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zoom RSS 『人類の進化 拡散と絶滅の歴史を探る』

<<   作成日時 : 2014/04/15 00:00   >>

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 バーナード=ウッド著、馬場悠男訳で、サイエンス・パレットの一冊として丸善出版より2014年2月に刊行されました。原書の刊行は2005年です。最初期の人類候補であるサヘラントロプス=チャデンシスから、現生人類(ホモ=サピエンス)の出現と拡散までの人類史を概観しています。ホモ属の起源をめぐる議論に関する著者による最近の解説をこのブログでも取り上げましたが(関連記事)、その記事でも述べたように、著者は碩学であり、新書という制限のある形式の本書においても、人類史に関する論点を的確に叙述しています。

 上述したように原書の刊行は2005年なので、もちろん目新しい情報はないのですが、著者は、形質人類学についての研究成果を中心に、人類の進化に関する学説史や年代測定の原理や遺伝学の研究成果にも言及しつつ、人類の進化を手際よく整理しており、人類の進化について概観するのに適した良書になっていると思います。原書の刊行後に発表された、アルディピテクス=ラミダスの詳細な研究や、ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類との交雑の問題や、デニソワ人のDNA解析などといった重要な研究については、訳者の馬場氏による簡潔な追加解説があり、この点でも良書だと思います。

 本書の特徴は、現時点での研究の限界を著者が率直に明かし、人類の進化を「分かりやすい物語」とはしていないことです。これは、著者の研究者としての良心の現れと言うべきでしょう。証拠の少ない分野ですが、著者は少ない証拠から一般化することには慎重な姿勢を見せます。やや意外だったのは、2005年の時点で、現生人類と他の人類との交雑についてはっきりと肯定的な見解を提示していることです。これは、当時としては珍しかったのではないか、と思います。本書は新書形式で簡潔な叙述ではあるものの、奥が深く、索引もあり参考文献も記載されていますので、こうした良書が一冊でも多く売れてほしいものです。

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