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zoom RSS 西欧最古の人類についての研究

<<   作成日時 : 2008/03/28 07:28   >>

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 昨年7月2日分の記事にて、スペイン北部のアタプエルカ遺跡にあるシマ=デル=エレファンテ洞窟で、現在のところ西欧最古となる人類化石(下顎骨と歯)が発見されたことを取り上げましたが、その化石も含む出土物についての研究(Eudald et al.,2008)が報道されました。古磁気学などに基づき、年代はおよそ120〜110万年前頃と特定され、女性のものではないかと推測されています。

 この人骨の解剖学的特徴は、グルジアのドマニシで発見された177万年前頃の人骨と関連していることが指摘されています。また、ドマニシ人と同じくこのアタプエルカ人と共伴した石器は、段階2ではなく段階1のものでした(石器技術の段階については、私見を参照してください)。人骨と共伴した動物骨には、カットマークが認められましたので、アタプエルカ人は狩猟もしくは死肉漁りをしていたようです。

 こうしたことから、アタプエルカ人は東方から西欧に移住してきた植民者の子孫で、西欧という辺境の地で新たな人類種ホモ=アンテセソールに進化した、とこの論文の筆者たちは考えています。アタプエルカ遺跡では、以前にも80万年前頃の人骨が発見されており、アンテセソールという種に区分されました。ただ、この種区分は妥当ではないとの見解もあります(諏訪.,2006)。研究者たちは、アンテセソールがネアンデルタール人と現生人類との祖先なのか、調査する計画を立てているそうです。

 このアタプエルカ人が、東方からの植民者(の子孫)かどうか、判断を保留している研究者もいます。ティム=ホワイト博士は、ドマニシ人とアタプエルカ人との間には距離・時間の隔たりが大きいとして、欧州の初期人類が北アフリカから直接欧州に渡った可能性も指摘しています。

 この発見を受けてクリストファー=ストリンガー博士は、フランス・スペイン・イタリアで150万年前頃とされる石器が発見されていることを指摘し、人類は出アフリカ後さほど時間をかけずに南欧に進出したのではないか、と述べています。

 なお、このアタプエルカ人に共伴した石器が段階1のものだったからといって、段階2の石器が用いられるようになる前に、アタプエルカ人の祖先が出アフリカを果たしたのかというと、疑問もあります。今年2月15日分の記事で取り上げた研究(Lycett et al.,2008)でも指摘されているように、人口減少などの結果、段階2の石器製作技術が継承されなくなった可能性もあるでしょう。


参考文献:
Eudald C. et al.(2008): The first hominin of Europe. Nature, 452, 465-469.
http://dx.doi.org/10.1038/nature06815

Lycett SJ. et al.(2008): Acheulean variability and hominin dispersals: a model-bound approach. Journal of Archaeological Science, 35, 3, 553-562.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jas.2007.05.003

諏訪元(2006)「化石からみた人類の進化」『シリーズ進化学5 ヒトの進化』(岩波書店)

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