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zoom RSS 初期ホモ属の進化の見直し

<<   作成日時 : 2014/07/05 00:00   >>

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 初期ホモ属の進化を再検証した研究(Antón et al., 2014)が報道されました。本論文は初期ホモ属の進化について、この10年間で多くの見解が提示されたことを踏まえて、それらを再検証したうえで初期ホモ属の進化像を提示しています。本論文はまず、旧来の初期ホモ属の進化に関する見解をまとめています。それは、アフリカにおける乾燥化と草原の拡大がホモ属進化の要因となり、大きく直線的な体形・細長い後肢(脚)・大きな脳・性的二型の減衰・幼年期の延長と長寿のような独特の生活史といった現代人ではさらに強調されているようなホモ属的特徴は、ホモ属の起源の近くに一括して出現し、人類の出アフリカを可能にした、というものです。

 これに対して本論文は、近年の形質人類学・考古学・古環境学などの研究成果に基づき、異なる見解を提示します。本論文が指摘するのは、ホモ属的とされるさまざまな解剖学的特徴が一括して出現したのではなく、時間的に分散して現れたことです。たとえば、長い後肢がアウストラロピテクス属に確認される一方で、狭い骨盤や幼年期の延長はそれよりも後にならないと見られません。近年話題になったアウストラロピテクス=セディバやドマニシ人もそうですが、初期ホモ属の出現する前後には、原始的特徴とホモ属的な派生的特徴の混在した人類化石が存在します。

 次に本論文は、ホモ属出現の背景として、不安定な気候を指摘します。ホモ属が出現する頃のアフリカの気候は、乾燥化と草原の拡大(森林の減少)という傾向として単純に把握できるものではなく、環境が不安定化・断片化したことが重視されるべきだ、というのが本論文の見解です。人類と他の哺乳類との比較を重視する本論文は、不安定な気候のなかで、食性の柔軟性やより大きな身体サイズのような特徴が選択圧の結果として固定されていったのではないか、と提案しています。これにより、人類の死亡率が低下し、生息範囲が拡大した、というわけです。また、そうした変化には社会的協力もともなっていたのではないか、と指摘されています。

 本論文は、新たな人類化石や考古学的遺物を積み重ねていくとともに、新規だけではなく既知の資料も哺乳類との生態比較という観点から見直すことにより、エネルギー・生活史・脳と身体のサイズ・食性・死亡率・資源の可変性などについて、確固たるモデルを定式化して検証することで、人類の進化をさらに深く理解できるだろう、との見通しを提示しています。なお、上記報道の「現生人類は多様な種から進化?」との表題は戯画化・誤解された多地域進化説を想起させるものであり、本論文の内容からしても、適切ではないように思います。


参考文献:
Antón S, Potts R, and Aiello LC.(2014): Evolution of early Homo: An integrated biological perspective. Science, 345, 6192.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1236828

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