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アリの拡散と人間の行動

2017/06/28 00:00
 これは6月28日分の記事として掲載しておきます。アリの拡散と人間の行動に関する研究(Bertelsmeier et al., 2017)が公表されました。人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こします。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続ける、と予測されています。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目していますが、外来種全般が類似の定着パターンに従うのかどうか、さらにそうしたパターンがどのように進行するのか、ほとんど知られていません。この研究は、本来の生息範囲の外へ導入されたことが知られている外来アリ241種を調べ、局地的・地域的・大陸横断的・全球的という4群に分類されることを明らかにしました。これら4群はそれぞれ、拡散を支配する動態が異なっています。

 さらにこの研究は、241種のうち36種に関して1750年以降の移動を調べた結果、その4群のアリ種が大陸および地域を横断した時期が、人類の移動とグローバル化および好景気に関する二つの大きな波と重なることを明らかにしました。第一の波は19世紀半ばに始まり、第一次世界大戦および1929年の世界大恐慌で終息したもので、第二の波は第二次世界大戦以降21世紀まで続きました。また、大きく全球化が進んだ侵略種は比較的小型であって、さまざまな場所に生息する能力を持つとみられることも明らかになりました。これは大陸横断の成功を説明すると考えられています。この研究は、アリの分布パターンに関する詳細を組み合わせて、さまざまな環境でのアリの生息を可能とする特性を理解することにより、生物の侵略を促進する過程に関する価値ある洞察をもたらし、将来的に侵略種となる可能性が極めて高い種の特定に寄与している、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


外来アリは人間が行く先々へついてくる

 最近の人類史上の大きな出来事がアリ侵略種の拡散の要因となっていることを示す論文が、このたび新たに掲載される。外来アリによる侵略の成立に関してその形質、動態、および促進要因を理解することは、他の侵略種の将来的な拡散を抑止するのに役立つ可能性がある。

 人間の交易と移動は生物地理学的な垣根を下げ、生物の地理的分布に変化を引き起こす。その結果、外来種の拡散は世界の生物多様性および生態系サービスへの大きな脅威となり、新参種が定着するペースは上昇し続けることが予測されている。生物の侵略に関する研究の多くは個々の種の侵略の全過程を通じた経過に注目しているが、外来種全般が類似の定着パターンに従うのかどうか、そしてそうしたパターンがどのように進行するのかはほとんど知られていない。

 本来の生息範囲の外へ導入されたことが知られている外来アリ241種を調べたCleo Bertelsmeierたちは、そのアリが4つのカテゴリーに分類されることを発見した。それは、分布が局地的、地域的、大陸横断的、および全球的なものの4つであり、それぞれの拡散を支配する動態は異なっている。続いて研究チームは、そのうち36種に関して1750年以降の移動を調べた結果、その4群のアリ種が大陸および地域を横断した時期が、人類の移動、グローバル化、および好景気に関する2つの大きな波と重なることを発見した。第一の波は、19世紀半ばに始まって第一次世界大戦および1929年の世界大恐慌で終息したものであり、第二の波は、第二次世界大戦以降、21世紀まで続いた。また、大きく全球化が進んだ侵略種は比較的小型であって、さまざまな場所に生息する能力を持つとみられることが分かった。このことは、大陸横断の成功を説明すると考えられる。

 アリの分布パターンに関する詳細を組み合わせて、さまざまな環境でのアリの生息を可能とする特性を理解することにより、研究チームは、生物の侵略を促進する過程に関する価値ある洞察をもたらし、将来的に侵略種となる可能性が極めて高い種の特定に寄与している。



参考文献:
Bertelsmeier C. et al.(2017): Recent human history governs global ant invasion dynamics. Nature Ecology & Evolution, 1, 0184.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0184
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ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』641話〜644話

2017/06/27 00:00
641話「二度死んだ女」8
 女性の死体が発見されますが、身元を証明するようなものは残されていませんでした。ところが、一係が捜査を進めると、女性は7年前に死亡宣告されていたことが分かります。女性には2億円の保険金がかけられていました。当時、女性は遺書を残して行方不明となり、死亡宣告された、というわけです。女性の夫は、妻が多額の借金をしていた、と山さんに明かします。一係は、7年前に夫婦が共謀して保険金を詐取しようとした、と推理します。妻の評判が地元と東京とで大きく違う一方で、夫は当時も今も評判が良いことに、何か手がかりがあるのではないか、と山さんは考えます。山さんは聞き込みの結果、妻が変わったのは新たな男性ができたからではないか、と推理します。山さんはさらに、女性の夫と新たな男とが共謀して女性を殺した可能性をマイコンに語ります。山さんが問い詰めると、新たな男は女性の夫とが共謀して女性を殺した、と自白します。山さん主演作らしく、人間心理の機微が描かれ、謎解き要素もあってなかなか面白くなっていました。山さんが犯人を追い詰めるところはやや強引な感もありましたが、新たな男の人間性を考えると、不自然ではなかったかな、と思います。今回も、ラガーは引き続き入院しており、ボスは登場したものの、ハワイでの会議で七曲署に不在という設定になっていました。


642話「ハワイアン・コネクション」6
 入院中の商事会社の社長の男性が病院の庭で射殺されます。犯人の男性は病院の向かいのビルからライフルで入院中の男性を射殺しました。ドックとブルースは犯人を追いますが、逃げられます。聞き込みで犯人に恋人がいると知ったドックとブルースは、その恋人を訪ねます。恋人の女性は、犯人とは久しく会っていない、と言います。ハワイにいるボスからの情報で新たな手がかりが得られ、ドックはボスと直接会って指示を受けます。久々にボスが本題に関わってきたのは何よりでした。捜査の結果、射殺された社長は拳銃の密輸に関わっていたことが明らかになります。じょじょに謎が解き明かされていく過程はなかなか面白かったのですが、犯人が殺し屋になる要因となった恋人の描写が予想していたほど多くはなく、犯人と恋人との関係があまり掘り下げられなかったように思えたのはやや残念でした。また、黒幕についての描写も足りなかったように思います。今回も、ラガーは引き続き入院していました。


643話「走れブルース」5
 パチンコに夢中になっていた女性の息子が行方不明となります。ブルースとマイコンは吉野刑事とともに少年を探しますが、子供は強盗犯二人が盗んだ金を隠しているところを偶然目撃してしまい、強盗犯二人に拉致されます。ブルースとマイコンは強盗犯二人と子供を発見して追跡し、ブルースは強盗犯二人のトラックに乗り移り、犯人の一人を逮捕しますが、もう一人は子供を連れて逃亡します。強盗犯二人が襲ったのはサラ金で、サラ金の支店長は50万円しか盗まれていないと証言しますが、サラ金と暴力団とのつながりが明らかになります。話自体はさほど面白くなかったのですが、ブルースのアクションシーンが中心の構成になっており、その点では楽しめました。また、最後に、強盗犯二人が連れ去った子供が、パチンコに夢中になっていた女性の息子ではなかった、というやや意外なオチになっていた点もよかったと思います。今回も、ボスは登場したものの、ハワイでの会議で七曲署に不在という設定になっていました。ラガーも引き続き入院していたのですが、途中で捜査に加わります。平泉成氏・片桐竜次氏・出光元氏がゲストで、なかなか豪華な配役になっていると思います。


644話「七曲署全員集合 狙われたコンピュータ」7
 2時間スペシャル放送となります。今回からボスとラガーが復帰となります。ラガーは骨肉腫が治癒していきなり元気に捜査に復帰しましたが、これならば、骨肉腫ではなく他の感知しやすい病気か怪我にしておけばよかったのではないか、と思います。話の方は、パソコンを捜査に利用するマイコンと、それに反発するブルースとの関係を背景として、警察のデータをハッキングして次々と事件を起こしていく犯人集団との対決が展開していきます。犯人は最初から明示されているので、犯人と一係との頭脳戦という性格が強くなっています。最後に話をひねってきたところはよかった思います。石橋蓮司氏と森本レオ氏・塩見三省氏がゲストで、なかなか豪華な配役になっていることもあり、まずまず楽しめました。ブルースが先輩風を吹かせるところには、かなりうんざりしてしまいましたが。
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第25回「材木を抱いて飛べ」

2017/06/26 00:00
 これは6月26日分の記事として掲載しておきます。井伊領内の材木をまとめて買い取りたいという商人が現れます。井伊領内から去った龍雲丸率いる盗賊団は気賀に戻り、龍雲党を名乗ります。龍雲党は流れ者を集めてよろず請負を始めます。駿府では今川氏真が同盟を破った武田への対抗策として塩止めを実施し、武田と通じる商人の取り締まりを強化していましたが、商人たちは統制の緩い気賀で武田領での取引を続けようとします。そこで氏真は、気賀の統制を強化しようとします。

 そんな中、井伊家の材木の商い先である成川屋が徳川に材木を流していることが発覚します。氏真は小野政次(鶴丸)を駿府に呼び、謀反の疑いがあるので駿府に来るよう、直虎に命じます。直虎は成川屋から材木を買い戻そうとしますが、成川屋はすでに気賀から去っており、気賀での材木の調達にも失敗します。そこで直虎は、龍雲党に材木の奪還を依頼するとともに、薬を飲んで熱を出し、時間を稼ぎます。直虎は政次に、上手くいかなければ井伊を頼む、と伝えます。

 直虎は駿府に赴き、氏真の前で弁明します。氏真はかつて井伊が三河の松平(徳川)と通じていたことを持ち出し、直虎の弁明を受け入れようとはしません。直虎がなおも必死に弁明するなか、龍雲党は成川屋から材木を奪還し、駿府に届けます。今回は、塩止めをめぐる今川の対応に井伊を絡めて話が展開し、ほとんど事績の伝わっていない主人公の歴史物語としてよかったのではないか、と思います。今回注目されるのは、直虎と政次の関係です。政次の最期とも大いに関わってきそうなだけに、今回の両者のやり取りは印象に残りました。
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金子拓『織田信長 不器用すぎた天下人』

2017/06/25 00:00
 これは6月25日分の記事として掲載しておきます。河出書房新社から2017年5月に刊行されました。本書は、裏切られ続けた人物との観点から信長の人物像を検証しています。信長を裏切った人物として検証の対象になっているのは、浅井長政・武田信玄・上杉謙信・毛利輝元・松永久秀・荒木村重・明智光秀です。このうち、浅井長政・武田信玄・上杉謙信・毛利輝元は同じ戦国大名の同盟者として、松永久秀・荒木村重・明智光秀は信長の家臣として位置づけられています。しかし、本書でも言及されているように、この区分には曖昧なところもあります。信長の主観では、書状の受け取り手への虚勢もあるだろうとしても、浅井長政や毛利輝元を家臣のように考えていたところもありますし、松永久秀は、当初は信長の家臣というよりは同盟者に近い立場でした。荒木村重と明智光秀は、羽柴秀吉と同様に、軽輩から信長に取り立てられた家臣と言えそうです。

 本書は、信長を裏切ったこの7人について、それぞれの経緯を検証し、共通する要因があったのではないか、と推測しています。本書の推測する要因とは、信長は武田信玄と徳川家康や上杉謙信のような同盟者間の対立や、自身と同盟者との境界の勢力に関して配慮の足らないところがあったのではないか、ということです。どうも、信長は外交が下手だったのではないか、というわけです。これは信長を裏切った家臣についても言えることで、信長は家臣や友好勢力間の対立について配慮の足らないところがあり、それが裏切りを招来したのではないか、と指摘されています。松永久秀に関しては、同じく信長の家臣で、松永久秀と敵対関係にあった筒井順慶を重用したことが要因ではないか、と推測されています。荒木村重に関しては、中国地方対策を担っていたのに、その役割が羽柴秀吉に任されるようになったことが、明智光秀に関しては、光秀の家臣の縁戚で、信長にとって友好勢力だった長宗我部元親との関係が悪化したことが要因ではないか、と指摘されています。

 本書はこのように、信長が裏切られた要因として、同盟者や家臣の間の利害関係への配慮が足らなかったことを挙げ、信長は外交が不得手で家臣団を上手く統制できていなかったのではないか、と指摘します。また本書は、信長はこれらの裏切りをまったく予想できていなかったようであり、信長は人を信じすぎたのではないか、とも指摘しています。一方で、信長の外交を高く評価する見解や、信長が尊大だったことを指摘する見解も本書では取り上げられています。しかし本書は、そうした見解と本書の見解は矛盾するものではない、と指摘しています。相手を深く信頼することと尊大であることは両立しますし、信長は一地方大名としての立場から天下人になるまでに勢力を拡大していきましたが、一地方大名の時には上手く機能した外交方針(遠交近攻)や家臣団統制が、天下人の立場では上手く機能しなかったのではないか、というわけです。信長の勢力拡大は急速であり、それに信長が上手く対応できなかったのかもしれません。

 本書を読むと、信長は相手の立場・心情を理解するのが苦手で、尊大さと通ずるというか、尊大さに起因するとも言える、相手への深い信頼ゆえの油断により、たびたび裏切られ、ついには自害に追い込まれた、との印象を受けます。本書の提示する信長像にはおおむね共感しました。ただ、本書でも示唆されていますが、この点で信長が特異というか、とくに無能な人物だったというわけでもないように思います。前近代の情報伝達事情では正確な情報の入手は難しかったわけで、相手の立場・心情を的確に理解するのは容易ではなかっただろう、と思います。他の戦国大名も、信長と同様の失敗を繰り返し、何度も裏切られることは珍しくなかったのではないか、とも思います。ただ、他の戦国大名の多くは、信長ほどには急速に勢力を拡大したわけではないので、その意味で信長の「裏切られ人生」は特異に見えるところがあるかもしれません。
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パソコン・スマホ・冷蔵庫の不調

2017/06/24 00:00
 これは6月24日分の記事として掲載しておきます。先々月(2017年4月)以降、デスクトップパソコンが不調に陥り、頻繁にフリーズするようになったことを先月このブログで述べました(関連記事)。その後、2週間近くフリーズしなかったのですが、今月8日早朝にフリーズし、その日は帰宅してからも立て続けにフリーズしました。どうにも原因が分からなかったのですが、メモリを挿し直したところ、2週間ほどフリーズしていません。まあ、今までのフリーズ直前の操作(Windows Media Player・ユーチューブでの音楽再生やテレビでのパソコン画面の出力)を避けるようにしているので、そちらが功を奏しているだけかもしれませんが。ただ、Word 2016が重いこともあり、近いうちにデスクトップパソコンを買い替えたい、とは思っているのですが、現在のメモリとSSDの価格を考えると、なかなか買い替える気にはなれません。

 スマホの不調はもう2年近くになり、電池の減りが速いので不便なのですが、スマホは性能のわりに高く感じるので、なかなか買い替える気にはなりませんでした。ただ、半年以上前にスマホのコネクタ部分が壊れてしまい、一般的な充電器から直接充電できず、卓上充電器を使わねばならなくなり、さらに最近ではその卓上充電器のコネクタ部分も壊れかけており、ちょっと工夫しなければ充電できなくなってしまったので、さすがにもう買い替えねばならないかな、と思います。できれば、もっと粘りたいところではありますが。

 パソコンとスマホの買い替えだけでも気が重かったのですが、先日、朝起きて冷蔵庫を開けたら冷えておらず、冷蔵庫も買い替えねばならないのか、とさらに落ち込んでしまいました。その時は、前日に冷蔵室を閉めたつもりが閉まっていなかったので、それが原因かもしれない、と希望的観測を抱いて冷蔵室を閉め、温度設定を強にしてみたところ、冷蔵室は以前よりも冷えていたものの、水の凍る速度は明らかに遅くなっており、冷凍室の冷却能力は間違いなく衰えているようです。現在使用中の冷蔵庫は購入してから8年2ヶ月弱で、その前に使用していた冷蔵庫も8年1ヶ月弱で冷却能力が衰えて買い替えざるを得ませんでしたから、高価格ではない冷蔵庫の寿命はそのくらいなのかもしれません。

 デスクトップパソコン・スマホ・冷蔵庫と、高価な製品を短期間のうちに買い替えることになりそうで、かなり落ち込んでしまいました。あくまでも不調の度合いによるのですが、基本的な優先順位は、冷蔵庫→スマホ→デスクトップパソコンと考えています。生活するうえで冷蔵庫は必需品なので、冷却能力がこれ以上衰えるようなら、即座に買い替えねばなりません。デスクトップパソコンについては、重要な作業はノートパソコンで代用できるので、またフリーズが頻発するようになったら、しばらくはノートパソコンのみを使ってもよいかな、と考えています。本当はスマホよりデスクトップパソコンを優先したいところですが、スマホの代用品は所持していないので、仕方のないところです。
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一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成

2017/06/23 00:00
 これは6月23日分の記事として掲載しておきます。一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成関する研究(Amadei et al., 2017)が公表されました。多くの哺乳類種は一夫一妻型のペアの絆を形成しませんが、プレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)はそうした絆を形成します。成体が一雄一雌関係を形成する時、相手個体の認識と評価にいくつかの注目すべき変化が生じます。主要な変化の一つは、絆を形成しうる2個体がお互いの脳内報酬系を確実に活性化し始める時に起きまか。報酬処理ネットワークをなす脳結合領域でのオキシトシンおよびドーパミン信号が社会的絆形成行動を促すとされていますが、その神経機構は明らかになっていませんでした。

 この研究は、プレーリーハタネズミの社会的絆モデルを用いて脳内の皮質線条体回路を調べました。この回路は、動物が報酬を得るために自らの行動を変化させる能力を制御していることが知られています。この研究は、雄と雌のプレーリーハタネズミを6時間にわたって共同生息させ、その間の雌の皮質線条体回路の活動を記録しました。その結果、皮質線条体の接続性の強さから個体間に絆の形成(交尾行動および並んで身を寄せ合う行動を通しての表現)が生じる速さを予測できることが明らかになりました。

 また、この研究は、光を介した光遺伝学的技術を用い、交尾のない社会的状況下で皮質線条体回路を周期的に活性化させる実験を実施し、その後の雌の選好性(全くなじみのない個体ではなく配偶者を好むこと)に影響を及ぼすことができました。これらの知見は、皮質線条体の活動が絆形成行動と相関しているだけでなく、絆形成行動を加速させる可能性があることを示唆しています。ただ、皮質線条体回路がプレーリーハタネズミの絆形成行動を増強させることの必要かつ十分な条件であるかどうかを判断するには、この仮説のさらなる検証が必要である、とも指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)す。


【動物行動】ハタネズミの深い愛情の背後にある神経回路

 一雄一雌の絆を生み出す脳内報酬系が社会的相互作用によって活性化する過程に関して1つの包括的な考え方が初めて示された。数少ない社会的一雄一雌の哺乳類の1つであるプレーリーハタネズミの観察結果は、特異な脳活動パターンが2個体間の絆の形成にどのように寄与するのかを理解する上で役立つ可能性がある。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

 成体が一雄一雌関係を形成する時、相手個体の認識と評価にいくつかの注目すべき変化が生じる。主要な変化の1つは、絆を形成しうる2個体がお互いの脳内報酬系を確実に活性化し始める時に起こるが、そうした活性化から絆が形成される際の正確な神経機構は解明されていない。

 今回、Robert Liuたちの研究グループは、プレーリーハタネズミの社会的絆モデルを用いて脳内の皮質線条体回路を調べた。この回路は、動物が報酬を得るために自らの行動を変化させる能力を制御していることが知られている。Liuたちは、雄と雌のプレーリーハタネズミを6時間にわたって共同生息させて、その間の雌の皮質線条体回路の活動を記録した。その結果、皮質線条体の接続性の強さから個体間に絆の形成(1. 交尾行動と 2. 並んで身を寄せ合う行動を通して表される)が生じる速さを予測できることが判明した。また、Liuたちは、(光を介した)光遺伝学的技術を用いて、交尾のない社会的状況下で皮質線条体回路を周期的に活性化させる実験を行い、その後の雌の選好性(全くなじみのない個体ではなく配偶者を好むこと)に影響を及ぼすことができた。以上の知見は、皮質線条体の活動が絆形成行動と相関しているだけでなく、絆形成行動を加速させる可能性があることを示唆している。ただし、Liuたちは、皮質線条体回路がプレーリーハタネズミの絆形成行動を増強させることの必要かつ十分な条件であるかどうかを判断するためには、この仮説のさらなる検証が必要であることを認めている。


神経科学:一夫一妻制プレーリーハタネズミの雌の社会的絆に偏りを生じさせる皮質線条体活動の変化

神経科学:一夫一妻制ハタネズミの社会的絆形成

 多くの哺乳類種は一夫一妻型のペアの絆を形成しないが、プレーリーハタネズミ(Microtus ochrogaster)はそうした絆を形成する。報酬処理ネットワークをなす脳結合領域でのオキシトシンおよびドーパミン信号が社会的絆形成行動を促すとされているが、その神経機構は明らかになっていなかった。今回R Liuたちは、ハタネズミの前頭前野と側坐核の間の結合で活動を刺激すると、交尾を伴わなくても、提示されたパートナーに対する雌の嗜好に偏りが生じることを示している。これは、この結合が単に社会的絆形成と相関しているのではなく、それを実際に強化できることを示唆する。今回の知見により、脳の報酬系が社会的相互作用によって動員されて社会的絆を形成し得る仕組みが明らかになった。



参考文献:
Amadei EA. et al.(2017): Dynamic corticostriatal activity biases social bonding in monogamous female prairie voles. Nature, 546, 7657, 297–301.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22381
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ネコの起源

2017/06/22 00:00
 これは6月22日分の記事として掲載しておきます。ネコの起源に関する研究(Ottoni et al., 2017)が公表されました。ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた、と考えられています。この研究は、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析しました。

 その結果、二つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが明らかになりました。その一つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年にはヨーロッパへ広がりました。一方、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めています。系統IV-Cはその後、紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが明らかになりました。おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったので、拡大したと考えられます。

 そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成されました。また、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずアジア南西部、次いでヨーロッパおよびアフリカの各地へ広がったことも明らかになりました。これは、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


ネコのルーツ

 ネコはインターネットを席巻するはるか以前に(旧)世界を席巻した、という論文が、今週掲載される。中石器ルーマニアから20世紀アンゴラまで、過去9000年にわたる200匹以上のネコのDNAを解析した結果、新石器時代以降のネコの広がり、近東およびエジプトの集団によるイエネコ遺伝子プールへの寄与、ならびに中世のトラネコの起源が明らかにされた。

 ネコは、イヌと比較すると飼養化された時期が遅く、おそらくは農業上有害な動物を捕食することによる互恵的な関係の中で、飼養化が開始される以前の数千年にわたって人間のそばに生息していた。Eva-Maria Geiglたちは、エジプトネコのミイラや現生のアフリカヤマネコの標本を含め、考古学的、歴史的なネコの遺物からDNAを収集し、塩基配列の解読を行った。

 その結果、2つの大きなネコ系統が現在のイエネコに寄与したことが分かった。その1つであるIV-Aは、まずアジア南西部に出現し、紀元前4400年には欧州へ広がった。それに対し、IV-Cと呼ばれるアフリカネコの系統はエジプトで主流となり、エジプトネコのミイラの多くを占めている。系統IV-Cは、その後紀元前1千年紀に、交易路に沿って地中海地方全域に広がったことが分かった(おそらく、船上の齧歯類駆除にネコが好適であったことがそれを促進したと考えられる)。そうした地に到達すると、持ち込まれたネコは現地の飼育ネコや野生ネコと交雑し、雑種が形成された。研究チームは、意外にも、トラネコの模様(特徴的な斑のある縞)に関係する劣性遺伝子変異が中世になって初めて出現し、まずはアジア南西部、次いで欧州およびアフリカの各地へ広がったことを指摘している。このことは、研究チームの結論によれば、最初のネコの飼養化では、観賞用形質ではなく行動形質が注目された可能性があることを示唆している。



参考文献:
Ottoni C. et al.(2017): The palaeogenetics of cat dispersal in the ancient world. Nature Ecology & Evolution, 1, 0139.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0139
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蔦谷匠「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」

2017/06/21 00:00
 これは6月21日分の記事として掲載しておきます。『現代思想』2017年6月号の特集「変貌する人類史」に掲載された論文です。本論文は、現代人の授乳と離乳に見られるミスマッチ(関連記事)について解説しています。大半は狩猟採集社会における進化を通じて獲得されてきたヒトの行動や性質が、近現代の急激な生活環境の変化にあって齟齬をきたす事例が多数見られ、授乳と離乳もその一例になる、というわけです。

 狩猟採集社会では、母親が子供の誕生から数年は子供を連れ歩くため、頻繁に授乳が行なわれます。頻繁に授乳しないと、乳汁生産を促進するプロラクチンというホルモンの濃度が低下するため、現代の産業社会においては、授乳での育児が困難になっています。また、現代社会においては女性の乳房が性的欲望の対象とされることが多いため、その点も授乳での育児を困難としています。そのため、現代社会では、粉ミルクなどの人工乳による育児も普及しています。

 しかし、現代社会において、母乳バンクやインターネットの母乳の取引が行なわれています。これは、「母性神話」とも関わる根拠のない観念・思い込みにのみ起因するというわけではなく、母乳育児には人口母子双方に利点がある、と明らかになっています。母乳には、幼児の脆弱な免疫機能を補ったり、母乳に含まれる多様なオリゴ糖が幼児の腸内細菌叢の発達に重要な役割を果たしたりしており、人工乳はまだ母乳に及ばないところが多々あるようです。

 また、授乳で育ったヒトは成人後も感染症の罹患率やII型糖尿病の発症リスクが低下し、母親の方も、授乳により乳癌や卵巣癌の発症リスクが低下する、と指摘されています。また、衛生環境の悪い地域では人工乳での育児により乳幼児の死亡率が数倍にまで上昇すると報告されており、そうした地域では生後2年以上は母乳で乳幼児を育てるよう、世界保健機関が強く推奨しています。ただ、母乳にはビタミンDが欠乏しているので、乳幼児をほとんど日光に当てないような「大事な」育て方をすると、ビタミンD欠乏に陥る、と指摘されています。

 授乳は排卵を抑制するので、富裕な階層で母親が授乳せず、乳母を雇っていたのは、母親に男児を多数産ませるためではなかったか、との見解も提示されているそうです。本論文では、中世〜近世のヨーロッパの事例が取り上げられていますが、当時、授乳が出産を抑制する、と経験的に理解されていた可能性もあるでしょう。前近代の日本でも社会上層では乳母を雇うことが一般的だったようですが、これも同様の理由なのかもしれません。

 本論文は、現代人の授乳と離乳においてミスマッチが起きやすいものの、母乳と人工乳は育児においてトレードオフの関係にあることを指摘しています。確かに、母乳育児の利点は母子ともに大きいのですが、だからといって、現代社会において母乳育児に拘れば、経済的な損失が大きくなることも珍しくありません。母乳育児に拘って(貧窮化していき)母親の健康が損なわれるようなことがあれば、母子共倒れになりかねず、授乳と離乳に関しても、生物学的・文化的背景を把握することで、双方の利点を抜き出せるのではないか、と本論文は指摘しています。


参考文献:
蔦谷匠(2017)「ヒトの授乳・離乳から見据える生物と文化の齟齬」『現代思想』第45巻12号P115-127(青土社)
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ショウジョウバエの交尾による影響

2017/06/20 00:00
 これは6月20日分の記事として掲載しておきます。ショウジョウバエの交尾による影響についての論文2本が公表されました。交尾をした雌が攻撃性を増す種は多く、それは、仔を守る必要性と関係している可能性があると指摘されています。しかし、この攻撃性の強化に関与する直接的な仕組みは明らかにされていません。また、交尾は雄の生理および加齢にも長期的な影響を与えますが、こちらの仕組みもよく分かっていません。

 一方の研究(Bath et al., 2017)は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の雌が交尾後に他の雌に対して示す攻撃性の強化の一部が、精液の性ペプチド成分の直接的な影響の結果で、他の精液タンパク質もそれに関わっていることを示しました。この研究は、卵を作らない遺伝的変異体の雌および精子を作らない変異体の雄を利用することにより、精子が雌の攻撃性に与える直接・間接の影響を解明しました。この研究は、精子が他の雌に対する攻撃性を直接強化するのであり、攻撃性は卵を作ることによる副産物であったり交尾自体の物理的作用の結果であったりするわけではない、と指摘しています。

 もう一方の研究(Harvanek et al., 2017)は、雌への接触が雄ショウジョウバエの寿命に与える悪影響を調べました。この研究は、反対の性のフェロモン特性を有するように遺伝子が操作された雌雄を、対照とともに利用しました。その結果、雌性フェロモンへの曝露が雄の寿命を短縮させるものの、交尾行動がこの悪影響を解消することが明らかになりました。

 両方の研究は、ショウジョウバエで生殖の行動的・生理学的影響を探るのに利用できる強力な遺伝学的ツールを示し、哺乳類にも類似の影響が見いだされる可能性を提示しています。やはり気になるのは、ヒトにおいてはどうなのかということですが、倫理的な問題から検証の難しいところもあるでしょう。まあ、ヒトに限らず、他の生物での研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


交尾は雌のショウジョウバエを攻撃的にするが、雄の加齢を遅延させる

交尾がその後の雌ショウジョウバエの行動および雄ショウジョウバエの加齢の仕方に直接的な影響を与えうることを、今週オンライン掲載される2編の独立した論文が明らかにする。
 交尾をした雌が攻撃性を増す種は多く、それは、仔を守る必要性と関係している可能性がある。しかし、この攻撃性の強化に関与する直接的な仕組みは明らかにされていない。交尾は雄の生理および加齢にも長期的な影響を与えるが、やはり、その仕組みはよく分かっていない。

 1編目の論文で、Eleanor Bathたちは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の雌が交尾後に他の雌に対して示す攻撃性の強化の一部が、精液の性ペプチド成分の直接的な影響であり、他の精液タンパク質もそれに関わっていることを示した。卵を作らない遺伝的変異体の雌および精子を作らない変異体の雄を利用することにより、精子が雌の攻撃性に与える直接・間接の影響が解き明かされた。研究チームは、精子が他の雌に対する攻撃性を直接強化するのであって、攻撃性は卵を作ることによる副産物であったり交尾自体の物理的作用の結果であったりするわけではないことを明らかにした。

 もう1編の論文では、雌への接触が雄ショウジョウバエの寿命に与える悪影響を、Scott Pletcherたちが調べている。研究チームは、反対の性のフェロモン特性を有するように遺伝子が操作された雌雄を、対照とともに利用した。その結果、雌性フェロモンへの曝露が雄の寿命を短縮させるものの、交尾行動がこの悪影響を解消することが分かった。

 今回の2編の論文は、ショウジョウバエで生殖の行動的、生理学的影響を探るのに利用することができる強力な遺伝学的ツールを示している。両研究チームは、哺乳類にも類似の影響が見いだされるのではないかと考えている。同時掲載のNews & Views記事では、Mariana WolfnerとTracey Chapmanが次のように述べている。「Eleanorたちの研究結果は、一方の性の攻撃的な行動がもう一方の性からの化学的メッセージに大きく影響されうることを示しており、雌の攻撃的行動の機能および適応的意義に関して多くの疑問を提起した」。



参考文献:
Bath E. et al.(2017): Sperm and sex peptide stimulate aggression in female Drosophila. Nature Ecology & Evolution, 1, 0154.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0154

Harvanek JR. et al.(2017): Perceptive costs of reproduction drive ageing and physiology in male Drosophila. Nature Ecology & Evolution, 1, 0152.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0152
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第24回「さよならだけが人生か?」

2017/06/19 00:00
 これは6月19日分の記事として掲載しておきます。龍雲丸が井伊への仕官を断り、直虎(次郎法師)は落ち込みます。井伊領内には人々が集まってきて、その評判は今川家当主の氏真にも届きます。今川は、同盟を破棄してきた武田への報復として、塩止めを実施します。海に面した領地を持たない武田にとって、これは痛手となるはずでしたが、これを好機として商人たちは密かに武田領に塩を売り始めます。そうした商人たちの動きを瀬戸方久に語らせるところは、創作歴史ドラマとしてなかなか上手かったのではないか、と思います。今川家の当主である氏真は、武田への対抗策として、塩止めだけではなく、家臣団の統制を強化します。氏真は縁戚関係の構築を積極的に進め、井伊にたいしても、新野家の三女である桜を今川家重臣の庵原家へ嫁がせるよう、命じます。

 今川からの和睦の提案を拒否し、今川との戦いを続ける決断を下した松平(徳川)家康は、織田信長と面会します。信長は家康に自分の娘(徳姫)と家康の息子(竹千代)との縁談を促し、自分への忠誠を威圧的に確認します。今川家没落前のこの時点で、信長と家康との間にここまで決定的な地位の差があるとは思えないのですが、この時代の勉強が滞って久しいので、断定は避けておきます。家康は武田との縁組を考えていましたが、信長に見抜かれており、その威厳に屈してしまいます。家康は正妻の瀬名(築山殿)には本心を打ち明けます。この夫婦の間にはまだ信頼があるようですが、どのような経緯で破綻するのか、後半の見どころの一つとなりそうです。

 新野家と庵原家の縁談の話は進み、直虎は、桜が嫁ぐ前にその結婚相手である庵原助右衛門と会い、人物を確かめようとします。直虎は助右衛門の話から、自分が今川に警戒されていることを知ります。直虎は、今川への忠誠を貫けるか自信はない、と率直に助右衛門に打ち明けますが、助右衛門は、忠誠こそ肝要だ、と直虎に訴えます。直虎と助右衛門とのやり取りには意外と時間が割かれていました。助右衛門には、今回だけではなく今後も見せ場がありそうで、楽しみです。

 今回、ついに信長が初登場となりました。本作の信長は、威厳があり冷酷なところのある人物として描かれるようです。なかなか印象に残る初登場で、よかったのではないか、と思います。今回は、信長の初登場だけではなく、家康・瀬名夫妻の関係や、直虎と「たけ」との別れおよび「たけ」の姪の「うめ」との出会いや、直虎と助右衛門とのやり取りや、直虎が北条との縁談を小野政次(鶴丸)に指示するところなど、見どころが多かったのですが、どれもなかなか面白かったので、散漫との印象は受けませんでした。今回は、この後の展開の伏線とも思える話が多く、その意味でも楽しめました。視聴率は相変わらず低迷しているようですが、今後も面白く視聴を続けられそうです。
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和田裕弘『織田信長の家臣団 派閥と人間関係』

2017/06/18 00:00
 これは6月18日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年2月に刊行されました。本書は織田信長の家臣団について、陪臣も含めてその地縁・血縁関係や事蹟を検証していき、信長時代の織田家特徴を家臣団の観点から浮き彫りにしています。とにかく取り上げられている人物が多く、その地縁・血縁関係にまで言及されているので、一回読んだだけでは見落としていることも多そうで、今後何回か再読する必要がありそうです。本書は、信長について詳しく知る目的だけではなく、小説・ゲームなど創作においてもネタの宝庫になっていると言えそうで、その点でも有益です。

 本書はまず信長の生涯について概観し、次に織田領国が拡大してから各地に置かれた「軍団」を個別に検証していきます。本書が取り上げている「軍団長」は、信長の息子である信忠と信孝、信長よりも前から織田家に仕えていた一族の出身と思われる佐久間信盛と柴田勝家、信長の代で取り立てられた羽柴秀吉・滝川一益・明智光秀です。本書は、各「軍団」の特徴を指摘し、それが各「軍団」の運命をどのように左右したのか、検証しています。本能寺の変後の勝家と秀吉の行動の差について、軍団の一体感の強弱の違いを要因とするところは結果論的解釈かな、とも思えるのですが、地縁・血縁関係からの各「軍団」の分析は読みごたえがありました。

 具体的には、たとえば佐久間信盛が追放されたのは、他の「軍団長」とは異なり、有力家臣や主君である信長との縁戚関係が薄かったからだ、との指摘は興味深いものでした。信盛追放後の信長の処置からは、信長自身と嫡男信忠(この時点ですでに家督を継承していましたが)の勢力強化という目的が窺えますが、筆頭家臣とも言うべき信盛を追放しても、他の有力家臣からの反発は強くないだろう、との思惑が信長にあったのではないか、と本書は指摘します。また本書は、明智光秀の謀反が成功した(信長・信忠父子を討ち取るまでは成功したものの、けっきょくは羽柴秀吉に敗れて明智「軍団」は壊滅するわけですが)一因として、配下に尾張衆がいなかったことを挙げており、これも興味深い見解だと思います。
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温泉鉱床で発見された初期生物の痕跡

2017/06/17 00:00
 温泉鉱床で発見された初期生物の痕跡に関する研究(Djokic et al., 2017)が公表されました。この研究は、オーストラリア西部のピルバラ地塊にある34億8000万年前頃の温泉鉱床が、陸上のものか海底のものかを確定するために調べたところ、高温のシリカ溶液から生成する鉱床で、陸上温泉でのみ見つかっているガイザライトが同定されました。このガイザライトには、ストロマトライト(微生物の活動によって形成した薄層状の累層)とその他の微生物の痕跡が見つかり、34億8000万年前頃の温泉に多様な生物が存在していたことが示されました。これにより、生物が存在する地球の陸上温泉の記録が約30億年さかのぼることになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【地質科学】温泉を好んだ初期生物の痕跡

 オーストラリアの34億8000万年前の温泉鉱床から発見された生物の証拠を提示した論文が、今週掲載される。この新知見は、生物が存在する地球の陸上温泉の記録を約30億年さかのぼらせるとともに地球上に生物が存在していたことを示す最も古い証拠の1つとなった。

 今回、Tara Djokicたちの研究グループは、西オーストラリアのピルバラ地塊にある34億8000万年前の温泉鉱床を調べた。Djokicたちは、この温泉鉱床が陸上のものか海底のものかを確定するために調べたところ、高温のシリカ溶液から生成する鉱床で、陸上温泉でのみ見つかっているガイザライトが同定された。このガイザライトには、ストロマトライト(微生物の活動によって形成した薄層状の累層)とその他の微生物の痕跡が見つかり、この34億8000万年前の温泉に多様な生物が存在していたことが示された。

 陸上温泉に多様な生物が存在しうることは理論的に確立しているが、この種の環境に生物が存在していたことを示す証拠は、約4億年前のものしか発見されていなかった。



参考文献:
Djokic T. et al.(2017): Earliest signs of life on land preserved in ca. 3.5 Ga hot spring deposits. Nature Communications, 8, 15263.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15263
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中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の行動変化

2017/06/16 00:00
 これは6月16日分の記事として掲載しておきます。中央ヨーロッパにおける中部旧石器時代〜上部旧石器時代移行期の人間の行動変化に関する研究(Nejman et al., 2017)が報道されました。この研究が調査対象としたのは、チェコ共和国東部のモラヴィア(Moravia)地方のポドフラデム洞窟(Pod Hradem Cave)遺跡です。ポドフラデム洞窟遺跡では1956〜1958年に発掘調査が行なわれ、石器や骨製ビーズや2万個以上の動物の骨などが発見されており、セレティアン(Szeletian)やオーリナシアン(Aurignacian)といった文化を含む、中部旧石器時代〜上部旧石器時代にかけての10層に及ぶ人類の痕跡が確認されています。しかし、この時の発掘技術の水準は高くなく、放射性炭素年代測定の結果が層位と一致しないことから、信頼性の高い年代は確立されなかった、と指摘されています。

 この研究は、2011〜2012年にかけてのポドフラデム洞窟遺跡における再発掘の成果を報告しています。この研究は、放射性炭素年代測定法でより信頼性の高い年代を提示するために、前処理として限外濾過法とABOx-SC法(酸-アルカリ-酸化処理とその後の段階加熱処理が行なわれます)を用いて、加速器質量分析法(AMS法)による年代測定を実施し、約2万年に及ぶ後期中部旧石器時代〜早期上部旧石器時代の人間の痕跡を明らかにしました。

 石器の原材料は、48000〜45000年前の間の早期となる第10層では近隣から持ち込まれていましたが、4万年前頃になると100〜200km離れた場所からも持ち込まれています。また4万年前頃には、ヨーロッパでは初期の事例となる動産芸術(骨製ビーズ)も出現し始めます。48000〜40000年前の間のある時点で、ポドフラデム洞窟遺跡の人類は遊動的になった、とこの研究は指摘しています。この頃に人類の行動に大きな変化があったと指摘するこの研究は、それが人類種の交替である可能性を示唆しています。

 確かに、この頃にヨーロッパの人類がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)へと置換されていった可能性は高く、この研究もその証拠を改めて提示した、と言えるかもしれません。ただ、ネアンデルタール人と現生人類との間に見られる(と解釈できる)行動の差に関しては、生得的な要因に大きく規定されているのか、それとも社会的な要因の方が大きいのか、という問題があり、今後も長く議論が続きそうです。


参考文献:
Nejman L. et al.(2017): Hominid visitation of the Moravian Karst during the Middle-Upper Paleolithic transition: New results from Pod Hradem Cave (Czech Republic). Journal of Human Evolution, 108, 131–146.
https://doi.org/10.1016/j.jhevol.2017.03.015
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ヒトノックアウトプロジェクトの第一歩

2017/06/15 00:00
 ヒトノックアウトプロジェクトに関する研究(Saleheen et al., 2017)が公表されました。遺伝子の機能を解明するための研究はこれまで、モデル動物の重要な遺伝子をノックアウトし、その後の変化を調べるという方法で行なわれていましたが、この研究は逆の手法を採用しました。それは、パキスタン在住の10503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される49138ヶ所の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液試料で測定される201形質のどれと関連しているかどうかを判定する、という手法です。その後、この原理を証明する研究が行なわれ、特定の遺伝的変異を持つ患者が呼び出されて追加検査が行われ、その遺伝的変異により食事中の脂肪分を循環血から除去する能力が高まることが明らかになりました。

 この研究ではこうしたリバースジェネティクスの方法の可能性が実証され、ヒトゲノム全体における遺伝子の機能喪失変異の臨床表現型(疾患など)だけではなく、これまでより多くの生化学的表現型の評価を「ヒトノックアウトプロジェクト」の一部として行うための基礎固めになった、と評価されています。また、今回行なわれた初期研究は、独特な被験者選定に助けられています。パキスタン人は近親婚の比率が高いため、特定の遺伝子を2コピーとも機能喪失している可能性が高く、それを検出できるからです。人類進化の研究にも大いに役立ちそうなので、この分野の今後の研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用(引用1および引用2)です。


【遺伝】「ヒトノックアウトプロジェクト」に向けた地固め

 「リバースジェネティクス」の手法を用いて遺伝子の機能を解明する研究が新たに行われ、ヒトにおける機能喪失変異の表現型の評価が行われた。今回の研究は、ヒトの遺伝子の機能を調べる大型研究の基礎固めとなった。この研究成果を報告する論文が、今週掲載される。

 遺伝子の機能を解明するための研究は、これまでモデル動物の重要な遺伝子をノックアウトして、その後の変化を調べるという方法で行われていた。今回、Sekar Kathiresanたちの研究グループは、逆のアプローチで研究を行った。つまり、パキスタン在住の10,503人のゲノムの遺伝子コード領域を解読し、1,317個の遺伝子の機能喪失を引き起こすと予想される約50,000の変異をそれぞれ1人以上の被験者で同定し、これらの変異が血液サンプルの検査で明らかになった200種ほどの形質のどれと関連しているかどうかを判定した。その後、この原理を証明する研究が行われ、特定の遺伝的変異を持つ患者が呼び出されて追加検査が行われ、その遺伝的変異によって食事中の脂肪分が循環血から除去される能力が高まることが明らかになった。

 今回の研究では、このリバースジェネティクスの方法の可能性が実証され、ヒトゲノム全体で遺伝子の機能喪失変異の臨床表現型(疾患など)だけでなく、これまでより多くの生化学的表現型の評価を「ヒトノックアウトプロジェクト」の一部として行うための基礎固めになった。また、今回行われた初期研究は、独特な被験者選定に助けられている。パキスタン人は、近親婚の比率が高いため、特定の遺伝子が2コピーとも機能喪失している可能性が高く、それを検出できるからだ。


遺伝学:近親婚が高率で行われるコホートにおけるヒトのノックアウト個体と表現型解析

遺伝学:ヒトの遺伝子ノックアウト研究

 あらゆるヒト遺伝子の機能を理解することは生物医学の重要な目標の1つであり、特定の1遺伝子の機能喪失変異を持つ人の表現型を解析することは、遺伝子の機能についての手掛かりを得る方法の1つである。S Kathiresanたちは今回、塩基配列解読データから機能喪失と予測される変異を体系的に調べ、その表現型との関連から遺伝子機能との関係を調べる予備的な取り組みを行っている。著者たちは、パキスタン在住のPROMIS研究参加者1万503人のエキソームの塩基配列解読を行った。彼らは機能喪失と予測される4万9138個の希少な変異を明らかにし、これらを血液試料で測定される201形質からなるパネルとの関連を調べた。これらの変異は1317の遺伝子をノックアウトしており、各遺伝子は少なくとも1人の参加者でノックアウトされていると推定された。著者たちは、遺伝型別に参加者を募集することなど、逆遺伝学的手法の有用性を示し、またヒトノックアウトプロジェクトのための枠組みについて議論している。



参考文献:
Saleheen D et al.(2017): Human knockouts and phenotypic analysis in a cohort with a high rate of consanguinity. Nature, 544, 7649, 235–239.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22034
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胎生の主竜様類

2017/06/14 00:00
 胎生の主竜様類に関する研究(Liu et al., 2017)が公表されました。主竜様類には恐竜・鳥類・ワニ類などが含まれています。胎生は多くの種類の動物において独立に進化しましたが、現生の鳥類とワニ類は全て産卵によって繁殖しており、これらの系統の生物にたいして、胎生を妨げる生物学的制約が加わっていることを示唆しています。

 この研究は、中国で新たに発見された、2億4500万年前頃となる三畳紀中期の首の長い水生爬虫類であるディノケファロサウルスの成体の化石標本を分析しました。この成体化石の腹部には発生が進んだ胚が保存されており、胎生の証拠となっています。これは、主竜様類全体において胎生にたいする障害のないことを示唆しています。

 またこの研究は、ディノケファロサウルスの進化史を解析し、仔の性別が遺伝的に決まることも明らかにしました。これは、ワニ類と一部のカメ類などの、環境温度によって性別が決まる近縁種とは異なっています。この研究は、体内温度の調節が温度依存性の性決定と両立しないことから、ディノケファロサウルスにおいて遺伝的性決定が胎生の前提条件になっている可能性がある、との結論を提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【化石】妊娠状態の古爬虫類の化石が見つかった

 約2億4500万年前の妊娠状態の爬虫類の化石が発見されたことを報告する論文が、今週掲載される。この化石は、爬虫類の一群である主竜様類の化石であり、この分類群には、恐竜と鳥類、ワニ類などが含まれている。また、この爬虫類は、産卵ではなく、生仔を出産していたこと(胎生であること)がわかった。胎生の主竜様類は、これまで知られていなかった。

 胎生は、多くの種類の動物において独立に進化した。しかし、現生の鳥類とワニ類は、全て産卵によって繁殖しており、このことは、これらの系統の生物に対して、胎生を妨げる生物学的制約が加わっていることを示唆している。

 今回、Jun Liuの研究チームは、首の長い水生爬虫類のディノケファロサウルスの化石標本が中国で新たに発見され、その年代が三畳紀中期と決定されたことを説明している。これはディノケファロサウルスの成体の化石であり、その腹部には発生が進んだ胚が保存されており、胎生の証拠となっている。この知見は、主竜様類全体において胎生に対する障害のないことを示唆している。

 また、Liuたちがディノケファロサウルスの進化史を解析したところ、仔の性別が遺伝的に決まることが明らかになった。この点は、環境温度によって性別が決まる近縁種(ワニ類と一部のカメ類など)とは異なっている。Liuたちは、体内温度の調節が温度依存性の性決定と両立しないことから、ディノケファロサウルスにおいて遺伝的性決定が胎生の前提条件になっている可能性があるという結論を示している。



参考文献:
Liu J. et al.(2017): Live birth in an archosauromorph reptile. Nature Communications, 8, 14445.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms14445
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イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離

2017/06/13 00:00
 イギリスのヨーロッパ大陸からの最初の分離に関する研究(Gupta et al., 2017)が公表されました。イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていました。これまでの理論は、氷河湖からの溢出がドーバー海峡の開いた原因だと示唆していますが、この仮説を検証するには、推測される分裂地点の高分解能データが不足していました。この研究は、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す、新しい証拠を提示しています。

 この研究の分析では、湖からの溢出が約45万年前に最初の浸食を起こして、滝が白亜層を切り開いて岩の堰を壊し、湖の水がイギリスの水路に流れ込んだ、というモデルが支持されています。またこの研究はデータから、ドーバー海峡が完全に開くためには2回目の破壊的な洪水が必要である、とも明らかにしています。2回目の洪水の時期は明らかではありませんが、この研究は、海岸堆積物中の海洋軟体動物に基づき、約16万年前だと示唆しています。中期〜後期更新世のユーラシア北西部におけるホモ属の拡散とも関わってくる研究だけに、今後の進展が注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


地球科学:イギリスのヨーロッパからの最初の分離

 イギリスがヨーロッパ本土から地質学的に分離したのは2段階の過程があったとの報告が今週掲載される。新しい証拠は、イギリスとヨーロッパの間の最も狭い間隙であるドーバー海峡が開いたのは破壊的な洪水が引き起こした氷河湖の氾濫による浸食の結果であることを示唆している。海峡がどのように裂けたかを究明することは、ブリテン島の形成がイギリス諸島のコロニー形成をどのように変化させ、またどのようにヨーロッパ北西部からの水の流出を変化させたかに関する我々の理解に影響を及ぼす。

 イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていた。これまでの理論では、氷河湖からの溢出がドーバー海峡が開いた原因となったことを示唆しているが、この仮説を検証するには推測される分裂地点の高分解能データが不足していた。

 Sanjeev Guptaたちは、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す新しい証拠を提示している。彼らの分析では、湖からの溢出が約45万年前に最初の浸食を起こし、滝が白亜層を切り開いて岩のせきを壊し、湖の水がイギリスの水路に流れ込んだというモデルを支持している。データは、ドーバー海峡が完全に開くためには2回目の破壊的な洪水が必要であることを明らかにしている。2回目の時期は明らかではないが、著者たちは海岸堆積物中の海洋軟体動物に基づいて約16万年前であると示唆している。



参考文献:
Gupta S. et al.(2017): Two-stage opening of the Dover Strait and the origin of island Britain. Nature Communications, 8, 15101.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15101
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第23回「盗賊は二度仏を盗む」

2017/06/12 00:00
 これは6月12日分の記事として掲載しておきます。近藤康用が直虎(次郎法師)を訪ねてきて、近藤の菩提寺から本尊が盗まれた、と訴えます。直虎が盗賊団を処罰しないどころか、領内に引き入れていると知った近藤康用は、盗賊団を引き渡すよう、直虎に要求してきます。近藤康用に問い質された直虎は誤魔化そうとしますが、思わず、領内に引き入れた者たちが盗賊団だと認めてしまいます。近藤康用は激昂し、小野政次(鶴丸)は盗賊団を近藤康用に引き渡すと約束します。しかし直虎は、盗賊団を逃すよう、中野直之に命じます。近藤康用は盗賊団を捕らえに行きますが、盗賊団は間一髪のところで逃げ出します。

 南渓和尚は、近藤家の菩提寺に代わりの本尊を寄進することで近藤と和解してはどうか、と直虎に進言します。直虎は南渓和尚の進言にしたがい、近藤と和解することにしましたが、両者の間にわだかまりは残ります。近藤康用とともに直虎と南渓和尚が近藤家の菩提寺に赴くと、盗まれたはずの仏像が安置されていました。近藤康用は、それは本尊ではない、と言い逃れようとしますが、南渓和尚に制作者という証拠を突き付けられ、南渓和尚の進言を受け入れて井伊と和解します。じつは、近藤家の菩提寺の和尚が本尊を隠していたところ、龍雲丸がそれを盗み出し、本来安置されていた場所に戻したのでした。直虎は、盗賊団が井伊領に留まってくれるのか、心配しますが、戻って来るためにこんな面倒なことをしたのだ、と龍雲丸は言います。

 中野直之は盗賊団を召し抱えるよう直虎に進言し、瀬戸方久も賛同します。直虎は政次がどう考えているのか、心配しますが、近藤康用が捕らえに来ると盗賊団に教えたのは政次だったことが分かります。直虎は政次に、盗賊団を召し抱えることについてどう考えているのか、本音で答えるよう問います。政次は、反対はしないものの、盗賊団に利用されることのないようにしてもらいたい、もしそうなれば、自分は直虎の追放を本気で考えねばならない、と答えます。直虎に自分を召し抱えたいと言われた龍雲丸は、配下から意見を聞き、井伊家に仕える決心を固めたように見えましたが、当初契約した滞在期限が切れる日に直虎に会い、井伊家には仕官しない、と伝えます。

 今回は、直虎と盗賊団の関係を中心に話が進みました。盗賊団の頭領の龍雲丸が直虎からの仕官依頼を断ったのは、直虎をはじめとして井伊家中の者にも龍雲丸の配下にも意外なことでした。龍雲丸は、龍のような雲を見て、自分は自由に世を渡っていかねばならない、と考え直したのでしょうか。直虎と政次との関係も気になるところで、政次は、井伊家を守るためには直虎を当主の座から引きずり下ろすこともあり得る、と明言しました。これは、今後の展開の伏線になりそうで、注目されます。また、政次があるいは労咳を患っているのではないか、と思わせる描写も気になります。これも、政次の最期と関わってくるのでしょうか。
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中野三敏『写楽 江戸人としての実像』

2017/06/11 00:00
 これは6月11日分の記事として掲載しておきます。中公文庫の一冊として、中央公論新社より2016年9月に刊行されました。本書の親本は、同じ題名で中公新書の一冊として中央公論新社から2007年2月に刊行されました。東洲斎写楽はおそらく浮世絵師のなかでも知名度では最上位を争うくらいの人物で、「謎解き」の観点から高い関心が寄せられてきました。写楽の正体に関しては、もう幕末に近い天保年間の『増補浮世絵類考』に、阿波藩お抱えの能役者である斎藤十郎兵衛とあり、本来ならば詮索は無用だったはずですが、同時代の有名人と同一人物ではないか、との議論がとくに第二次世界大戦後に盛り上がりました。

 その結果、喜多川歌麿・葛飾北斎・十返舎一九・歌川豊国・谷文晁など、写楽の浮世絵を描けそうな同時代の有名人の多くが、写楽の正体の候補者として挙げられるに至りました。とくに1980年代には写楽の正体探しが盛り上がったように思われ、当時思春期を過ごしていた私もこうした「謎解き」に関心を持ち、関連する本や雑誌を読んだものです。確かこの頃以降、テレビや雑誌などで、写楽の正体に関する論争は、邪馬台国の位置論争・坂本龍馬暗殺犯(黒幕)の解明とともに、日本史三大ミステリーと呼ばれるようになった、と記憶しています。

 私は、1990年代以降、写楽の正体探しには以前ほどの関心を持てず、たまに思い出したように本や記事を読むこともありましたが、このブログでも写楽について言及したことはほとんどありません。写楽の肉筆画がギリシアの美術館で発見されたこと(関連記事)と、『週刊新発見!日本の歴史』の該当号(関連記事)と、大河ドラマの題材の予想(関連記事)とで言及したくらいです。このように写楽の正体探しへの関心を失った理由は、それらのブログ記事で言及したように、原点回帰で写楽=斎藤十郎兵衛説が有力になったことでした。

 本書の著者は、写楽=斎藤十郎兵衛説が承認されていくうえで重要な役割を果たしたようで(この問題に関する評価は、私の見識では難しいところですが)、本書は著者の見解の一般向け解説となります。本書の特徴は、副題からも窺えるように、可能なかぎり同時代の文脈で写楽を理解しようと努めていることです。江戸時代の文化を「雅」と「俗」の観点から把握する本書は、阿波藩お抱えの能役者が「俗」の文化たる歌舞伎の役者絵を描くことはあってはならない、との強烈な社会観念から、写楽の実名は『江戸方角分』では空欄とされ、それが『増補浮世絵類考』に記載されるのは写楽が活躍した半世紀後、斎藤十郎兵衛が没してからおそらく20年以上経過した頃にまで下るのだ、と論じます。

 阿波藩お抱えの能役者である斎藤十郎兵衛の実在は多くの人の努力により証明され、写楽に関する文献を残した人の人脈・見識などからも、写楽=斎藤十郎兵衛説はほぼ確定ではないか、と思います。それでもなお、写楽の浮世絵が刊行された当時、苦境にあったと思われる蔦屋重三郎が、雲母摺を用いてまで実績のない絵師を起用したのはなぜか、という疑問が門外漢には残ります。もっとも、これは的外れな疑問かもしれません。斎藤十郎兵衛が密かに描いていた絵が当時の「俗」の文化世界の一部で知られており、それに人脈の広い蔦屋重三郎が気づいて起用したのだ、とも想定できるように思います。まあ、これも門外漢の妄想であり、斎藤十郎兵衛がなぜ蔦屋重三郎に起用されたのかは、永遠に謎として残りそうではありますが。
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保守派とリベラル派の科学書の読書傾向の違い

2017/06/10 00:00
 これは6月10日分の記事として掲載しておきます。保守派とリベラル派の科学書の読書傾向の違いに関する研究(Shi et al., 2017)が公表されました。自らの政治的信念に合致する狭い範囲の情報にのみ曝される、「反響室」や「フィルターバブル」と呼ばれる現象は、両極端に位置する政党に共鳴するそれぞれの人々の相互理解を妨げる恐れがあることから、政治学において懸念が高まっています。この研究は、世界最大級の二つのオンライン書籍小売業者の購入履歴を解析することで、実験室外において同問題を調べた数少ない研究の一つについて報告しています。この研究は、「共購買ネットワーク」を構築し、どのジャンルの科学書が「保守派」寄り、または「リベラル派」寄りの政治関連本とともに購入されているかを解析しました。

 その結果、さまざまな科学の主題に対する関心に全般的に明らかな差があるだけでなく、保守派とリベラル派が同じ主題のなかでも異なる本を選ぶことが明らかになりました。たとえば、リベラル寄りの書籍の購入者は、物理学や天文学などの基礎科学系の本を好むのに対し、保守寄りの書籍の購入者は、犯罪学や地球物理学などの応用科学系の本を好むことが示されています。この研究は、「反響室/フィルターバブル」への選択的曝露を減じ、政治的議論への科学の寄与を回復させ、党派的な熱狂を鎮めるためには、さらなる研究が必要なことが明らかになった、との見解を提示しています。

 この研究について、政治学者のボルセン(Toby Bolsen)博士は、こうした行動パターンは、科学および政治の異なる情報源の党派的な選択が、自身の見解を強化する自分と似たような考えを持つ他者の見解へと自らを選択的に曝す「反響室」へ至りかねないという、より強い懸念と軌を一にする、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


保守派とリベラル派が読む科学書は異なる

 政治関係の書籍を購入する米国の保守派またはリベラル派の人々は、科学書に対する関心は全般的に同等なものの、同じジャンルの科学書を手に取るわけでは必ずしもないという報告が、今週のオンライン版に掲載される。オンラインでの書籍購入を数百万件にわたって解析した結果、消費者の選択には大きな差があることが判明し、リベラル寄りの書籍の購入者は、物理学や天文学などの基礎科学系の本を好むのに対し、保守寄りの書籍の購入者は、犯罪学や地球物理学などの応用科学系の本を好むことが明らかとなった。

 自らの政治的信念に合致する狭い範囲の情報にのみ曝される、「反響室」や「フィルターバブル」と呼ばれる現象は、両極端に位置する政党に共鳴するそれぞれの人々の相互理解を妨げる恐れがあることから、政治学において懸念が高まっている。

 Michael MacyとJames Evansの研究グループは、世界最大級の2つのオンライン書籍小売業者の購入履歴を解析することで、実験室外において同問題を調べた数少ない研究の一つについて報告している。研究グループは、「共購買ネットワーク」を構築して、どのジャンルの科学書が「保守派」寄り、または「リベラル派」寄りの政治関連本とともに購入されているかを解析した。その結果、さまざまな科学の主題に対する関心に全般的に明らかな差があるだけでなく、保守派とリベラル派が同じ主題のなかでも異なる本を選ぶことが判明した。

 そして、「反響室/フィルターバブル」への選択的曝露を減じ、政治的議論への科学の寄与を回復させ、党派的な熱狂を鎮めるためには、さらなる研究が必要なことが明らかになったと研究グループは結論している。

 関連するNews & Viewsの記事では、「今回の研究で見出された行動パターンは、科学および政治の異なる情報源の党派的な選択が、例えば人が、自身の見解を強化する自分と似たような考えを持つ他者の見解へと自らを選択的に曝す「反響室」へ至りかねないという、より強い懸念と軌を一にする」と政治学者のToby Bolsenが述べている。



参考文献:
Shi F. et al.(2017): Millions of online book co-purchases reveal partisan differences in the consumption of science. Nature Human Behaviour, 1, 0079.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-017-0079
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アフリカ北部の30万年以上前の現生人類的な化石(追記有)

2017/06/09 00:00
 これは6月9日分の記事として掲載しておきます。モロッコのジェベルイルード(Jebel Irhoud)遺跡で新たに発見された人類化石に関する二つの研究が報道されました。日経新聞朝日新聞AFP読売新聞でも報道されており、大きな注目を集めているようですが、確かに、大いに注目すべき研究だと思います。『ネイチャー』のサイトには解説記事が掲載されています。一方の研究(Hublin et al., 2017)は、ジェベルイルード遺跡における2004年以降の調査で新たに発見された、少なくとも5個体分となる人類化石の形態をさまざまな人類集団と比較し、もう一方の研究(Richter et al., 2017)は、ジェベルイルード遺跡の人類化石の年代を、直接的・間接的に測定しています。これら二つの研究により、たいへん興味深く重要なことが明らかになりました。

 ジェベルイルード遺跡では現生人類(Homo sapiens)の起源とも関わるとされた16万年前頃の人類化石が発見されていますが、最近では、絶滅した古代型ホモ属ではないか、との見解が有力でした(関連記事)。ジェベルイルード遺跡で新たに発見された人類化石は、エレクトス(Homo erectus)やネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や初期現生人類や最近の現生人類といった更新世〜最近のホモ属と比較されました。その結果、ジェベルイルード遺跡の新たな人類化石は、顔面・下顎・歯の形態において初期および最近の現生人類との類似性が認められました。たとえば、中期更新世ジェベルイルード人の歯は、最近の現生人類と比較すると大きいものの、ネアンデルタール人など他の古代型ホモ属と比較すると、現生人類の方に類似しています。一方で、中期更新世ジェベルイルード人の神経頭蓋と頭蓋内の形態的特徴は、前後に長いなどより祖先的で、派生的な特徴と祖先的な特徴との混合状態を示しています。

 新たに発見された中期更新世ジェベルイルード人の年代は、直接的には1個体(Irhoud 3)の下顎歯から電子スピン共鳴法で得られ、286000±32000年前と推定されています。共伴した石器群は中期石器時代のもので、燧石製の石器は火で加熱処理されており、熱ルミネッセンス年代測定により315000±34000年前と推定されています。大小さまざまな動物化石も発見されており、動物の骨は472種が同定されました。そのうち、齧歯類の年代は374000〜337000年前と推定されています。こうした複数の推定年代から、新たに発見された中期更新世ジェベルイルード人の年代は30万年以上前と考えられています。この年代は、最古の現生人類化石とされているエチオピアのオモ(Omo)人骨(関連記事)よりも10万年以上古く、この研究は、新たに発見された中期更新世ジェベルイルード人は現生人類系統の初期段階ではないか、との見解を提示しています。ただ、シュワルツ博士(Jeffrey Schwartz)のように、この中期更新世ジェベルイルード人を現生人類と認めない研究者もいます。

 ただ、この研究は現生人類の起源地に関して、これまで有力視されていたアフリカ東部説に代わってアフリカ北部説が有力になったと主張しているわけではなく、より広くアフリカ全体での進化を検証しなければならない、と指摘しています。現生人類の起源に関しては、アフリカ単一起源説が今ではほぼ通説になっていると言えるでしょうが、最近では遺伝学の分野から、アフリカ単一起源説を前提としつつ、アフリカ内の多地域進化を想定する説も提示されています(関連記事)。26万年前頃と推定されている南アフリカのフロリスバッド(Florisbad)人骨にかなりの現生人類的特徴が認められるとされていることからも(Klein, and Edgar., 2004,P237-244)、現生人類のさまざまな(派生的な)解剖学的特徴は、特定の小集団にのみ時間をかけてじょじょに出現して定着していったというよりも、時として遺伝的にやや離れた集団に個別に出現し、交雑により拡散して(何らかの理由があったか、もしくは偶然により)定着していった、と考えるのが妥当かもしれません。この研究はサハラ砂漠以北をも対象としており、現生人類アフリカ内多地域進化説を拡大・補強すると言えるかもしれません。これと関連して、まだ査読前ではありますが、南アフリカの2000年前頃の少年のDNA解析の結果、この少年と現代のアフリカ集団との分岐年代が26万年以上前と推定された、との見解も注目されます。

 考古学的にも興味深い見解が提示されています。ジェベルイルードは直接的に年代測定された最初期の中期石器時代遺跡となり、これまでは離れていた中期石器時代の始まりと現生人類の起源年代がより接近するのではないか、というわけです。ただ、中期石器時代的な要素はアフリカにおいて50万年以上前から見られ(関連記事)、もちろん、現生人類的な要素がその頃からじょじょに形成されていった、という可能性もあるわけですが、石器製作技術と人類の進化とを直接的に結びつけることには慎重でなければならない、と思います。

 ジェベルイルード遺跡で新たに発見された(人間ではない)動物の骨に関しては、解体痕(cut marks)のような人類が食べた痕跡がどの骨にあるのか、検証されました。その結果、人類は、ガゼルやシマウマやウサギやカメや淡水の軟体動物など、多様なサイズ・生息域(陸棲か水棲か)の動物を食べていたことが明らかになりました。小型動物の比率は低く、ガゼルの比率が高かったことから、大型動物の狩猟が本格的に行なわれていたことが窺えます。また、長い骨の切り傷から、骨髄が食べられていた、と考えられています。この頃には、大型動物をも積極的に対象とする、本格的な狩猟が行なわれていたのでしょう。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古人類学:モロッコのジェベル・イルード由来の新たな化石およびホモ・サピエンスの汎アフリカ起源

古人類学:モロッコのジェベル・イルード由来のヒト族化石の年代および中期石器時代の起源

Cover Story:ヒトの起源:モロッコの化石によってホモ・サピエンスの出現時期が早まった

 ホモ・サピエンス(Homo sapiens)が出現した正確な場所と時期は、化石記録が乏しく、多くの重要な標本の年代が確定されていないために、まだ明らかになっていない。今回、J Hublinたちがモロッコのジェベル・イルードに由来する新たなヒト化石を報告しており、また別の論文では、S McPherronたちがこれらの化石の年代を決定している。これら2報によって、この遺跡で発見された遺骸が約35万〜30万年前にさかのぼることが示された。これらの標本の顔、下顎、歯の形態を含む多くの特徴は、初期または最近の現生人類のものと一致していたが、神経頭蓋と頭蓋内の形態的特徴はより原始的であることが明らかになった。総合すると、ジェベル・イルードのヒト族化石は、ホモ・サピエンスの最初期の進化段階ものであると、著者たちは考えている。



参考文献:
Hublin JJ. et al.(2017): New fossils from Jebel Irhoud, Morocco and the pan-African origin of Homo sapiens. Nature, 546, 7657, 289–292.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22336

Klein RG, and Edgar B.著(2004)、鈴木淑美訳『5万年前に人類に何が起きたか?(第2版第2刷)』(新書館、第1版1刷の刊行は2004年、原書の刊行は2002年)
関連記事

Richter D. et al.(2017): The age of the hominin fossils from Jebel Irhoud, Morocco, and the origins of the Middle Stone Age. Nature, 546, 7657, 293–296.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22335


追記2017(年6月10日)
 ジェベルイルード遺跡の中期更新世人のDNA解析は成功しなかった、とのことです。また、ナショナルジオグラフィックでも報道されました。
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テロリストの道徳的判断

2017/06/08 00:00
 これは6月8日分の記事として掲載しておきます。テロリストの道徳的判断に関する研究(Baez et al., 2017)が公表されました。テロは、一般社会から容認されない行為とみなされるのが普通ですが、テロリストは自らの行為を、「目的は手段を正当化する」という論理により正当化します。しかし、テロリストがこのトレードオフをどのようにとらえて道徳的判断を下しているのか、よく分かっていません。典型的な成人の道徳的判断は、人が行為の意図および結果についての情報を表現して統合する能力に基づいています。多くの場合、道徳的判断は主に意図によって決定されますが、意図と結果が対立すると、道徳的判断は通常、両方の要素を考慮することで下されます。

 この研究は、テロ行為の罪で投獄されたコロンビア人(全員が殺人罪で起訴され、1人あたりの犠牲者数は平均33人)の右派民兵組織に属する66人と、社会人口学的にマッチさせた非犯罪者(対照群)66人と、投獄中の殺人犯13人を対象に一連の認知・心理テストを実施しました。テストでは、道徳的認知・知能指数(IQ)・実行機能・攻撃的行動・情動認識が評価されました。その結果、テロリストは非犯罪者と比較して、高いレベルの攻撃性および低いレベルの情動認識を示し、道徳的認知にみられる差は、テロリストと対照群のあいだで著しく大きいことが分かりました。

 この研究は、テロリストは他者の行為が道徳的に許容されるか否かを判断するさい、対照群に見られるように意図と結果の両方を統合するのではなく、主に結果に注目することを明らかにしました。この知見は、テロリストの行動規範が手段よりも目的を重視することを示唆している、と指摘されています。さらにこの研究は、歪んだ道徳的判断というパターンは、テロリストのプロファイルの重要な構成要素であるものの、道徳的判断の源と時間経過に伴うその変化を理解するためには、さらに研究が必要だと結論づけています。異なる文化・思想背景のテロリストにも通ずるのか、今後の研究の進展が注目されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


テロリストの道徳的判断

 テロリストの道徳的判断は、行為の結果への異常ともいえる過度の依存に導かれていることが、このたびオンライン版で発表される論文で示唆された。

 テロ行為は、一般社会から容認されない行為であるとみなされるのが普通だが、テロリストは自らの行為を、「目的は手段を正当化する」という論理によって正当化する。しかしながら、テロリストがこのトレードオフをどのようにとらえて道徳的判断を下しているかは十分に分かっていない。典型的な成人の道徳的判断は、人が行為の意図および結果についての情報を表現して統合する能力に基づく。多くの場合、道徳的判断は主に意図によって決定される。しかし、意図と結果が対立すると、道徳的判断は通常、両方の要素を考慮することで下される。

 今回の研究でSandra Baezたちは、テロ行為の罪で投獄されたコロンビア人(全員が殺人罪で起訴され、1人あたりの犠牲者数は平均33人)の右派民兵組織に属する66人と、社会人口学的にマッチさせた非犯罪者(対照群)66人、および投獄中の殺人犯13人を対象に一連の認知・心理テストを行った。テストでは、道徳的認知、知能指数(IQ)、実行機能、攻撃的行動、情動認識が評価された。その結果、テロリストは非犯罪者と比較して、高いレベルの攻撃性および低いレベルの情動認識を示すが、道徳的認知にみられる差は、テロリストと対照群のあいだで著しく大きかった。Baezたちは、テロリストは他者の行為が道徳的に許容されるか否かを判断する際、対照群についてみられるように意図と結果の両方を統合するのではなく、主に結果に注目するということを明らかにした。この知見は、テロリストの行動規範が、手段よりも目的を重視することを示唆していると論文では指摘されている。

 Baezたちは、歪んだ道徳的判断というこのパターンは、テロリストのプロファイルの重要な構成要素であるが、道徳的判断の源、および時間経過に伴うその変化を理解するためには、さらに研究が必要であると結論づけている。



参考文献:
Baez S. et al.(2017): Outcome-oriented moral evaluation in terrorists. Nature Human Behaviour, 1, 0118.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-017-0118
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攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する乳児

2017/06/07 00:00
 これは6月7日分の記事として掲載しておきます。ヒトに見られる、有害な相互作用に対する第三者による保護的介入が始まる時期についての研究(Kanakogi et al., 2017)が公表されました。有害な相互作用に対する第三者による保護的介入は、一般には称賛される行為であり、道徳・正義・英雄的資質といった概念と結びつけられています。じっさい、そうした第三者の介入が絡む物語は、神話・書物・映画などの形で、有史以来の大衆文化のなかに数多く見られます。現代の発達科学では、ヒトはこうした介入を就学前から行なうようになるとされています。たとえば3歳児は、虐めから被害者を守ろうとして有害な相互作用に介入し、さらには悪さをする者を罰するだけでなく、被害者を助けることを優先する場合もあります。しかし、他者によるそのような介入を、ヒトがどの時点で肯定し始めるかは不明でした。

 この研究は、その発達の起源が生後6〜10ケ月の乳児(調査対象は132人)にある、と報告しています。攻撃的な相互作用に第三者が介入する筋書きの動画と介入しない筋書きの動画を見せられた後、6ヶ月児は前者の第三者を好みました。さらなる実験では、そうした選択の基盤となる心理的過程が確認されました。6ヶ月児は、介入者を攻撃者から被害者を守る存在だと見なしましたが、介入者の意図を考慮した後にそうした介入を肯定したのは、より年長の乳児だけでした。この知見は、第三者による保護的な介入を知覚・理解し、遂行する発達軌跡に光明を投じるもので、あらゆる文化の数多くの物語に遍在するそうした行為をヒトが称賛し、重視することの起源が、前言語期の乳児の心にまでたどれることを示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


前言語期の乳児は攻撃者から被害者を守る第三者の介入を肯定する

 有害な相互作用に対する第三者による保護的介入は一般に称賛される行為であり、道徳、正義、英雄的資質といった概念と結びつけられている。実際、そうした第三者の介入が絡むストーリーは、神話、書物、映画の形で、有史以来の大衆文化のなかに数多くみることができる。今日の発達科学では、ヒトはこうした介入を就学前から行うようになるとされている。例えば3歳児は、いじめから被害者を守ろうとして有害な相互作用に介入し、さらには悪さをする者を罰するだけでなく、被害者を助けることを優先することもある。しかしながら、他者によるそのような介入を、ヒトがどの時点で肯定し始めるかはわかっていない。本論文では、その発達の起源が生後6〜10ケ月の乳児(N=132)にあることを報告する(N = 132)。攻撃的な相互作用に第三者が介入する筋書きの動画と介入しない筋書きの動画を見せられた後、6ケ月児は前者の第三者を好んだ。さらなる実験では、そうした選択の基盤となる心理的過程が確認された。6ケ月児は、介入者を攻撃者から被害者を守る存在であると見なしたが、介入者の意図を考慮した後にそうした介入を肯定したのは、より年長の乳児だけであった。今回の知見は、第三者による保護的な介入を知覚し、理解し、遂行する発達軌跡に光明を投じるものであり、あらゆる文化の数多くのストーリーに遍在する、そうした行為をした行為をヒトが称賛し、重視することの源が、前言語期の乳児の心にまで辿れることを示唆している。



参考文献:
Kanakogi Y. et al.(2017): Preverbal infants affirm third-party interventions that protect victims from aggressors. Nature Human Behaviour, 1, 0037.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-016-0037
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ファミリー劇場HDリマスター版『太陽にほえろ!』637話〜640話

2017/06/06 00:00
637話「模擬試験」4
 銀行強盗の模擬訓練が行なわれ、ドックとマイコンが犯人役となります。その直後、宝石店で強盗事件が起き、女性店員が撃たれて意識不明となります。経営者と婚約中だった女性店員は亡くなり、経営者は悲嘆にくれます。ドックは、経営者が高価な宝石を犯人たちに渡したことを不審に思います。捜査を進めると、経営者の女性関係が派手で、有力者の孫娘とも付き合っており、さらに、婚約者には生命保険がかけられており、その受取人が経営者であることも分かります。最後はかなり強引な感じで、全体的に盛り上がりにも欠けていたと思います。骨肉腫の判明したラガーは今回から入院となり、ドックとブルースが見舞います。スコッチの時は確か殉職前の数回ていどしか入院時の様子が描かれなかったと記憶していますが、これは演者の健康状態の違いでしょうか。


638話「危険なふたり」5
 暴力団の麻薬取引の情報を得たマイコンとブルースは、大量の麻薬を積んだ自動車を発見し、追跡します。マイコンとブルースは、自動車に乗っていた3人のうち2人を逮捕したものの、若手の1人は麻薬を持って逃亡します。若手暴力団員は暴力団の会長に背き、5000万円を要求します。マイコンは取引現場を押さえようとしますが、若手暴力団員は逃亡し、マイコンが追います。マイコンが未熟な刑事であることを活かした話になっており、若手暴力団員とマイコンとのやり取りは喜劇調になっていて、緊張感の持続する展開にもなっていたので、まずまず楽しめました。


639話「春なのに・・・」8
 若い女性が死体で発見されます。マイコンはひき逃げ事件と推理しますが、女性の手にはある高校の制服のボタンが残されており、女性は自動車から突き落とされたのではないか、とマミーは推理します。マミーとマイコンが調べると、その高校ではすでに4年前に制服が替わっていたことが分かります。マミーは、女性が高校時代に男子学生とボタンを交換していたのではないか、と推理します。ボタンが重要な手がかりとなって話が進み、マミーとロッキーとの想い出も描かれて、なかなか面白くなっていました。まあ、女性の片想いが利用された、かなり感じの悪い話だったので、爽快感という意味での面白さではありませんでしたが・・・。なお、ラガーは引き続き入院しており、ボスは登場したものの、ハワイの会議で七曲署に不在という設定になっていました。


640話「妻への疑惑」6
 ブルース・マイコンと飲んだトシさんは、マイコンを介抱しつつ帰ろうとしたところ、撃たれて負傷します。一係は、トシさんに恨みを抱いていそうな人物への聞き込みを続けます。そんな中、一係に女性から密告の電話が入り、結婚詐欺の前科のある男性が容疑者として浮上します。トシさんと男性との直接の接点はありませんでしたが、男性はトシさんの元妻と面識がありました。ただ、トシさんの家庭事情を絡めて話が展開し、長期ドラマであることが活かされていたと思います。本筋とも言うべき銃撃事件の方にもっと時間を割いてもよかったかな、とも思いますが。今回も、ラガーは引き続き入院しており、ボスは登場したものの、ハワイの会議で七曲署に不在という設定になっていました。
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第22回「虎と龍」

2017/06/05 00:00
 これは6月5日分の記事として掲載しておきます。直虎(次郎法師)は領内の材木で商売を始めるために、龍雲丸が率いる盗賊団を領内に受け入れることにします。中野直之は、かつて盗賊団が領内の木を盗んだとして強く反対しますが、直虎は盗賊団の技術が必要なのだと主張します。小野政次(鶴丸)は龍雲丸に会い、盗賊団を処罰しようとしている近隣領主の近藤家にいつでも売り渡すこともできるのだ、と警告します。直虎は盗賊団を馴染ませようと模索します。

 しかし、盗賊団と領民との間でもめ事が絶えず、直虎は対応に苦慮します。盗賊団が博打場を開いて村人が入り浸るようになったり、村人の酒が盗まれたり、襲われそうになったと村人が訴えたりします。中野直之が盗賊団を問い詰めると、龍雲丸は、報酬を払ってもらえるのならいつ去ってもよいのだ、と開き直ります。政次は、盗賊団の技術を村人に習得させた後に立ち去らせればよい、と進言しますが、直虎は盗賊団に拘ります。政次は、直虎だけが盗賊団に固執している、と指摘します。盗賊団内部でも、井伊家中に疑われるだけなので、盗んでもよいではないか、と言い出す者たちが出ます。

 直虎は、自分を信じてくれた龍雲丸にもう一度賭けようとして、村人と盗賊団に猪を狩らせ、盗賊団を酒宴に招きます。同じ場を過ごすことにより、両者の距離を縮めよう、というわけです。直虎の思惑通り、村人と盗賊団の距離は縮まり、和解します。今回は、多少恋愛要素も含みつつ、喜劇調で話が進みました。直虎と龍雲丸が親しくしている様子を見て政次が心を乱している場面は、今後の直虎と政次との関係、さらには政次の最期にもつながってくるのではないか、と思われるだけに注目されます。今回は、全体としてはさほど面白かったわけではありませんが、今後の展開の伏線と考えられる描写もあり、その点では楽しめました。
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鈴木紀之『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』

2017/06/04 00:00
 これは6月4日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年5月に刊行されました。本書は、一見すると「不合理」な進化を適応主義的な観点から検証していきます。擬態が不完全だったり、「求愛エラー(繁殖能力のある子孫を残せない近縁種との生殖行動)」を起こしたりするのは、遺伝子など何らかの制約に起因する、といった制約を重視する説にたいして、本書はあくまでも、一見すると「不合理」な進化のなかに、適応主義的な理由があるのではないか、と追及していきます。

 本書はおもに昆虫を対象として、さまざまな一見すると「不合理」な進化の要因を検証していきます。本書は一般向けであることを強く意識してか、理論的な解説もあるものの、多くの具体的な事例を提示しています。本書は、進化をどう把握するのかという、思想的な問題を提起していますが、具体的な事例が豊富で面白いので、単純に雑学本として気楽に読み進めることもできるでしょう。ただ、本書は進化の奥深さ・面白さについて説明するのにも成功していると言えるでしょうから、単に雑学本として読んでしまうのはもったいないようにも思います。

 もちろん、本書でも認められているように、本書の内容は、あくまでも著者が現時点で最も説得力のあると考えている見解にすぎないわけで、今後の研究の進展により大きく見直されたり否定されたりすることもあり得ますから、鵜呑みは禁物です。それでも、一見すると不可解な進化について、単純な説明で終わらせるのではなく、さまざまな理由を検証しなければいけない、という本書の基本的な姿勢は今後も有効であり続けるでしょう。

 食資源を特定の植物に依存する昆虫と植物との関係を共進化で把握する説にたいして、近縁他種との競合も大きな要因になり得ると説明し、じっさい競合相手となる近縁他種のいない地域では他の植物も食資源として利用している例の紹介や、「求愛エラー」を制約としてよりも、近縁他種がいる場合における繁殖の範囲を狭めないための合理的な戦略だと把握する見解など、本書は魅力的な見解に満ちていると思います。他種との交雑に関しては、現生人類(Homo sapiens)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)との事例も取り上げられています。



参考文献:
鈴木紀之(2017)『すごい進化 「見すると不合理」の謎を解く』(中央公論新社)
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初期恐竜の進化

2017/06/03 00:00
 これは6月3日分の記事として掲載しておきます。初期恐竜の進化に関する研究(Nesbitt et al., 2017)が公表されました。現生主竜類の鳥類とワニ類が共通祖先から分岐したのは三畳紀のことでした。これは、陸生脊椎動物の進化における主要な移行期で、四肢の比率と体サイズの変化が関係していましたが、こうした新機軸は化石記録にほとんど残っていません。この研究は、鳥類の幹系統で最も原始的なものの一つである化石(Teleocrater rhadinus)について報告しています。Teleocrater rhadinusはタンザニアの三畳紀中期の地層で発見され、細身の四足歩行の肉食動物で、主竜類の進化史上の同時代の動物として描かれることの多い小型の二足歩行動物よりもワニ類に似ています。

 この研究は、Teleocraterをまったく新しい爬虫類のクレード「Aphanosauria」に分類しました。Aphanosauriaは、翼竜類と恐竜類に分かれる前の主竜類の鳥類系統の基部に位置しています。このクレードに属する動物は過渡的な形態的特徴を有し、たとえば、ワニ類のような足関節といった鳥類とワニ類の最終共通祖先の特徴と、恐竜の典型的な特徴の一部を併せ持っています。こうした知見から、これら初期の幹系統の鳥類には、これまで考えられていたよりかなり多くの種が含まれており、広範囲の地理的分布が示され、形態的にも多様だった、と示唆されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトから引用です。


【古生物学】恐竜のボディープランの進化過程について再考を迫る化石

 主竜類の鳥類系統の新属新種とされる化石の分析が行われ、これまで恐竜に特有のものと考えられていた数種の特徴が実際に進化したのは、かなり早く、鳥類とワニ類が分岐した直後だったことが示唆されている。この新知見は、初期恐竜の進化について再考を迫るものといえる。この研究成果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。

 現生主竜類の鳥類とワニ類が共通祖先から分岐したのは三畳紀のことだった。これは、陸生脊椎動物の進化における主要な移行期であり、四肢の比率と体サイズの変化が関係していたが、こうした新機軸は、化石記録にほとんど残っていない。今回、Sterling Nesbittたちの研究グループは、鳥類の幹系統で最も原始的なものの1つであるTeleocrater rhadinusの化石について記述している。この化石は、タンザニアの三畳紀中期の地層から出土したものであり、T. rhadinusは、細身の四足歩行の肉食動物で、主竜類の進化史上の同時代の動物として描かれることの多い小型の二足歩行動物よりもワニ類に似ている。

 Nesbittたちは、Teleocraterを全く新しい爬虫類のクレード(Aphanosauriaと命名された)に分類した。Aphanosauriaは、翼竜類と恐竜類に分かれる前の主竜類の鳥類系統の基部に位置している。このクレードに属する動物は、過渡的な形態的特徴を有し、鳥類とワニ類の最終共通祖先の特徴(例えば、ワニ類のような足関節)と恐竜の典型的な特徴の一部を併せ持っている。以上をまとめると、これらの初期の幹系統の鳥類は、これまで考えられていたよりかなり多くの種が含まれており、広範囲の地理的分布を示し、形態的にも多様だったことが今回の研究によって示唆されている。



参考文献:
Nesbitt SJ et al.(2017): The earliest bird-line archosaurs and the assembly of the dinosaur body plan. Nature, 544, 7651, 484–487.
http://dx.doi.org/10.1038/nature22037
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古代エジプト人のDNA解析

2017/06/02 00:00
 これは6月2日分の記事として掲載しておきます。古代エジプト人のDNA解析結果を報告した研究(Schuenemann et al., 2017)が報道されました。この研究は、古代エジプト人のDNAを解析し、古代の西アジアやヨーロッパの住民およびエジプトも含む現代の各地域の住民のDNAと比較しています。この研究が解析したのは、カイロよりもナイル川上流に位置するアブシールエルメレク(Abusir-el Meleq)遺跡で発見されたミイラのDNAです。アブシールエルメレク遺跡では、少なくとも紀元前3250年〜紀元後700年まで人間が居住していました。この研究で分析対象となったミイラは、較正年代で紀元前1388年〜紀元後426年となります。

 エジプトのミイラのDNA解析で問題となるのは、エジプトの高温な気候・墓の高湿度・ミイラ製作のさいの化学的処理(とくに炭酸ナトリウムの使用)です。これらの要因により、信頼性の高いデータを得るのが困難となっています。この研究は、新たな塩基配列決定技術により、こうした問題を克服する可能性を提示しています。この研究は、こうした新技術の使用により、信頼のできる人間のDNAデータとして、mtDNAが90人分、ゲノム規模で男性3人分が得られた、と報告しています。

 これらのデータを現代エジプト人や他地域の古代人および現代人と比較した結果、興味深いことが明らかになりました。古代エジプト人と遺伝的に最も類似していたのは新石器時代のレヴァント人でした。古代エジプト人と新石器時代のアナトリア・ヨーロッパの住民との遺伝的類似性も指摘されています。古代エジプト人と現代エジプト人との比較では、前者よりも後者の方が、サハラ砂漠以南のアフリカ人との遺伝的類似性が高いことも明らかになっています。この要因として、紀元後400年以降に、エジプトとサハラ砂漠以南のアフリカとの長距離交易が増加したことと、1300年ほど前に始まった奴隷貿易が想定されています。

 また、1000年以上の期間、古代エジプト人の遺伝的構成があまり変わらなかったことも明らかになりました。この間、エジプトはアッシリア・マケドニア・ローマといった域外勢力の支配を受けました。しかし、とくにマケドニアとローマの支配において、域外勢力の支配層がエジプトの北西デルタ地帯に集中していたため、アブシールエルメレク遺跡一帯では域外勢力の支配層の遺伝的影響があまり及ばなかったのではないか、と推測されています。これと関連しますが、この研究は、分析対象とした古代エジプト人のDNAデータは1ヶ所の遺跡から得られており、古代エジプト人全体を代表するものではない可能性もある、と注意を喚起しています。今後、エジプトのミイラのDNA解析例が増加し、さらに研究が進展するのではなないか、と期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【遺伝】古代エジプト人のミイラのゲノム解析

 複数体の古代のミイラから採取されたDNA試料の解析が行われ、古代エジプト人の遺伝的組成が明らかになったことを報告する論文が掲載される。これらのDNA試料の年代は約1,300年間にわたっており、現代のエジプト人よりも古代エジプト人の方が近東人と共通の起源を多く有していたことが示唆されている。

 古代地中海世界の大陸が出会う地点に位置するエジプトは、紀元前第1千年紀以降長きにわたって他の重要なアフリカ、アジア、ヨーロッパの文化との交流があった。この地域でのヒトの移動と動きの記録は、詳細な考古学調査によって明らかになっているが、古代人の遺骨から採取されたDNAを用いた遺伝学的研究は、その遺骨の保存状態が悪いために難しい課題となっていた。

 この論文の中で、Johannes Krauseたちの研究グループは、エジプト中部のアブシール・エル・メレク遺跡から出土した3体のミイラ(それぞれプトレミー時代以前、プトレミー時代、ローマ時代のものとされる)に由来するゲノムワイドのデータセットだけでなく、ミトコンドリアゲノム(90件)を新たに調べた結果を示している。そこで分かったのは、古代エジプト人と近東人(西アジアと中東に居住する人々)との遺伝的類似性が高いということで、現代のエジプト人に見られるサハラ以南の人々の遺伝的要素は、最近加わったものであることも明らかになった。ただし、この遺伝的データがエジプト中部の単一の遺跡から得られたものであり、古代エジプト全体を代表していない可能性のあることをKrauseたちは指摘している。

 今回の研究は、古代エジプト人のミイラのDNA解析として初めてのものではないが、Krauseたちは、今回の研究で最新の塩基配列決定技術が用いられ、それによって取得されたデータの起源が古代のものであることを確認するための信ぴょう性評価が行われたことから、初めて信頼性の高いデータセットが得られたという見方を示している。今回の発見で、エジプト人集団の複雑な歴史の直接的な解明へ道が開かれた。



参考文献:
Schuenemann VJ. et al.(2017): Ancient Egyptian mummy genomes suggest an increase of Sub-Saharan African ancestry in post-Roman periods. Nature Communications, 8, 15694.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15694
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湧水と人類の進化

2017/06/01 00:00
 これは6月1日分の記事として掲載しておきます。湧水と人類の進化に関する研究(Cuthbert et al., 2017)が報道されました。水は人類にとってきわめて重要な資源です。気候変動が人類の進化において重要な役割を果たした、との見解は一般的でしょうが、そのさいに注目されている生態系の変化を規定する根本的要因の一つが水(利用可能水量)です。しかし、これまで、湧水のような地下水の利用可能量については、あまり注目されてきませんでした。この研究は、アフリカ東部における湧水の分布を同定し、気候変動による湧水の分布の変化をモデル化して、人類の進化・拡散と関連づけています。

 この研究が湧水に着目したのは、乾燥した期間における利用可能な淡水は、気候変動だけでは明らかにならないからです。アフリカ東部の乾燥した期間では、地表水、たとえば湖の水はしばしばアルカリ性で塩分濃度が高くなり、人間の飲料としては適しません。そのため、湧水は人類の生存にとって重要であり、人類の進化・拡散を規定する要因の一つになるとともに、気候変動の緩衝として作用したのではないか、というわけです。

 この研究は湧水の分布の変化をモデル化し、過去において人類集団が湧水の分布に制約され、長期にわたって孤立した場合もある可能性を指摘しています。これが、人類の多様性の欠如と、それぞれ孤立して進化した系統同士の交雑を説明できるかもしれない、とこの研究は展望しています。他地域においても、人類の進化に湧水が重要な役割を果たしたことは珍しくなかったのかもしれず、今後の研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【進化】ヒト族の進化に影響を与えた湧水の存在

 東アフリカ地溝帯系におけるヒト族の進化と分散のパターンが地下水の利用可能量によって制御されていたという結論を示した論文が、今週掲載される。今回の研究では、地下水が、天然湧水の形で淡水を供給することを通じて、この地域における非人為的な気候変化の緩衝として作用したことが明らかになった。

 東アフリカ地溝帯系は、活動的な大陸地溝帯の1つで、ヒト(Homo sapiens)の進化にとって重要な場所であるアフリカでは、現在、大陸を引き裂こうとする力が加わっている。この地域でのヒト族の進化と分散は、気候変化のみに依存するとこれまで考えられていた。しかし、非常に乾燥した気候だった時代にどの淡水源が利用可能だったのかについて解明が進んでいないため、その時にヒト族が生き残り、分散した過程と場所が明らかになっていない。

 今回、Mark Cuthbertたちの研究グループは、東アフリカ地溝帯系の現在の地形のマップを作成して、450か所以上の現存する湧水を同定し、地下水の分布が気候によって変化する過程をモデル化した。そしてCuthbertたちは、これらのデータとモデルをヒト族の移動のモデルと組み合わせた。その結果、乾燥期においては、地表水が少ない孤立した居住地の存続にとって地下水の利用可能量が非常に重要なことが判明した。そのため、東アフリカ地溝帯系におけるヒト族集団の分散と生存の予想外の変動が、地下水源のために起こりやすくなった可能性がある。



参考文献:
Cuthbert MO. et al.(2017): Modelling the role of groundwater hydro-refugia in East African hominin evolution and dispersal. Nature Communications, 8, 15696.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms15696
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現生鳥類のような羽毛を持っていた鳥類様恐竜

2017/05/31 00:00
 これは5月31日分の記事として掲載しておきます。現生鳥類のような羽毛を持っていた鳥類様恐竜に関する研究(Xu et al., 2017)が公表されました。この研究は、中国東北部で発見された、羽毛の保存されたほぼ完全な骨格化石から新種(Jianianhualong tengi)を同定しました。この化石の年代は、白亜紀前期(約1億4500万〜1億年前)と推定されています。非対称の羽毛は飛翔能力のある現生鳥類からも飛翔能力のない現生鳥類からも見つかっており、この新種化石に飛翔能力があったのかどうか不明です。しかしこの知見は、鳥類の初期の近縁種がすでに高い空力特性を備えていたことを示唆しており、非対称の羽毛が進化した時期に関する手掛かりになっている、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【化石】現生鳥類のような羽毛を持っていた鳥類様恐竜

 中国で発見された化石から羽毛恐竜の新種が認定され、これまでに報告されたトロオドン類(鳥に似たマニラプトル類恐竜)の中で最も古く、非対称の羽毛を有することが記述された論文が、今週掲載される。非対称の羽毛は、飛翔の進化に伴う大きな革新だった。

 今回、Xing Xu、Michael Pittmanたちの研究グループは、羽毛の保存されたほぼ完全な骨格化石から新種Jianianhualong tengiを同定した。この化石は、中国東北部で発見され、白亜紀前期(約1億〜1億4500万年前)と年代決定された。

 Jianianhualong tengiに飛翔能力があったのかどうかは分かっていないし、非対称の羽毛は飛翔能力のある現生鳥類からも飛翔能力のない現生鳥類からも見つかっている。それでも今回の研究成果は、鳥類の初期の近縁種が既に高い空力特性を備えていたことを示唆しており、非対称の羽毛が進化した時期に関する手掛かりとなっている。



参考文献:
Xu X. et al.(2017): Mosaic evolution in an asymmetrically feathered troodontid dinosaur with transitional features. Nature Communications, 8, 14972.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms14972
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大河ドラマ『おんな城主 直虎』第21回「ぬしの名は」

2017/05/30 00:00
 これは5月30日分の記事として掲載しておきます。直虎(次郎法師)と瀬戸方久は、井伊領内で生産した綿布の商い先として、浜名湖に面した港町の気賀を選びます。気賀を訪れた直虎は、気賀の商人である中村与太夫との商談を終え、市場に立ち寄ります。店先に並ぶ異国の珍品に目を奪われた直虎は、その隙に銭入れを盗まれてしまいます。しかし、町外れまで犯人を追った直虎は捕えられてしまいます。地下牢の直虎を訪れたのは、かつて井伊領内の木を伐採した盗賊団の首領でした。

 直虎が行方不明となって騒然となる井伊家中に、盗賊団は身代金を要してきます。中野直之が中心になって直虎の救出に向かい、直虎は無事帰還できますが、盗賊団の首領に領主こそ大泥棒だと言われたことがずっと気にかかっていました。瀬戸方久から領内の木を伐採して売るよう進言された直虎は、自分を誘拐した盗賊団の首領と一人で会い、卑しい生き方を続けてよいのか、と問いかけます。直虎はさらに、木の伐採を請け負わないか、と盗賊団の首領に持ちかけます。龍雲丸と名乗る盗賊団の首領は直虎の申し出を受けますが、中野直之は、龍雲丸がかつて打ち首になるはずだった、と言って騒ぎます。

 今回は、直虎の事績がほとんど知られていないことを活かして、直虎を主人公らしく目立たせる話になっていました。確かに、直虎は領主としてあまりにも軽率ではありますが、直虎が無鉄砲であることは散々描かれてきたので、ドラマとしてはこれでよかったのかな、とも思います。直虎と龍雲丸とのやり取りは、なかなか工夫されたものだったと思います。全体的には、今回はさほど楽しめなかったのですが、ここから今後の展開にどうつなげてくるのか、という楽しみもあります。視聴率は低迷しているようですが、私はかなり楽しんで視聴を続けています。
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