のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Chyleński et al., 2019)が公表されました。アナトリア半島中央部南方にあるチャタルヒュユクは新石器時代の有名な遺跡で、世界最古の都市とも言われています。その年代は紀元前7100~紀元前5950年頃です。チ…
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浅野裕一『儒教 怨念と復讐の宗教』

 講談社学術文庫の一冊として、2017年8月に講談社より刊行されました。本書の親本『儒教 ルサンチマンの宗教』は平凡社新書の一冊として1999年5月に平凡社より刊行されました。本書は儒教の開祖とも言うべき孔子を、怨念と復讐に囚われた誇大妄想の人物と指摘します。孔子は、有徳の聖人こそが受命して天下を統治するという徳治主義を主張し、自らを周…
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ドイツ南部の青銅器時代の社会構造(追記有)

 ドイツ南部の青銅器時代の社会構造に関する研究(Mittnik et al., 2019)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。日本語の解説記事もあります。古代DNA研究により、ヨーロッパ中央部における先史時代の遺伝的変化が明らかにされてきました(関連記事)…
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ヤグノブ人の遺伝的歴史

 ヤグノブ人(Yaghnobis)の遺伝的歴史に関する研究(Cilli et al., 2019)が公表されました。アジア中央部は長きにわたって人類集団・遺伝子・言語・文化・商品の重要な経路・交差点となってきました。アジア中央部の歴史は、異なる人類集団の大規模な移動により特徴づけられ、最終氷期極大期(LGM)後に活発化し、新石器時代と青…
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中国のフェイ人(回族)の遺伝的起源

 中国のフェイ人(Hui)の遺伝的起源に関する研究(Wang et al., 2019B)が公表されました。フェイ人(回族)おもにイスラム教徒により構成され、中国全土に分布しており、中国において公認された56の民族集団の一つです。フェイ人の起源と多様化については、大規模な人類集団の移動を伴うものなのか、それとも単純な文化伝播だったのか、…
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スカンジナビア半島の戦斧文化集団の遺伝的起源

 スカンジナビア半島の戦斧文化(Battle Axe Culture、BAC)集団の遺伝的起源に関する研究(Malmström et al., 2019)が報道されました。まず、本論文で取り上げられるおもな文化の略称を先に記載しておきます。戦斧文化(Battle Axe Culture、BAC)、縄目文土器文化(Corded Ware …
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先史時代の育児

 先史時代の育児に関する研究(Dunne et al., 2019)が報道されました。授乳や離乳など、小児期の食餌に関する研究は、過去の社会の乳児の死亡率や出生率を理解する上で重要な意味を有します。乳児の骨のコラーゲンおよび歯の象牙質の試料の窒素安定同位体解析から離乳の時期に関する情報が得られていますが、先史時代の乳児がどのような食物を…
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ヒマラヤにおける人類集団の長期の遺伝的安定性

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、ヒマラヤにおける人類集団の長期の遺伝的安定性に関する研究(Jeong et al., 2016)が報道されました。高地帯は人類の恒久的居住が遅れた場所の一つで、それは、起伏の多い地形や寒冷気候や低酸素や資源の相対的不足といった問題のためです。人類の恒久的居住地域として、ヒマラヤ山脈とチベット…
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バンツー語族集団の拡大と適応

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、バンツー語族集団の拡大と適応に関する研究(Patin et al., 2017)が報道されました。バンツー語族の人口史については、本論文の後に公表された研究を当ブログですでに取り上げていますが(関連記事)、その研究の前提となる知見が提示されており、重要と思われるので、以下に本論文の内容を簡潔…
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アフリカ東部の5000年前頃の巨大な墓地

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、アフリカ東部の5000年前頃の巨大な墓地に関する研究(Hildebrand et al., 2018)が報道されました。巨大建造物の出現は社会の複雑さを示す指標とされ、それは階層化の進展を伴う人類史における画期として注目されてきて、人口密度の高い定住社会で発達した、と以前は考えられていました。本論文…
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最古の大麻喫煙

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、大麻喫煙の痕跡に関する研究(Ren et al., 2019)が報道されました。向精神的作用のある植物は、世界のさまざまな地域において儀式や宗教活動で使用されてきました。先史時代から歴史時代初期のユーラシア中央部で多く用いられたのは、ケシ(Papaver somniferum)やマオウ属種(Ephe…
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イタリア半島の人口史

 イタリア半島の人口史に関する研究(Raveane et al., 2019)が公表されました。現代ヨーロッパ人は、旧石器時代~中石器時代のヨーロッパの狩猟採集民、アナトリア半島起源の新石器時代農耕民、青銅器時代にポントス-カスピ海草原(中央ユーラシア西北部から東ヨーロッパ南部までの草原地帯)からヨーロッパに拡散してきたヤムナヤ(Yam…
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近東の家畜ウシの起源と遺伝的変容

 近東の家畜ウシ(Bos taurus)の起源と遺伝的変容に関する研究(Verdugo et al., 2019)が報道されました。日本語の解説記事もあります。絶滅したユーラシアのオーロックス(Bos primigenius)は10500年前頃に、肥沃な三日月地帯のユーフラテス川上流とティグリス川の間の限定的な地域で家畜化されましたが、…
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アジア南部の人口史とインダス文化集団の遺伝的構成

 アジア南部の人口史関する二つの研究が報道されました。『サイエンス』のサイトには解説記事が掲載されています。日本語の解説記事もあります。なお、以下の主要な略称は以下の通りです。アンダマン諸島狩猟採集民(AHG)、古代祖型インド南部人関連系統(AASI)祖型北インド人(ANI)、祖型南インド人(ASI)、シベリア西部狩猟採集民(WSHG)…
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クロアチアの中世初期男性の頭蓋変形と出自

 クロアチアの中世初期男性の頭蓋変形と出自に関する研究(Fernandes et al., 2019)が報道されました。人為的頭蓋変形はおそらく更新世にまでさかのぼり、広く世界中で見られ、20世紀まで続いた地域もあります。人為的頭蓋変形は長い時間を要する意図的で不可逆的な行為なので、生涯にわたって集団内の連帯を促進し、集団間の違いの視覚…
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