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村井章介『シリーズ日本中世史4 分裂から天下統一へ』

2016/08/30 00:00
 これは8月30日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年7月に刊行されました。すでに第1巻第2巻第3巻はこのブログで取り上げています。本書は戦国時代〜17世紀前半までを扱っています。中世から近世への移行期が対象と言えるでしょうか。本書の特徴は、「対外関係」や当時は日本に「包摂」されきっていなかった地域というか、「日本」の「周辺地域」に関する叙述が中心となっていることです。本書はこのように「対外関係」や「周辺地域」を中心に据えることで、近世日本の特異な社会・政治構造がどのように形成されたのか、論じています。

 本書がこのように「対外関係」や「周辺地域」を中心に論じているのは、近世日本の形成が世界的な動向のなかに位置づけられている、との認識が前提にあるためです。確かに、ヨーロッパ勢力との接触のように、本書が対象とする時代において日本は世界の動向に大きく影響されました。しかし、本書は一方で、ヨーロッパ勢力との出会いが近代以降の日本では強調される傾向にあるものの、ヨーロッパ勢力の東アジア・東南アジアへの拡大は、じゅうらいのアジア東部における交易の枠組みの中で起きたことも指摘しています。

 このように「対外関係」や「周辺地域」が中心に論じられているため、戦国大名の支配や当時の社会の構造についてはやや手薄になっている感があり、この点は残念でした。また、本書が対象とする時代は現代日本社会ではたいへん人気が高いのですが、英雄譚的な叙述とはなっていないので、この点では一般受けする内容ではなさそうです。とはいえ、世界的な動向からの中近世移行期の通史として、なかなか堅実な内容になっていると思います。
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大河ドラマ『真田丸』第34回「挙兵」

2016/08/29 00:00
 これは8月29日分の記事として掲載しておきます。家康暗殺に失敗した三成は謹慎することになりますが、前田利家の死後、加藤清正・福島正則・細川忠興たちは三成を襲撃します。三成は伏見城の「治部少丸」と呼ばれる曲輪へと逃げます。旧説というか俗説ではこの時三成は家康邸に逃げたとされていますが、今回は新説が採用されており、これは作風からして予想通りでした。三成を引き渡せという清正・正則・忠興たちの要求を家康は退け、三成を蟄居させます。今回明かされなかった三成と清正との会話も気になるところですが、これは三成死後に清正から明かされるのでしょうか。三成と清正は単純な敵対関係として描かれておらず、なかなか興味深いと思います。

 三成を隠居に追い込んだ家康の政治的優位は確立し、家康は謀反の疑いのかかった上杉景勝に上洛を命じますが、景勝は家康との対決を覚悟し、重臣の直江兼続が家康に書状を送ります。そこには、秀吉死後の家康の振る舞いへの批判が書かれていました。家康は上杉家の討伐を決断します。景勝は昌幸に、味方に就くよう密書を送り、昌幸は上杉に就くことを決断します。昌幸は、家康を倒した後再び訪れるだろう戦乱の世で、武田家の旧領を取り戻そうと考えていました。家康が上杉討伐軍を率いて大坂城を出た後、三成は宇喜多秀家たちとともに反家康の兵を挙げます。重要人物では、後藤又兵衛が初登場となりますが、今回は顔見世程度の出番でした。今回もなかなか密度の濃い描写でした。いよいよ関ヶ原の戦いが近づいてきました。次回は昌幸・信繁と信幸との決別が描かれるようです。中盤の山場となるでしょうから、楽しみです。
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榎原雅治『シリーズ日本中世史3 室町幕府と地方の社会』

2016/08/28 00:00
 これは8月28日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年5月に刊行されました。すでに第1巻第2巻はこのブログで取り上げています。本書が扱うのは、鎌倉幕府の崩壊から明応の政変までとなります。「地方」の情勢を詳しく取り上げているのが本書の特徴ですが、「中央」の政治情勢の解説にもかなりの分量が割かれています。地域社会の変容・新たな文化的動向・「国際」情勢などにも一定以上の分量が割かれており、南北朝時代〜戦国時代の始まりの頃までの一般向け通史に相応しい内容になっているのではないか、と思います。

 本書は、南北朝時代〜戦国時代の始まりの頃までにかけて、現代まで続くような日本社会の構造と文化が形成された、と主張しています。もっとも、本書も指摘するように、地域差があるので、「全国」一律に同様の変化が進行した、というわけではありません。また、現代にまで続く日本社会の形成期としての南北朝時代〜戦国時代の始まりの頃までとはいっても、本書も指摘するように、高度経済成長期以降、そうした構造が大きく変容していることも否定できません。

 そうした社会の変容期としての南北朝時代〜戦国時代の始まりの頃までの特徴として本書が挙げているのは、室町幕府の成立により荘園制は崩壊したわけではなく、変容しつつも新たな枠組みとして維持されていた、ということです。この時代に現代(もしくは高度経済成長前)まで続く村社会の構造が形成されていくのですが、当時はまだ荘園単位で地域が把握されることが多く、近世以降と比較すると、村の法人としての性格は弱かったそうです。こうした枠組みは、戦国時代の始まりの頃にはかなり崩壊しており、近世の地域社会へと連続していきます。
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アジアモンスーンの64万年間の記録

2016/08/27 00:00
 アジアモンスーンの64万年間の記録に関する研究(Cheng et al., 2016)が公表されました。この研究は、ウラン・トリウム年代測定法で測定できる最古の年代に近い64万年前頃までさかのぼる洞窟二次生成物の記録を、中国の洞窟の試料から得ました。これにより、10万年の氷期サイクルが歳差周期の整数(4または5)倍に対応し、日射がモンスーン強度の1000年スケールの変動に影響を及ぼしていることが裏づけられた、と指摘されています。気候変動は人類の進化とも大きく関わっているだけに、今後の研究の進展が注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


地球科学:過去64万年間のアジアモンスーンおよび氷期の終了

地球科学:アジアモンスーンの64万年間の記録

 アジアモンスーンのこれまでの記録によって、数十万年にわたる周期的な変動が明らかになった。この変動は、地球の公転軌道の歳差運動に起因する日射の変動によっておそらく駆動されている。今回H Chengたちは、ウラン・トリウム年代測定法で測定できる最古の年代に近い64万年前まで初期の記録を拡張する洞窟二次生成物の記録を、中国の洞窟の試料から得ている。この見事な記録は、特徴的な「10万年」の氷期サイクルが歳差周期の整数(4または5)倍に対応し、日射がモンスーン強度の1000年スケールの変動に影響を及ぼしていることを裏付けている。



参考文献:
Cheng H. et al.(2016): The Asian monsoon over the past 640,000 years and ice age terminations. Nature, 534, 7609, 640–646.
http://dx.doi.org/10.1038/nature18591
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過去最大の大量絶滅とその後の長い回復期間の要因

2016/08/26 00:00
 これは8月26日分の記事として掲載しておきます。過去最大の大量絶滅とその後の長い回復期間の要因に関する研究(Clarkson et al., 2016)が公表されました。2億5200万年前頃のペルム紀末期には、地球上の生物多様性の90%が失われ、その後の回復に500万年という長い期間を要した、とされています。この大量絶滅の要因は、硫黄を多く含む有毒な海洋だと考えられてきました。この研究は、鉄スペシエーション法という高精度の化学的手法を用いて、現在のオマーン付近となる新テチス海の堆積物に保存された古代の海洋の化学組成を解析しました。

 古代の浅瀬から深海までの6ヶ所の試料採取場所の化学データから明らかになったのは、これまで予測されていたような、広範に存在する有毒な硫黄を多く含む状態ではなく、鉄を豊富に含むものの酸素の少ない海洋の中に酸素を豊富に含むポケットが点在する状態でした。この研究は、陸上での高温による化学的風化の促進により海洋への鉄分の流入が増え、鉄を豊富に含むものの酸素の少ない状態が維持された結果、生物の回復が抑制されたのではないか、と推測しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】地球最大の大量絶滅の機構と長かった生物の回復を詳細に説明する

 2億5200万年前に起こった地球史上最大の大量絶滅の後に生物の回復が遅れたのは鉄を豊富に含むが酸素欠乏状態の海洋のためだったことを詳しく説明した論文が、今週掲載される。この新知見は、地球の歴史上で大量絶滅後の回復期間が最も長かった原因となる古代の海洋の化学組成に関する手掛かりになっている。

 ペルム紀末期(2億5200万年前)に地球上の生物多様性の90%が失われ、その後の回復に500万年という長い期間を要するに至った全球的絶滅機構は、硫黄を多く含む有毒な海洋だと長い間考えられてきた。しかし、この極端な海洋の状態の全球的性質は、不十分な地球化学的ツールに基づいたものであり、あまり突き止められていない。

 今回、Matthew Clarksonたちは、高精度の化学的手法(鉄スペシエーション法)を用いて、数百万年前の新テチス海(現在のオマーン)の堆積物である岩石に保存された古代の海洋の化学組成を解析した。古代の浅瀬から深海までの6か所の試料採取場所の化学データから明らかになったのは、これまで予測されていたように有毒な硫黄を多く含む状態が広範に存在するのではなく、鉄を豊富に含むが酸素の少ない海洋の中に酸素を豊富に含むポケットが点在する状態だった。

 生物の回復期間が長かったことの正確な原因は明確になっていないが、Clarksonたちは、陸上での(高温による)化学的風化の促進によって海洋への鉄分の流入が増え、鉄を豊富に含むが酸素の少ない状態が維持されて生物の回復が抑制されたと考えている。



参考文献:
Clarkson MO. et al.(2016): Dynamic anoxic ferruginous conditions during the end-Permian mass extinction and recovery. Nature Communications, 7, 12236.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12236
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親の社会的つながりを仔が相続する

2016/08/25 00:00
 親の社会的つながりの仔への相続に関する研究(Ilany, and Akçay., 2016)が公表されました。社会的相互作用の数・相互作用がネットワーク内のサブグループに集中する程度などといった社会的ネットワークの構造は、情報の流れや病気の蔓延など重要な進化過程と生態学的過程に影響を与えることがあります。しかし、動物界での社会的相互作用の構造の根本原因については解明が進んでおらず、社会的ネットワークの形成のモデル化を試みた過去の研究では、その複雑な構造を再現することができていませんでした。この研究は、新生仔が母親のコネを相続できることを前提とした仮説上の社会的ネットワークと、不特定多数の個体と結びつきを形成できることを前提とした仮説上の社会的ネットワークをモデル化しました。

 高度な社会的相続をできるシミュレーションでは、新生仔の社会的ネットワークでの地位と新生仔が形成した結びつきの数が母親の場合と相関していました。高度な社会的相続が組み込まれたモデルを用いた社会的ネットワークのシミュレーションは、既発表論文に記述されたブチハイエナ(Crocuta crocuta)やロック・ハイラックス(Procavia capensis)やバンドウイルカ(Tursiops spp.)やマツカサトカゲ(Tiliqua rugosa)の現実世界の社会的ネットワークと非常によく似ていました。この相続された社会的つながりが成体期まで持続するか否か、まだ不明ですが、この研究結果は、社会的相続が自然群集におけるネットワーク構造の重要な駆動要因であることを示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】親の社会的つながりを相続する動物

 仔が親の社会的つながりを高度に相続することを組み込んだ動物の社会的ネットワークのモデルが現実世界における動物の社会的ネットワークに類似しているという見解を示した論文が、今週掲載される。この論文の著者は、動物界での社会的ネットワークの構造と社会的地位の相続をモデル化し、このモデルが、ハイエナ、ロック・ハイラックス、バンドウイルカ、マツカサトカゲなどの動物の現実世界の社会的ネットワークの特性と一致していることを明らかにした。

 社会的ネットワークの構造(例えば、社会的相互作用の数、相互作用がネットワーク内のサブグループに集中する程度)は、情報の流れや病気の蔓延など重要な進化過程と生態学的過程に影響を与えることがある。しかし、動物界での社会的相互作用の構造の根本原因については解明が進んでおらず、社会的ネットワークの形成のモデル化を試みた過去の研究では、その複雑な構造を再現することができなかった。

 今回、Erol Akcayたちは、新生仔が母親のコネを相続できることを前提とした仮説上の社会的ネットワークと不特定多数の個体と結びつきを形成できることを前提とした仮説上の社会的ネットワークをモデル化した。高度な社会的相続をできるシミュレーションでは、新生仔の社会的ネットワークでの地位と新生仔が形成した結びつきの数が母親の場合と相関していた。高度な社会的相続が組み込まれたモデルを用いた社会的ネットワークのシミュレーションは、既発表論文に記述されたブチハイエナ(Crocuta crocuta)、ロック・ハイラックス(Procavia capensis)、バンドウイルカ(Tursiops spp.)とマツカサトカゲ(Tiliqua rugosa)の現実世界の社会的ネットワークと非常によく似ていた。

 この相続された社会的つながりが成体期まで持続するかどうかという問題に答えは出ていないが、今回の研究結果は、社会的相続が自然群集におけるネットワーク構造の重要な駆動要因であることを示唆している。



参考文献:
Ilany A, and Akçay E.(2016): Social inheritance can explain the structure of animal social networks. Nature Communications, 7, 12084.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12084
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近藤成一『シリーズ日本中世史2 鎌倉幕府と朝廷』

2016/08/24 00:00
 これは8月24日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年3月に刊行されました。すでに第1巻はこのブログで取り上げています。本書は治承・寿永の乱から鎌倉幕府の滅亡までを扱っています。表題にあるように、鎌倉幕府と朝廷を中心にこの時代を解説しており、おもに政治史中心の叙述となっています。裁判に関する解説が多いのも特徴で、法制史にもそれなりに分量が割かれています。本書が対象とする期間の大事件となると、何と言ってもモンゴル襲来となります。そのため本書では、外交史や東アジア史にもそれなりに分量が割かれています。

 このように、本書は基本的には政治史を中心とした概説になっており、経済史や(宗教史も含めての)文化史に関する叙述はほぼありません。ただ、文化史に関しては、本シリーズの第一巻『シリーズ日本中世史1 中世社会の始まり』にて詳しく解説されているので、とくに問題はないと思います。「とがった」概説もあるなか、本書のように政治史に特化した堅実な概説があってもよいと思いますし、本書は新書ながらも、鎌倉時代の政治史としてなかなか密度が濃いと言えるでしょう。

 悪党の実態に関して、本所による荘園支配再編の動きから排除された者たちだ、との見解が注目されます。都から遠く離れた鎌倉の地で武家政権が樹立されたことが、鎌倉幕府の性格、さらにはその後の朝廷と幕府(武家政権)との関係を規定した、との指摘は、かなりのところ本質を突いているのではないか、と思います。朝廷と幕府との並立は明治維新まで続くわけですが、その形が作られたのは鎌倉時代である、と本書は指摘しています。鎌倉時代は、その後の前近代日本史の流れに大きな影響を及ぼした、と言えそうです。
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攻撃の報酬性

2016/08/23 00:00
 これは8月23日分の記事として掲載しておきます。攻撃の報酬性に関する研究(Golden et al., 2016)が公表されました。攻撃行動の開始に関わる脳領域はすでに明らかになっていますが、攻撃の動機づけまたは報酬の要素の成立に関わるシステムについては、ほとんど明らかになっていません。この研究は、前脳基底部から外側手綱核への抑制性投射が、攻撃のこの面を両方向に制御していることを示しました。この結果は、攻撃性と攻撃性に関連した神経精神疾患の治療のための新たな標的特定への道を開く可能性がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


社会行動学:前脳基底部から外側手綱核への投射が攻撃の報酬性を調節する

社会行動学:自己報酬としての攻撃行動

 攻撃行動の開始に関わる脳領域はすでに明らかになっているが、攻撃の動機付けまたは報酬の要素の成立に関わるシステムについては、ほとんど分かっていない。今回、S Russoたちは、攻撃と関連する報酬情報処理の基盤回路を解きほぐして見せた。彼らは、前脳基底部から外側手綱核への抑制性投射が、攻撃のこの面を両方向に制御していることを示した。この結果は、攻撃性と攻撃性に関連した神経精神疾患の治療のための新たな標的特定への道を開く可能性がある。



参考文献:
Golden SA. et al.(2016): Basal forebrain projections to the lateral habenula modulate aggression reward. Nature, 534, 7609, 688–692.
http://dx.doi.org/10.1038/nature18601
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大河ドラマ『真田丸』第33回「動乱」

2016/08/22 00:00
 これは8月22日分の記事として掲載しておきます。秀吉死後、三成と家康との対立は激しくなっていきます。三成は家康を討つために伏見城の徳川屋敷を急襲しようとしますが、北条家の家臣だった板部岡江雪斎の密告により、計画は本多正信に知られてしまいます。なおも三成は家康襲撃を諦めず、信繁は上杉景勝を説得しようとしますが、失敗します。正信は諸大名に家康を守るよう呼びかけ、家康側に多くの大名が就くことになり、三成は苦境に追い込まれます。信幸も家康の屋敷を訪れ、後の兄弟の決別を予感させるような描写でした。

 今回は、三成と家康との対立の激化が主題でした。秀吉死後の多数派工作での酒宴の様子からも明らかですが、三成の人望は家康に遠く及びません。まあ、石高・官位ともに三成と家康とでは大きな差がありますし、年齢も家康の方が20歳近く上ですから、仕方のないことではありますが。三成の権勢が秀吉に依存したものであることが示されているという意味で、秀吉死後の三成の苦境の描写はなかなかよいのではないか、と思います。三成と清正との関係も、単純な憎悪と対立ではないところが上手いと思います。家康がいよいよ覚醒し、今後の展開がさらに楽しみになってきました。次回は三成が諸将に襲撃されるようで、おそらく旧来の俗説ではなく新説が取り入れられるでしょうから、その点も注目されます。
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アイスマンの衣服

2016/08/21 00:00
 これは8月21日分の記事として掲載しておきます。アイスマンの衣服に関する研究(O’Sullivan et al., 2016)が報道されました。1991年にイタリアのエッツタールアルプスで発見された5300年前頃のミイラは「アイスマン(愛称エッツィ)」と呼ばれています。アイスマンの状態は良好だったので、遺伝学などさまざまな分野の研究が進んでいます。この研究は、アイスマンの衣服と矢筒に由来する9点の皮革断片のミトコンドリアDNAを解析し、どの動物種の皮革断片なのか、明らかにしました。

 その結果、アイスマンの帽子と矢筒には、それぞれ野生のヒグマとノロジカが用いられている、と明らかになりました。ヒグマのDNA解析の結果、現在もエッツタールアルプスにいるヒグマと同系統であることが分かりました。これまでの研究でアイスマンが畑作と牧畜を行っていたことは明らかになっていますが、この結果により、野生動物の狩猟・捕獲も行なわれていただろう、との見解が提示されています。

 アイスマンの着ていたコートは、ヤギとヒツジの少なくとも4種類の毛皮を寄せ集めたものであることも明らかになっており、入手可能だった素材を使って場当たり的に縫い合わせて衣服を作っていたことが示唆されています。このヒツジは野生の羊よりも現代ヨーロッパの家畜化されたヒツジに近く、少なくとも4頭が使われているそうです。ヤギの方は、現代中央ヨーロッパの山や谷にいるヤギと同じハプログループに属していることが明らかになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【考古学】アイスマンの衣服は何からできていたのかブックマーク

 チロルのアイスマンの衣服と矢筒に関して、その製作に用いられた動物種を明らかにした論文が、今週掲載される。今回の研究は、その衣服と矢筒が少なくとも5種類の動物の素材を用いて作られており、帽子にはヒグマが用いられ、矢筒はノロジカの毛皮でできていたことを示唆している。

 5,300年前の自然のミイラで、「エッツィ」という愛称で知られるチロルのアイスマンは、1991年にイタリアのエッツタールアルプスで発見され、20年間の分析によってエッツィの祖先、食事、道具、生活様式、健康状態、服装に関する手掛かりが得られた。エッツィの保存状態は比較的良好なのだが、どのような動物種を使って衣服を作ったのかという点がほんど分かっていない。

 今回、Niall O’Sullivanたちは、エッツィの衣服と矢筒に由来する9点の皮革断片のミトコンドリアゲノムの塩基配列を解読、解析することで、どの動物種の皮革断片なのかを明らかにした。そして、エッツィの帽子と矢筒には、それぞれ野生のヒグマとノロジカが用いられていることが判明した。エッツィが畑作と牧畜を行っていたことは、これまでの研究で断定されているが、O’Sullivanたちは、この帽子と矢筒が野生動物の狩猟と捕獲が行われていたことの証拠だとする見方を示している。

 また、エッツィが着ていたコートが2種の動物(ヤギとヒツジ)の少なくとも4種類の毛皮を寄せ集めたものであることも判明したが、このことは、当時入手可能だった素材を使って場当たり的に縫い合わせて衣服を作っていたことを示唆している。エッツィのゲートルはヤギの革でできていることが分かったが、以上の研究結果は、銅器時代の人々が衣服を作る際に衣服の特質に応じて素材となる動物種を選んでいたとする仮説を裏付けている。



参考文献:
O’Sullivan NJ. et al.(2016): A whole mitochondria analysis of the Tyrolean Iceman’s leather provides insights into the animal sources of Copper Age clothing. Scientific Reports, 6, 31279.
http://dx.doi.org/10.1038/srep31279
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仲田大人「日本旧石器時代の現代人的行動と交替劇」

2016/08/20 00:00
 これは8月20日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2016年5月号の特集「人類の起源と進化─プレ・ヒューマンへの想像力」に掲載された論文です。本論文は、日本列島における「交替劇」を検証しています。土壌の問題もあり、日本列島では琉球諸島を除いて旧石器時代というか更新世の人骨がほとんど発見されていません。それだけに、旧石器時代の人類の活動とその意義を理解するには、考古学的記録に依拠せざるを得なくなります。本論文は、世界でも有数の高密度となる日本列島における旧石器時代の考古学的記録を用いて、人類の活動を検証・推測しています。

 日本列島における人類の痕跡がいつまでさかのぼるのか、まだ確定したとは言い難い状況です。4万年以上前の石器も報告されていますが、その年代については議論が続いています。本論文は、日本列島における4万年以上前の石器の可能性を完全に否定しているわけではありませんが、日本列島における人類最古の痕跡の確実な証拠は38000年前頃である、との見解を提示しています。これは、世界で現生人類(Homo sapiens)が拡散していく時期となります。

 人骨が共伴していないので、日本列島における確実な最初期の人類の痕跡の担い手がどの系統・種なのか、断定はできませんが、本論文は、現生人類の存在の考古学的指標となる「現代人的行動」を用いて、旧石器時代における日本列島の人類活動を検証しています。「現代人的行動」とは、たとえば渡航技術・石刃技術や組み合わせ石器の出現・道具の定型性の高まりや種類の増加・遠隔地の資源利用・資源の季節的利用・象徴行動などです。

 これらが日本列島においていつ出現し、その頻度はどのように変遷していったのか、本論文は検証しています。まず、38000年前頃にこうした「現代人的行動」の一部が出現しますが、それが顕著に見られるようになるのは36000年前頃以降である、と本論文は指摘します。38000〜36000年前頃とそれ以降とでは、石器技術の継承も見られる一方で、次第に衰退していく石器技術や、石刃のように新たに出現する石器技術も見られます。

 これについて本論文は、人類集団の交替だった可能性を提示しています。新たに日本列島へと拡散してきた現生人類集団が、新たな石器技術を導入したり、先住集団から石器技術を継承したりした可能性が指摘されています。その先住集団が現生人類ではなかった可能性や、38000〜36000年前頃の現生人類集団が先住集団の石器技術を継承し、36000年前頃にさらに別の現生人類集団が日本列島へと拡散してきた可能性も想定されています。東アジアでは現生人類が拡散しても石器が明確には変化しない、と指摘されていますが、日本列島も含めて東アジアでは、新たな移住者としての現生人類が先住集団の石器技術を継承したためなのかもしれません。

 「現代人的行動」で重要な指標とされる象徴行動の考古学的痕跡は、旧石器時代の日本列島では同時代のヨーロッパよりも貧困です。そうした象徴行動が旧石器時代の日本列島で盛んに見られるようになるのは29000年前頃以降です。これについては、遺構数の増減から推定される人口の増減と対応しており、人口の増加にともない象徴行動の痕跡が増加した可能性がある、と指摘されています。これは日本列島に限らず他の地域でも考えられる要因でしょう。

 本論文は日本列島の旧石器時代の考古学的記録をこのように検証していき、日本列島では現生人類の出現にともないすぐに文化・人口の大きな変化が生じたわけではないだろう、と指摘しています。その理由として、日本列島へと新たに移住してきた現生人類集団も先住集団も、規模が小さかった可能性が想定されています。ただ、旧石器時代の日本列島の人類の活動の推測は、琉球諸島を除いて人骨が皆無に近いことや推定人口数が確定的とは言い難いことなどから、まだ不明なところが多々あることも否定できず、今後の研究の進展が期待されます。


参考文献:
仲田大人(2016)「日本旧石器時代の現代人的行動と交替劇」『現代思想』第44巻10号P150-164(青土社)
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五味文彦『シリーズ日本中世史1 中世社会の始まり』

2016/08/19 00:00
 これは8月19日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年1月に刊行されました。本書の冒頭にて構成の意図が説明されていますが、宗教も含めて文化史の割合が高いのが本書の特徴です。本書は、中世社会の前提となる古代社会についても1章を割いて叙述し、その後に、院政期からおおむね足利義満の頃までを、文化を中心に叙述しています。院政期から平氏政権までは政治史もやや詳しく叙述されていますが、鎌倉幕府成立以降の政治史の叙述はかなり簡略化されています。これは、第2巻以降と重ならないための配慮のようです。

 本書は、戦国時代が始まる前までの中世社会を、家・身体・職能・型という四つの思潮に時代区分しています。それぞれの時代の動きは、院政時代・武家政権・東アジア世界の流動・公武一統で、その画期は、後三条天皇の即位・平清盛の太政大臣就任・モンゴルからの国書の到来・応安の半済令とされています。いずれの画期も、西暦に換算すると、11〜14の各世紀の67年か68年となります。本書は、中世社会において形成されたこれらの思潮が、現代日本社会に大きな影響を及ぼしており、継承されたそれらの思潮の力により現代日本社会が成立しているとともに、そうした思潮により現代日本社会の思考が制約されている側面もある、と指摘しています。

 碩学による解説だけに、たいへん密度の濃い一冊になっており、細かな史実・伝承などから中世社会の思潮を解き明かしていくところは、さすがに見事だな、と思います。それだけに、私の見識・理解力では、1回読んだくらいで消化しきれないことも確かで、今後何度か再読していく必要があるでしょう。平泉・奥州藤原氏についての解説が多めなのも本書の特徴で、清衡と基衡との方針の違いや、平泉と朝廷との関わりなど、興味深い指摘がありました。本書が平泉・奥州藤原氏についてやや多めに叙述したのは、中世社会の端緒として前九年の合戦を重視しているためでもあるようです。
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父親の養育行動と母親の多産性との関係

2016/08/18 00:00
 これは8月18日分の記事として掲載しておきます。父親の養育行動と母親の多産性との関係に関する研究(West, and Capellini., 2016)が公表されました。哺乳類のいずれの種でも、雌は大量の資源を仔の養育に投資しますが、雄が雌(母親)に食料を提供することで養育に直接的または間接的に貢献しているのは、哺乳類全種の約10%にすぎません。雄にとって、仔の養育は新たな交尾の機会を諦めることであり、その雄が仔の父親であることの確実性が高まった場合あるいは将来の交尾機会が少ない場合には、雄による仔の養育の進化の可能性が高まります。

 この研究は、雄による養育の新たな利点の可能性を探るため、529種の哺乳類について、それぞれの生活史の特徴と雄の援助行動(母親または仔に対する食料の提供・仔を寄せ集める行動・仔の毛づくろい・仔を運ぶ行動)のデータセットを収集して解析し、これらの哺乳類種の進化史を考慮した上で、雄が雌に食料を提供する行動が同腹仔の増加と関連していることを明らかにしました。さらに、雄が雌に食料を提供する行動と仔運びを助ける行動が授乳期の短縮と関連しており、その結果として繁殖期の頻度が上昇することも明らかになっています。これらから、雄による養育行動は長期的には繁殖機会を増やし、それにより短期的な交尾機会の減少を代償している可能性がある、と示唆されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【動物学】父親の養育行動は母親の多産性と密接な関係がある

 哺乳類の場合、雄が食料を提供し、あるいは仔の養育に貢献すれば、雌の繁殖率(繁殖能力)が上昇するという研究結果を報告する論文が、今週掲載される。雄による養育は、雌の授乳期の短縮、同腹仔の増加、繁殖期の頻度上昇と関連していることが分かったのだ。

 哺乳類のいずれの種でも、雌は大量の資源を仔の養育に投資する。ところが、雄が雌(母親)に食料を提供することで養育に直接的または間接的に貢献しているのは、哺乳類全種の約10%にすぎない。雄にとって、仔を養育することは新たな交尾の機会を諦めるということであり、その雄が仔の父親であることの確実性が高まった場合あるいは将来の交尾機会が少ない場合には、雄による仔の養育が進化する可能性が高まる。

 今回、Hannah WestとIsabella Capelliniは、雄による養育の新たな利点の可能性を探るため、529種の哺乳類について、それぞれの生活史の特徴と雄の援助行動(母親または仔に対する食料の提供、仔を寄せ集める行動、仔の毛づくろい、仔を運ぶ行動)のデータセットを収集し、解析した。そして、Westたちは、これらの哺乳類種の進化史を考慮に入れた上で、雄が雌に食料を提供する行動が同腹仔の増加と関連していることを明らかにした。これに加えて、Westたちは、雄が雌に食料を提供する行動と仔運びを助ける行動が授乳期の短縮と関連しており、その結果として繁殖期の頻度が上昇することも明らかにしている。

 雄による養育行動は、長期的に見れば繁殖機会を増やし、これによって短期的な交尾機会の減少を代償している可能性のあることが、今回の研究によって得られた知見から示唆されている。



参考文献:
West HER, and Capellini I.(2016): Male care and life history traits in mammals. Nature Communications, 7, 11854.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms11854
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統合失調症の起源

2016/08/17 00:35
 統合失調症の起源に関する研究(Srinivasan et al., 2016)が報道されました。統合失調症は人間の適応度を下げるにも関わらず、現在でも全人口の1%ほどは生涯で統合失調症を患う可能性が指摘されています。統合失調症(の要因となる遺伝子)が人類の進化においていつ出現し、なぜ淘汰されなかったのか、議論が続いています。有力な仮説は、統合失調症は言語・創造的思考・認知能力の副産物である、というものです。

 この研究は、統合失調症と関連したゲノム規模の研究データと、身体的特徴や疾患に関わる表現型などの遺伝的データを分析し、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の遺伝的情報とも比較することにより、統合失調症の遺伝的背景を検証しています。その結果、統合失調症と関連した遺伝子座は、ネアンデルタール人由来の割合が低く、正の選択を受けたと思われるゲノム領域(認知過程と関連すると思われる遺伝子座が複数存在します)において、顕著に高い割合で存在することが明らかになりました。

 こうした結果から、統合失調症は言語・創造的思考・認知能力の副産物であり、ネアンデルタール人の系統と現生人類(Homo sapiens)の系統が分岐した後に現生人類の系統で出現した、という仮説がこの研究では支持されています。現生人類の系統における「高度な」言語・創造的思考・認知能力の発達は、現生人類の適応度・競争力を向上させ、統合失調症はその「副産物」だったのではないか、というわけです。このようなトレードオフの事例は、人間に限らず生物の進化において珍しくなかったのでしょう。


参考文献:
Srinivasan S. et al.(2016): Genetic Markers of Human Evolution Are Enriched in Schizophrenia. Biological Psychiatry, 80, 4, 284–292.
http://dx.doi.org/10.1016/j.biopsych.2015.10.009
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新生仔における母親との対面相互作用と後年の社交性との関係

2016/08/16 00:00
 新生仔における母親との対面相互作用と後年の社交性との関係についての研究(Dettmer et al., 2016)が公表されました。ヒトの幼少期における社会性の発達を支える機構の一つが、介護者と乳児との対面相互作用です。これまでの研究では、アカゲザルの母親と新生仔との対面相互作用が明らかになっていました。この研究は、大きな野外の囲い地で飼育されたアカゲザルの母親と新生仔(10組)を対象として、相互視と断続的な唇鳴らしによって測定される対面相互作用の自然変動を追跡観察しました。

 その結果、生後1ヶ月間に母親との対面相互作用が多かった新生仔の方が生後2〜5ヶ月間における(社会的遊び・他のサルとの距離の近さ・毛づくろい行動によって示される)社会的相互作用が活発だったことが明らかになりました。これとは別にヒトに育てられた48匹のアカゲザルの集団を調べる実験も行われ、無作為に選ばれた被験個体について新生仔期の飼育担当者との対面相互作用が増強されました。この被験個体は、ハンドリングだけを増強した個体や対面相互作用が増強されなかった個体と比較して、生後2ヶ月における社会に対する関心の度合いが高いことが明らかになりました。アカゲザルとヒトは、養育行動と社会性の発達過程に類似点があるため、この研究はヒトの発達を解明する上で役立つ可能性がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】新生仔ザルの社会的行動にとっての対面相互作用の価値

 母親との対面相互作用が多い新生仔の方が後年になって社交性が高くなることがアカゲザル(Macaca mulatta)の研究で明らかになった。ヒト以外の霊長類の新生仔期における経験が社会的行動に及ぼす影響が長年にわたって持続することが示唆する論文が、今週掲載される。

 ヒトの幼少期における社会性の発達を支える機構の1つが介護者と乳児との対面相互作用だ。これまでの研究では、アカゲザルの母親と新生仔との対面相互作用が明らかになっていた。

 今回、Amanda Dettmerたちは、この種の母親・新生仔間のコミュニケーションの効果が長く持続することを明らかにした。この研究では、大きな野外の囲い地で飼育されたアカゲザルの母親と新生仔(10組)を対象として、相互視と断続的な唇鳴らしによって測定される対面相互作用の自然変動を追跡観察した。その結果分かったのは、生後1か月間に母親との対面相互作用が多かった新生仔の方が生後2〜5か月間における(社会的遊び、他のサルとの距離の近さ、毛づくろい行動によって示される)社会的相互作用が活発だったことだ。これとは別にヒトに育てられた48匹のアカゲザルの集団を調べる実験も行われた。この実験では、無作為に選ばれた被験個体について新生仔期の飼育担当者との対面相互作用が増強された。この被験個体は、ハンドリングだけを増強した個体や対面相互作用が増強されなかった個体と比べて、生後2か月における社会に対する関心の度合いが高かった。

 アカゲザルとヒトは、養育行動と社会性の発達過程に類似点があるため、今回のアカゲザル新生仔の社会性の発達に関する研究は、ヒトの発達を解明する上で役立つ可能性がある。



参考文献:
Dettmer AM. et al.(2016): Neonatal face-to-face interactions promote later social behaviour in infant rhesus monkeys. Nature Communications, 7, 11940.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms11940
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大河ドラマ『真田丸』第32回「応酬」

2016/08/15 00:00
 これは8月15日分の記事として掲載しておきます。秀吉が死に、政治の主導権をめぐって三成と家康の対立が激化しますが、有力大名が次々と家康に傾き、情勢は家康有利になっていきます。三成と家康との駆け引きが今回の見どころで、様々な人々を巻き込んでいき、密度の濃いやり取りになっていてよかったのではないか、と思います。様々な人々が登場しただけに、雑多な印象も受けましたが、秀吉死後の先の見えない状況のなかで、人々が懸命に足掻いている様子がよく描かれていたように思います。

 今回は、前田利家・利長親子など初登場の要人が多く、後の大坂の陣との関連では、明石全登・長宗我部盛親が注目されます。まあ、その前にまず関ヶ原の戦いがあるわけで、そこへと至る人間関係も描かれました。本作で関ヶ原の戦いがどの程度描かれるのか分かりませんが、真田家が直接参戦したわけではないにしても、家康と三成の扱いが大きいので、直接的な合戦場面はともかくとして、人間模様はわりと深く描かれるのではないか、と期待しています。
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社会的評判と社会的協力の関係

2016/08/14 00:00
 これは8月14日分の記事として掲載しておきます。社会的評判と社会的協力の関係についての研究(Grimalda et al., 2016)が公表されました。人間が社会においてきわだった評判を得たいと望むことは、人間の協力行動の進化的基盤の一例とされています。現時点でこの証拠は、コンピューターシミュレーションなど、人間の社会的イメージを研究室で人工的に作り出すことによって得られています。この研究は、パプアニューギニアのテオプという結束の固い小規模な社会における人間の協力行動を調査しました。テオプの社会構造は、構成員に規律を課すインフォーマルな権威を有している村の長老(ビッグマン)が中心になっています。ビッグマンは、道徳の守護者として行動し、テオプの社会的ネットワークの中心に位置しています。

 この研究では、ビッグマンが介入せずに見守るだけの状況下で、テオプの人々に社会経済的なゲームを行わせる実験が行なわれました。その結果、テオプの人々は効率的に協力してゲームを行ないました。一方、見知らぬビッグマンが別の村からやってきてゲームの様子を見守った場合には、こうした協力行動は少なくなりました。また、ビッグマンが見守っていると、ゲームのプレーヤーが非協力的な構成員を罰することが少なくなりました。こうした結果は、社会的権威を有する実在の人物が自分に対して抱く社会的イメージを気にすることの方が、自分の評判を想像して気にすることよりも協力行動を促進することを明らかにしている、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】良い評判を得たいという気持ちが社会的協力を促進する

 人間は自分が権威者にどう思われているのかを気にしており、それが他人との協力を助長する可能性のあることがパプアニューギニアの狩猟採集社会の研究で明らかになった。また、今回の研究では、社会的評判が良くなることの方が非協力者を処罰することよりも協力行動を促進する効果が大きいことが示唆されている。この研究成果について報告する論文が、今週掲載される。

 人間が社会において際立った評判を得たいと望むことは、人間の協力行動の進化的基盤の一例だ。この人間行動を示す証拠は、これまでのところ、人間の社会的イメージを研究室で(例えば、コンピューターシミュレーションによって)人工的に作り出すことによって得られている。

 今回、Gianluca Grimaldaたちは、パプアニューギニアのテオプという結束の固い小規模な社会における人間の協力行動を調べた。テオプの社会構造は、構成員に規律を課すインフォーマルな権威を有している村の長老(いわゆる「ビッグマン」)が中心になっている。ビッグマンは、道徳の守護者として行動し、テオプの社会的ネットワークの中心に位置している。今回の研究では、ビッグマンが介入せずに見守るだけの状況下で、テオプの人々に社会経済的なゲームを行わせる実験が行われた。そして、テオプの人々は効率的に協力してゲームを行った。これに対して、見知らぬビッグマンが別の村からやってきてゲームの様子を見守った場合には、こうした協力行動は少なくなった。また、ビッグマンが見守っていると、ゲームのプレーヤーが非協力的な構成員を罰することが少なくなった。

 以上の結果は、社会的権威を有する実在の人物が自分に対して抱く社会的イメージを気にすることの方が、自分の評判を想像して気にすることよりも協力行動を促進することを明らかにしている。



参考文献:
Grimalda G, Pondorfer A, and Tracer DP.(2016): Social image concerns promote cooperation more than altruistic punishment. Nature Communications, 7, 12288.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12288
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現生人類に特異的な自閉症関連遺伝子

2016/08/13 00:11
 現生人類(Homo sapiens)に特異的な自閉症関連遺伝子についての研究(Nuttle et al., 2016)が公表されました。この研究は、現生人類・チンパンジー・オランウータンについて、自閉症や発育遅延との関連が指摘されている、染色体16p11.2にある一つのゲノム領域の進化史を再構築しました。その結果、この座位にある遺伝子BOLA2が、現生人類で特異的に重複していることが明らかになりました。この重複が起こったのは28万年前頃で、この重複は現生人類系統の初期にほぼ固定され、新しいインフレーム融合転写産物が生じた、と推定されています。現生人類の認知能力とも関わるかもしれないだけに、今後の研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化遺伝学:ホモ・サピエンスに特異的な遺伝子ファミリーと染色体16p11.2のCNV感受性の出現

進化遺伝学:ある自閉症関連遺伝子の進化史

 今回E Eichlerたちは、ホモ・サピエンス、チンパンジーおよびオランウータンについて、染色体16p11.2にある1つのゲノム領域の進化史を再構築した。この座位は、構造に広範な多様性があるために特徴の解析が難しいが、自閉症や発育遅延との関連など、さまざまな理由から関心の的となっている。著者たちは、この座位にある遺伝子BOLA2が、ホモ・サピエンスで特異的に重複していることを明らかにした。重複が起こったのは約28万年前で、この重複はヒト系統の初期にほぼ固定され、新しいインフレーム融合転写産物が生じたと推定される。



参考文献:
Nuttle X. et al.(2016): Emergence of a Homo sapiens-specific gene family and chromosome 16p11.2 CNV susceptibility. Nature, 536, 7615, 205–209.
http://dx.doi.org/10.1038/nature19075
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アメリカ大陸最初の人類の移住経路

2016/08/12 00:00
 これは8月12日分の記事として掲載しておきます。アメリカ大陸最初の人類の移住経路に関する研究(Pedersen et al., 2016)が報道されました。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。この研究はオンライン版での先行公開となります。アメリカ大陸への人類最初の移住については、激しい議論が続いてきました(関連記事)。20世紀後半に有力だとされたのは、アメリカ大陸最初の人類はクローヴィス(Clovis)文化の担い手であり、ベーリンジア(ベーリング陸橋)から15000〜14000年前頃までに北アメリカ大陸で開けた無氷回廊を通ってアメリカ大陸へと進出した、というクローヴィス最古説です。無氷回廊が開けるまで、ベーリンジアから北アメリカ大陸に陸路で拡散することはできなかったため、無氷回廊が開けて初めて、人類はアメリカ大陸に進出できた、というわけです。近年では、北アメリカ大陸や南アメリカ大陸でクローヴィス文化よりも前の人類の痕跡が複数報告されており、クローヴィス最古説はほぼ否定された、と言ってよい状況でしょう。また、アメリカ大陸への人類の進出経路も、太平洋沿岸だったのではないか、との見解が有力になりつつあります。

 この研究は、無氷回廊の湖の堆積物の花粉・化石などから、放射性炭素年代(この研究では較正年代)やDNAの解析結果を得て、アメリカ大陸最初の人類が無氷回廊を経由して進出してきたのか、検証しています。その結果、無氷回廊で人類が生活できるような生態系になったのは12600年前頃だと推測されています。無氷回廊では、12600年前頃に植生が草原地帯へと変わり、バイソンやマンモスなどが移住してきます。無氷回廊は11500年前頃には現在の亜寒帯森林に似た生態系となり始め、ヘラジカが移住してきます。無氷回廊はその後、10000年前頃には現在のような環境となります。

 12600年前頃以降の無氷回廊は、狩猟採集民が生活できるだけの豊かな生態系でしたが、それよりも前には、人類の生存は困難だったと考えられます。この研究はそうした理由から、クローヴィス文化の担い手も、クローヴィス文化よりも前のアメリカ大陸の人類集団も、無氷回廊でアメリカ大陸へと進出してきたのではなく、太平洋沿岸経路で拡散したのではないか、との見解を提示しています。これは、近年の研究動向と整合的と言えるでしょう。しかし、アメリカ大陸最初期の人類の太平洋沿岸経路での拡散の証拠は、現代ではその多くが海面下にあると考えられるので、発見は容易ではない、と指摘されています。また、クローヴィス文化よりも後の人類集団は、無氷回廊経由でアメリカ大陸へと拡散した可能性も指摘されています。


参考文献:
Pedersen MW. et al.(2016): Postglacial viability and colonization in North America’s ice-free corridor. Nature.
http://dx.doi.org/10.1038/nature19085
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立山良司『ユダヤとアメリカ 揺れ動くイスラエル・ロビー』

2016/08/11 00:00
 中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。アメリカ合衆国におけるユダヤ社会の動向の変遷が、イスラエルとの関係を軸に分析されています。アメリカ合衆国におけるイスラエル・ロビーというかユダヤ・ロビーの大きな影響力は、現代日本社会でもよく知られているでしょう。これが誇張されると、ユダヤ陰謀論になってしまうわけですが、日本社会でも一時期、ユダヤ陰謀論を主張する本がわりとよく売れ、今でもユダヤ陰謀論は一定以上の影響力を有しているかもしれません。もちろん本書の見解は、ユダヤを一体的なものとみて、他集団を見下して邪悪な目標のために統一的に行動している、というようなユダヤ陰謀論とは一線を画しており、アメリカ合衆国におけるユダヤ社会の多様性と、アメリカ合衆国およびイスラエルの社会変化に伴う変容を丁寧に解説しています。

 アメリカ合衆国のユダヤ社会では、自らも少数派で差別的境遇を経験してきたこともあってか、リベラル派が多く、昔も今も民主党支持者が多いことが特徴になっています。しかし、1970年代以降、アメリカ合衆国においてユダヤ社会と共和党との結びつきが強くなっていきます。これは、アメリカ合衆国において宗教的信念からイスラエルに好意的なキリスト教福音派が伸長し、その保守主義的傾向から共和党と強く結びつき、共和党の票田になっていったことも大きいようです。このようにユダヤ社会が共和党との結びつきも強めていったことで、第二次中東戦争のさいにはイスラエルの意向に反する行動をとったこともあるようなアメリカ合衆国は、イスラエルとの関係をさらに強めていき、両国は特別な関係と称されるようになります。イスラエル・ロビーはアメリカ合衆国において強大な影響力を有するようになります。

 しかし、1980年代以降、アメリカ合衆国においてリベラルと保守の二極分化が、イスラエルにおいて民族主義的傾向が強まっていくと、状況が変わっていきます。上述したように、元々アメリカ合衆国のユダヤ社会ではリベラル派が多く、キリスト教保守勢力と結びついて共和党と密接な関係を築いていくことや、イスラエルにおいて民族主義的傾向が強まっていくことにたいして、若い世代を中心に反発が高まっていき、それまではイスラエルの政策にたいして批判を自重する傾向が強かったのにたいして、公然と反対する勢力が出現するようになります。これには、ホロコーストを経験するかその記憶が生々しかった世代にとって、イスラエルは緊急避難場所であり、イスラエルの政策への批判は「イスラエルの敵を利することになる」という意識が強かったのにたいして、それよりも若い世代にとって、イスラエルは中東における強国であり、古い世代の被害者的感覚・観念は共有されづらい、という事情があるようです。アメリカ合衆国におけるユダヤ社会の意識の多様性と変容を知るうえで、本書は適切な入門書になっているように思います。
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人間の判断における偏り

2016/08/10 00:00
 人間の判断における偏りについての研究(Soltani et al., 2016)が公表されました。人間は通常、複数の証拠を組み合わせて意思決定を行ないますが、各状況下で最大の報酬を伴う選択がどれなのか、という判断が偏ることもあります。こうした意思決定過程に伴う神経機構については、まだよく分かっていませんでした。この研究は、37人の大学生に、異なる結果(報酬)と関連づけられた最大4つの形状の組み合わせを示し、課題を遂行させました。参加者には、形状の組み合わせを次々と示し、報酬の異なる赤・青の2つの標的のいずれかを選ばせました。参加者はこの実験で、報酬を得る可能性を最大化するような選択を行い、120回の実験を通じて、各形状について報酬が得られる確率を学習していました。

 これに対して、それぞれの形状に対する報酬の可能性を参加者に推測させる実験では、報酬を得られる確率が低い形状の方が高い価値を有する、と参加者は評価しました。これは、「基準値の無視」という既知の判断バイアスで、複数の手掛かりを同時に示された人間が、発生確率の低い結果に先行する手掛かりの予測力を過大評価する傾向のことです。この研究は、こうした判断バイアスが生じる過程を説明するため、生物物理学的な発想によって、報酬に基づく学習過程と意思決定過程と注意過程を組み込んだ神経モデルを構築し、これらの過程全ての相互作用が生じ、それがこの研究で得られた直観に反した行動学上の新知見を説明する上で不可欠なことを明らかにした、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【行動】ヒトの判断バイアスの解明に前進

 ヒトの意思決定のバイアス(偏り)の基盤となる機構を新しいモデルを用いて説明する論文が掲載される。この行動研究では、ヒトの論理的思考において、報酬に依存する学習と意思決定と注意が強く関連していることが浮き彫りになった。

 通常、ヒトは、複数の証拠を組み合わせて意思決定を行うが、それぞれの状況下で最大の報酬を伴う選択または選択肢がどれなのかという判断が偏ることがある。こうした意思決定過程に伴う神経機構については、十分な理解がなされていない。

 今回、Alireza Soltaniたちは、行動実験とモデル化を組み合わせて、選択によって確率の異なる結果が得られる状況下での意思決定バイアスに関係する機構についての解明を進めた。この研究に参加した37人の大学生に、異なる結果(報酬)と関連づけられた最大4つの形状の組み合わせを示し、課題を遂行させた。参加者には、形状の組み合わせを次々と示して、報酬の異なる(赤と青の)2つの標的のいずれかを選ばせた。この実験で、参加者は、報酬を得る可能性を最大化するような選択を行い、120回の実験を通じて、それぞれの形状について報酬が得られる確率を学習していた。これに対して、それぞれの形状に対する報酬の可能性を参加者に推測させる実験では、参加者は、報酬を得られる確率が低い形状の方が高い価値を有すると評価した。これは、「基準値の無視」という既知の判断バイアスで、複数の手掛かりを同時に示されたヒトが、発生確率の低い結果に先行する手掛かりの予測力を過大評価する傾向のことだ。

 Soltaniたちは、この判断バイアスが生じる過程を説明するため、生物物理学的な発想によって、報酬に基づく学習過程と意思決定過程と注意過程を組み込んだ神経モデルを構築し、これらの過程全ての相互作用が生じ、この相互作用が、今回の研究で得られた直観に反した行動学上の新知見を説明する上で不可欠なことを明らかにした。



参考文献:
Soltani A. et al.(2016): Neural substrates of cognitive biases during probabilistic inference. Nature Communications, 7, 11393.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms11393
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ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』560話〜563話

2016/08/09 00:00
560話「愛される警察」6
 ラガーは街で偶然、男性に絡まれた女性を助け、喫茶店で話をします。ところがその喫茶店には、付き合っていた女性に復讐するために、警官から拳銃を奪って待ち構えていた男性がいました。店内の客同士の揉め事から、その男性が拳銃を持っていることが偶然発覚し、男性はラガーたち客を人質に取って立て籠もります。『太陽にほえろ!』ではたまにある刑事が人質に取られる話で、今回は警察への人々の信頼という観点が中心になっており、定番の描写ともいうべき人質の人間性も浮き彫りになっていました。定番の話ながら、工夫も見られてまずまず面白かったと思います。


561話「12目の真実」8
 ドックの高校・医大時代の同級生が工事中のビルから転落して死亡します。状況証拠から、殺害されたのではないかと疑われ、捜査が進められます。親しかった同級生たちが容疑者となり、ドックが捜査を進めます。結局、同級生たちの中に犯人はおらず、別人が犯人だったのですが、何とも苦い話になっていました。オチはやや急展開でしたが、なかなか面白かったと思います。メインゲストは大門正明氏ですが、北村総一朗氏や森田順平氏も出演しており、なかなか豪華な配役になっていると思います。ブルース登場の前回ということで、区切り的な意味合いがあったのでしょうか。ナーコの登場が今回で最後となるのも、そのためかもしれません。ナーコはすでに母親の看病のため休んでいることが語られていましたが(528話)、これで正式に退場となります。ジーパンがいた頃に、シンコと久美ちゃんがレギュラーだったこともあるのですから、女性二人がレギュラーでもよかったのではないかな、とも思います。


562話「ブルース刑事登場!」6
 ブルースが登場し、オープニング映像も変わりました。スコッチが退場してからブルースが登場する前までの間に、4人が退場して3人が新たに登場したのですが、同じオープニング映像だったので、やっと変わったなあ、という感じです。まあ、この間1年半弱なので、印象ほどには長くないわけですが。ブルースがジーパンを意識した人物造形になっていることは、本作の長年の視聴者の多くが感じていたことでしょうが、いきなり殺人事件の容疑者として取り調べを受けたことも、留置所からの登場となったジーパンを想起させます。ボギーがマカロニを意識したキャラであることは、ともに音楽界で世に出た人を起用したことからも明らかだと思いますが、視聴率が全盛期より低迷していたことから、マカロニとジーパンの仮想的な共演というような意味合いも制作者側にはあったのでしょうか。

 まあ、ブルースがジーパンを意識したキャラだとはいっても、差異化も企図されており、若手の新人刑事では初となる既婚者です。新人だけに、ブルースの演技には硬いところがあり、台詞回しも上手いとは言えませんが、それが不器用な性格と合っていて、さほど悪いとは思いませんでした。話の方は、定番の若手刑事の暴走が描かれ、やや陳腐なところもあってもう一つでしたが、ブルースのアクションシーンと表情には見るべきところがあったと思います。新人刑事の登場回としては水準以上だったのではないでしょうか。それだけに、ブルースを演じた又野誠治氏が若くして亡くなったことが惜しまれます。長さんの久々の登場は、本作の長い歴史を感じさせ、嬉しいものです。ただ、長さんがブルースの教官だったという設定はこの後あまり活かされていなかったような気もしますが・・・。


563話「たすけて!」5
 ラガーはあるアパートの前で、丸められた紙を投げつけられます。その紙には「たすけて」と書かれていました。ラガーは誰が投げたのか探しますが、なかなか特定できません。ラガーが捜査を続けると、丸められた紙を投げつけられ、そこには再び「たすけて」と書かれていました。有力な容疑者も関係がなく、関連があると考えられた誘拐事件も無関係で、なかなか謎めいた事件でしたが、寂しさから自分に関心を向けてほしかった女性のやったことだと分かります。『太陽にほえろ!』では定番の、都会の孤独を扱った話なのですが、この女性の人物像があまり掘り下げられなかったのは残念でした。ラガーがブルースに先輩面して舞い上がっているところはなかなか笑えます。
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大河ドラマ『真田丸』第31回「終焉」

2016/08/08 00:00
 これは8月8日分の記事として掲載しておきます。今回は秀吉の死が描かれました。第二部となる大坂編では主人公の信繁をはじめとして登場人物が秀吉の言動に振り回されていた感があり、第一部の実質的な主人公が昌幸だとすると、第二部の実質的な主人公は秀吉とも言えそうです。秀吉の死後を見据えた三成と家康との駆け引きや、それに巻き込まれた昌幸と昌相の覚悟や、昌相による家康襲撃や、茶々の思惑など、相変わらず密度が濃く見どころの多い内容になっていたと思います。

 大坂編では、信繁が秀吉・家康・茶々・三成などといった有名人と深く関わり、話が進みました。この頃の信繁の事績はほとんど伝わっていないようですから、信繁が主人公である以上、長期の娯楽時代劇として本作程度の創作は有ではないか、と思います。まあ、このような創作は不愉快だと思う視聴者も少なからずいるのかもしれませんが。いよいよ秀吉が死に、この後は関ヶ原の戦いにいたる人間模様がどのように描かれるのか、たいへん楽しみです。
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西アジアの中期更新世の人類の歯

2016/08/07 00:00
 これは8月7日分の記事として掲載しておきます。西アジアの中期更新世の人類の歯についての研究(Hershkovitz et al., 2011)が報道されました。この研究も、取り上げるのがかなり遅れてしまったというか、メモ帳を整理していて、5年近く前に取り上げようと思って記録しておいたものの、不覚にも最近まで失念していたことに気づきました。今更ではありますが、せっかく気づいたので、取り上げることにします。

 この研究では、イスラエルのケセム洞窟(Qesem Cave)で発見された中期更新世の永久歯と乳歯が分析・比較されました。この歯の年代は40万〜20万年前頃で、後期下部旧石器時代のアシュールヤブルディアンのものとされています。3本の下顎永久歯は下層で近接した状態で発見されました。歯冠の測定から、かなりの程度歯が摩耗していたのではないか、と推測されていますが、歯根は長く頑丈です。上層で発見された、3本の孤立した上顎永久歯と2本の孤立した乳歯はもっと大きく、早期現生人類(Homo sapiens)として知られるスフール人・カフゼー人の歯と類似した幾つかの祖先形質の痕跡が見られます。

 このケセム洞窟の歯には、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)の特徴一式が見られるわけではありませんが、ネアンデルタール人の系統との幾つかの類似性も見られます。しかしこの研究では、総合的に見ると、ケセム洞窟の歯はスフール人・カフゼー人の歯にもっと似ている、と指摘されています。ただ、そうした類似の多くは祖先形質の特徴を反映しているのではないか、とも指摘されています。やはり8本の歯だけでは、なかなか見通しを立てるのも難しいようです。


参考文献:
Hershkovitz I. et al.(2011): Middle pleistocene dental remains from Qesem Cave (Israel). American Journal of Physical Anthropology, 144, 4, 575–592.
http://dx.doi.org/10.1002/ajpa.21446
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恐竜絶滅の要因だったかもしれない煤

2016/08/06 00:00
 これは8月6日分の記事として掲載しておきます。恐竜絶滅の要因に関する研究(Kaiho et al., 2016)が公表されました。6600万年前頃の恐竜の大量絶滅の要因については、小惑星の衝突により凝縮した硫酸エアロゾルが成層圏に生成した、という仮説が提示されています。この硫酸エアロゾルが酸性雨を引き起こし、太陽光を反射して地球の地表全体を暗黒にした結果、光合成が減ってほぼ凍結状態になった、というわけです。しかし、この仮説ではワニも絶滅していなければなりませんが、ワニは絶滅していません。また、小惑星の衝突によって凝縮した硫酸エアロゾルが形成されることはなく、それが長期間にわたって残留することもない、という結論が実験的研究によって明らかになっています。

 この研究は、ハイチとスペインの6600万年前頃となる白亜紀-古第三紀境界から採取された堆積物に含まれていた炭化水素を分析し、現在のメキシコに相当する大量の原油が埋蔵された地域に小惑星が衝突したことで煙の雲が大気中に立ち上り、それが地球全体に広がった、という仮説を提示しました。この研究は、堆積物試料に含まれていた炭化水素と気候モデルに基づき、約1500テラグラムの煤の噴出は恐竜の大量絶滅に充分な量で、ワニなどの動物は生き残れることができた、と推測しています。またこの研究では、大気中の煤により中・高緯度の地域が寒冷化し、ほとんどの生物種が絶滅した一方で、低緯度で軽度の寒冷化を伴う旱魃があれば、恐竜は絶滅してもワニは生き残れた、という見解も提示されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です


【古生物学】恐竜絶滅は「すす」が引き起こしたかもしれない

 およそ6600万年前に起こった恐竜の大量絶滅の原因が、チクシュルーブ小惑星の衝突後に大気中に噴出した「すす」であった可能性を指摘する論文が掲載される。

 チクシュルーブ小惑星の衝突によって凝縮した硫酸エアロゾルが成層圏に生成して恐竜が絶滅したという学説が提唱されている。この硫酸エアロゾルが酸性雨を引き起こし、太陽光を反射して地球の地表全体を暗黒にし、その結果、光合成が減り、ほぼ凍結状態になったというのだ。ところが、このシナリオではワニも絶滅していなければならないのだが、ワニは絶滅していない。また、小惑星の衝突によって凝縮した硫酸エアロゾルが形成されることはなく、それが長期間にわたって残留することもないという結論が実験的研究によって導き出されている。

 今回、東北大学の海保邦夫(かいほ・くにお)たちは、ハイチとスペインの白亜紀-古第三紀境界(約6600万年前)から採取された堆積物を調べた。海保たちは、この堆積物試料に含まれていた炭化水素を分析して、現在のメキシコにあたる大量の原油が埋蔵された地域に小惑星が衝突したことで煙の雲が大気中に立ち上り、それが地球全体に広がったという仮説を提示している。海保たちは、堆積物試料に含まれていた炭化水素と気候モデルに基づいて、約1,500テラグラムのすすの噴出は恐竜の大量絶滅に十分な量であり、ワニなどの動物は生き残れることができたという考えを示している。

 海保たちは、大気中のすすによって中・高緯度の地域が寒冷化し、ほとんどの生物種が絶滅したと主張する一方で、低緯度で軽度の寒冷化を伴う干ばつがあれば、恐竜が絶滅してもワニは生き残れたという考えも示している。



参考文献:
Kaiho K. et al.(2016): Global climate change driven by soot at the K-Pg boundary as the cause of the mass extinction. Scientific Reports, 6, 28427.
http://dx.doi.org/10.1038/srep28427
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白亜紀末期の大量絶滅の始まりの原因

2016/08/05 00:00
 これは8月5日分の記事として掲載しておきます。白亜紀末期の大量絶滅の始まりの原因に関する研究(Petersen et al., 2016)が公表されました。6600万年前頃の白亜紀と古第三紀の境界の大量絶滅では、非鳥類型恐竜が地球上の生物種の3/4とともに絶滅しました。その原因については古くから議論が続いており、現在では、巨大隕石の衝突が主原因で、インドのデカントラップ火山地域の噴火を二次的機構とする見解が主流です。しかし、この二つの現象は時期的に近接しており、化石記録も不完全なため、区別して論じることは難しくなっています。

 この研究は、南極のシーモア島で得た詳細な化石記録を用い、この絶滅現象を検証しました。この研究は、炭酸塩凝集同位体による古水温推定から、白亜紀と古第三紀の境界に生存していた軟体動物の殻に記録された気温の変化を正確に計算しました。その結果、生物種の絶滅と同時期に気温が2回急上昇しており、1回目の急激な気温上昇がデカントラップでの火山活動の始まりと同時期で、1回目よりも小規模な2回目の気温上昇は、白亜紀と古第三紀の境界および巨大ュルーブ隕石の衝突の時期に近いことが明らかになりました。

 この研究は、白亜紀と古第三紀の境界以前に起こった絶滅現象によって生態系ストレスが増し、隕石の衝突があった時に2回目の気温上昇にたいする生態系の脆弱性が増した、という見解を提示しています。しかし、2回目の気温上昇との関係で、火山活動と隕石の衝突がそれぞれ果たした役割を区別して論じるのが難しいことは変わらない、とも指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


進化:地球の古生物を待ち受けていた二重の大災害

 白亜紀末期の大量絶滅の始まりの原因が、よく知られたチクシュルーブ隕石の衝突より前に起こった巨大な火山噴火と膨大な量の二酸化炭素の排出だったことを報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この新知見は、南極で出土した化石の詳細な分析に基づいており、絶滅のための二重の機構が数十万年間にわたって存在していたことを示している。

 白亜紀と古第三紀の境界(約6600万年前)で起こった大量絶滅現象の際には、非鳥類型恐竜が地球上の生物種の4分の3とともに死滅した。大量絶滅現象の原因については、いまも論争があり、チクシュルーブ隕石の衝突を主たる原因とし、インドのデカントラップ火山地域の噴火を二次的機構とする論者が多い。しかし、これら2つの現象は、時期的に近接しており化石記録も不完全なため、区別して論じることは難しい。

 今回、Sierra Petersenたちは、南極のシーモア島で得た高品質の完全な化石記録を用いて、この絶滅現象についての研究を行った。今回の研究では、新しい地球化学的方法(炭酸塩凝集同位体による古水温推定)によって、白亜紀と古第三紀の境界に生存していた軟体動物の殻に記録された気温の変化を正確に計算した。その結果、Petersenたちは、生物種の絶滅と同時期に気温が二度急上昇しており、一度目の急激な気温上昇がデカントラップでの火山活動の始まりと同時期で、一度目よりも小規模な二度目の気温上昇は、実際の白亜紀と古第三紀の境界とチクシュルーブ隕石の衝突の時期に近かった。

 Petersenたちは、白亜紀と古第三紀の境界以前に起こった絶滅現象によって生態系ストレスが増し、隕石の衝突があった時に二度目の気温上昇に対する生態系の脆弱性が増したという考えを示している。しかし、二度目の気温上昇との関係で火山活動と隕石の衝突がそれぞれ果たした役割を区別して論じるのが難しいことは変わらない。



参考文献:
Petersen SV, Dutton A, and Lohmann KC.(2016): End-Cretaceous extinction in Antarctica linked to both Deccan volcanism and meteorite impact via climate change. Nature Communications, 7, 12079.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12079
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人間社会における正直さと規則違反

2016/08/04 00:00
 これは8月4日分の記事として掲載しておきます。人間社会における正直さと規則違反についての研究(Gächter, and Schulz., 2016)が公表されました。正直さは全ての人間社会において重要な性格特性の一つです。不正行為や規則違反を抑制する優れた制度は繁栄と発展にきわめて重要ですが、生物界では欺きが多く、人間もその例外ではありません。この研究は、個人レベルでは嘘を検知できないものの、集団レベルでは推測可能な、正直さを調べる行動研究を23ヶ国の若者を対象に行うことにより、規則違反指標スコアの高い国では個人の正直さが低いという関連を明らかにしました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


人間行動学:さまざまな社会全体にわたる本質的正直さと規則違反の蔓延

人間行動学:正直は最善の策

 正直さは、全てのヒト社会において重要な性格特性の1つである。不正行為や規則違反を抑制する優れた制度は繁栄と発展に極めて重要であるが、自然界では欺きが多く、ヒトもその例外ではない。今回S GächterとJ Schulzは、個人レベルではうそを検知できないが集団レベルでは推測可能な、正直さを調べる行動研究を23か国の若者を対象に行うことにより、規則違反指標スコアの高い国では個人の正直さが低いという関連を見いだした。



参考文献:
Gächter S, and Schulz JF.(2016): Intrinsic honesty and the prevalence of rule violations across societies. Nature, 531, 7595, 496–499.
http://dx.doi.org/10.1038/nature17160
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宇野重規『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』

2016/08/03 00:00
 これは8月3日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2016年6月に刊行されました。広く使われている用語ほど、定義が難しく、見解の分かれることが多い、と私は昔から考えているのですが、保守主義もその一例と言えるかもしれません。本書は、過去に価値を見出し、変化を嫌うような思考は人類社会に普遍的であるものの、それは保守主義とは異なり、保守主義は自覚的な近代思想である、と指摘します。

 保守主義論ではエドマンド=バーク(Edmund Burke)に起点を見出すことが多いように思われますが、本書も同様です。保守主義とは、急進的な設計主義たる進歩主義へのいわば対抗思想であり、保守すべき価値観・体制を見出し、漸進的な変革を目指すものだ、と本書は指摘します。この進歩主義は、バークの時代にあってはフランス革命の急進主義であり、20世紀になると社会主義が大きな力を有することになります。なお、バークにとっての保守すべき体制とは、いわゆる名誉革命により成立したイギリスの国制であり、そこで保障された自由でした。保守主義の根底には人間の限界への深い洞察があり、人間の理性への(保守主義の側から見ると)際限なしとも言える信頼を根底に置く進歩主義への批判があります。

 本書は、このようにイギリスで発展した保守主義が、アメリカ合衆国で発展・変容していく様相と、近代日本における保守主義の様相、さらにそもそも保守主義は日本で根づいていたのか、ということを論じていきます。アメリカ合衆国では、「大きな政府」への批判のなかで、保守主義が変容していくとともに、新保守主義といった、じゅうらいの保守主義から見ると異質な思想が重要な思潮となっていったことが概観されます。日本においては、そもそも保守主義が根づいていたのか、という疑問を提示しつつ、伊藤博文・陸奥宗光・原敬に近代日本における「保守本流」を見出しています。

 本書執筆の動機として、保守主義の迷走とも言うべき現状への懸念があるように思われます。保守主義は進歩主義への対抗思想として形成されていきましたが、社会主義の凋落に象徴される進歩主義への懐疑の高まりにより、保守主義は何を保守すべきなのか、何に対抗すべきなのか、見失っているのではないか、というわけです。アメリカ合衆国や日本の現状への懸念も、そうした文脈で解説されています。その意味で、保守主義の歴史的展開を平易に解説した本書の現代社会における意義は大きいのではないか、と思います。
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東京都知事選結果

2016/08/02 00:00
 これは8月2日分の記事として掲載しておきます。先月31日(2016年7月31日)に投開票となった東京都知事選は、大手マスコミの事前の情勢調査通り(関連記事)、小池百合子候補が圧勝しました。選挙期間中、マスメディアに有力候補として扱われることの多かった3人の得票数は、以下の通りとなります。()は得票率です。

小池百合子候補・・・2912628票(44.49%)
増田寛也候補・・・1793453票(27.40%)
鳥越俊太郎候補・・・1346103票(20.56%)

 小池候補圧勝の理由は、自民党都連との「守旧派」対「改革派」という対決構造を創り出し、自民党都連に「苛められている」ので同情票が集まったことと、自民党都連の締め付けにも関わらず、少なからぬ東京都の地方自治体の自民党系議員が小池候補を支援したことと、今回の候補者の中では知名度が高かったことだと思います。自民党都連や自民党本部の了承を得ずに、早々に立候補宣言した小池候補の「奇襲」が成功した、ということでしょうか。小池新都知事は自民党都連と早々に「和解」する可能性が高いと思うのですが、両者の対立はかなり根深いものでしょうから、金銭面などで何か問題が生じたとしたら、先代・先々代の都知事のように、たちまち都議会から見放され、任期を全うできないのではないか、と思います。あるいは、政界でも屈指の華麗な遊泳術を誇る小池新都知事だけに、「小池劇場」を演出して、自民党都連の「反小池派」との対決色を強め、自分を支持する「地域政党」を立ち上げて、来年の都議選に臨むかもしれません。色々と支持できないところのある小池新都知事ですが、ともかく都政を徒に混乱させることのないよう、願っています。

 増田候補は、小池候補・鳥越候補と比較して知名度が劣っていたこともありますが、自民党都連の時代錯誤的な通達により、「苛める側」としての印象が強くなってしまったことも敗因の一つだと思います。自民党も、意中の人物に立候補を断られて、次善(ですらなかったかもしれませんが)の候補として増田氏を擁立したのでしょうが、それにしても、増田候補の過去の「反東京主義」的な政治姿勢を考えたら、もっと人選は何とかならなかったものか、と思います。

 「保守分裂」選挙となったことから、主要野党の「統一候補」として出馬した鳥越氏は、序盤の情勢調査が出るまでは、当選有力と考えている人も少なくなかったと思います。しかし、報道機関での露出が増えるにつれて支持率が下がっていったように思います。これは、認知能力も含めて鳥越候補の健康面に不安がもたれたことが大きかったように思います。また、鳥越候補よりもよほど都政について勉強しており、都知事選の準備を整えていた宇都宮氏を立候補断念に追い込んだように見えて反感を買ったことも敗因の一つでしょうか。そのため、小池候補にますます同情票が集まる結果になったように思います。連合が自主投票としたことも敗因の一つと言えるかもしれません。何よりも、週刊誌で取り上げられた醜聞は致命的だったと思います。確かに、鳥越候補の醜聞が最も高く売れる時点で取り上げるという商業的判断もあったのでしょうが、明らかに鳥越候補の当選を阻止するための政治的意図も濃厚にあったと思います。

 それにしても、「保守分裂」選挙となり、主要野党の「統一候補」だったにも関わらず、鳥越候補が増田候補にもかなりの差で負けてしまって3位だったことは衝撃的で、鳥越候補を擁立した主要野党の幹部は猛省すべきでしょう。宇都宮健児氏では民進党が推薦できないので、民進党も共産党も推薦できる候補として鳥越氏を擁立したのでしょうが、今回の都知事選に限って言えば、明らかに人選を間違ったと思います。今回の鳥越候補の得票率(20.56%)は、前回の都知事選の宇都宮候補の得票率(20.18%)とさほど変わらないくらいです。ただ、何かと冷ややかに評価されることの目立った野党共闘のことを考えると、今後数年間の政局という観点では大失敗とは言えない選択だったかもしれません。先月の参院選での野党共闘に一定以上の効果があったことは、2013年の参院選と比較すると、自民党の議席数が、比例選での得票率が上回っていたにも関わらず減少したことからも、否定できないと思います。とはいえ、この野党共闘が日本国民の多数にとってよりましな選択なのかというと、かなり微妙ではありますが。
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白亜紀の幼鳥の翼

2016/08/01 05:04
 白亜紀の幼鳥の翼に関する研究(Xing et al., 2016)が公表されました。この研究は、ミャンマーのカチン州の9900万年前頃の遺跡で発見された、琥珀中に保存された鳥類の骨と羽毛について報告しています。これまでの白亜紀の鳥類の翼と羽衣に関する知識は、二次元化石(炭素質圧縮化石)と琥珀中に保存された羽毛がもたらしたものだったので、この研究で取り上げられた三次元化石標本ほどの情報が含まれていません。その意味で、この発見は重要だと言えるでしょう。

 この研究は、琥珀に保存されていた骨と羽毛の構造・配列をシンクロトロンX線マイクロCTスキャンなどの手法を用いて調べました。その結果、他の化石種との比較から、この翼は白亜紀末期に絶滅した鳥類系統であるエナンティオルニス類ではないか、と示唆されています。また、この化石の翼が小型で、骨の発達が不完全であることから、幼若期に死んだ個体ではないか、と考えられています。ただ、羽毛が高度に発達しているので、孵化時に比較的成熟している早成性鳥類の個体であった、と示唆されています。また、この化石の羽衣が全般的に現生鳥類の羽衣と非常によく似ており、大部分の羽毛の種類が同じで、配列・色素沈着と微細構造が類似していることも指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【化石】琥珀に保存された古代鳥の翼

 ビルマ琥珀の中で化石化した2つの9900万年前の鳥の翼について説明する論文が、今週掲載される。これらの化石には、白亜紀(約1億4550万年〜6550万年前)の毛包と羽毛配列の初めての実例が含まれており、古代鳥類の幼鳥の翼の発達に関する貴重な手掛かりとなっている。

 これまでの白亜紀の鳥類の翼と羽衣に関する知識は、二次元化石(炭素質圧縮化石)と琥珀中に保存された羽毛がもたらしたものだった。これらの化石は貴重だが、今回の論文で説明されている三次元化石標本ほどの情報が含まれていない。

 今回、Lida Xing、Ryan McKellarたちの研究チームは、約9900万年前のものと年代決定されているミャンマーのカチン州の遺跡で、2点の化石標本を発見し、シンクロトロンX線マイクロCTスキャンなどの手法を用いて、これらの化石に含まれる骨と羽毛の構造と配列を調べた。そして、この翼は、他の化石種との比較から、エナンティオルニス類(白亜紀末期に絶滅した鳥類系統)のものであることが示唆されている。Xingたちは、この化石の翼が小型で、骨の発達が不完全であることを根拠に、幼若期に死んだ個体の化石だと考えている。ただし、羽毛が高度に発達していることから、孵化時に比較的成熟している早成性鳥類の個体であったことが示唆されている。

 Xingたちは、この翼の化石の羽衣が全般的に現生鳥類の羽衣に非常によく似ており、その上、大部分の羽毛の種類が同じで、配列、色素沈着と微細構造が類似していることを指摘している。



参考文献:
Xing L. et al.(2016): Mummified precocial bird wings in mid-Cretaceous Burmese amber. Nature Communications, 7, 12089.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms12089
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