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zoom RSS 佐野勝宏「考古学的証拠に見る旧人・新人の創造性」

<<   作成日時 : 2014/11/30 00:00   >>

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 本報告は、文部科学省科学研究費補助金(新学術領域研究)2010-2014「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化にもとづく実証的研究」(領域番号1201「交替劇」)研究項目A01「考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究」の2011年度研究報告書(研究項目A01研究報告書No.2)に所収されています。公式サイトにて本報告をPDFファイルで読めます。この他にも興味深そうな報告があるので、今後読んでいくつもりです。

 本報告は、ヨーロッパの中部旧石器時代〜上部旧石器時代の考古学的記録から、「旧人」たるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と「新人」たる現生人類(Homo sapiens)との間に「創造性」の違いがあったのか否か、検証しています。本報告は創造性の考古学的指標として、人類の象徴行為及び芸術表現を映し出す具象芸術・装飾品・楽器などや複雑な磨製骨角器の製作技術を挙げています。

 本報告は、ヨーロッパの中部旧石器時代にもわずかながら「創造性」を証明するような考古学的指標が存在するものの、中部旧石器時代〜上部旧石器時代の移行期には遠く及ばないし、上部旧石器時代には移行期よりもさらに多く「創造性」を証明するような考古学的指標が確認されているとして、高い「創造性」を発揮した現生人類とそうではないネアンデルタール人との対比を協調しています。

 ただ本報告は、「創造性」が人口密度に大きく影響を受けることも認めています。現生人類がヨーロッパに進出した時点で、ネアンデルタール人よりも現生人類の方が人口密度は高かったと推測されていることから、それが両者の「創造性」の違いになった可能性も否定できない、というわけです。ともかく現時点では、ヨーロッパにおける中部旧石器時代(現生人類の関与は確認されておらず、おおむねネアンデルタール人かその祖先系統もしくは近縁系統の時代)と上部旧石器時代(ごく一部の例外かもしれない文化を除いて現生人類の時代)との比較で、「創造性」の指標となるような考古学的記録に大きな差があることは否定できません。

 しかし、年代的にはかなり重なっているサハラ砂漠以南のアフリカの中期石器時代(ネアンデルタール人は全く関与しておらず、現生人類かその祖先系統もしくは近縁系統の時代)とユーラシアの中部旧石器時代(ネアンデルタール人も現生人類も関与)とでは、そうした考古学的記録に大きな差がないことも否定できないでしょう。現時点では、ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と現生人類との「創造性」の差が、潜在的(遺伝的)なものなのか、後天的な環境・社会的蓄積によるものなのか、判断の難しいところだと思います。もちろん、影響の差はともかくとして、両方要因となっている可能性もあります。


参考文献:
佐野勝宏(2012)「考古学的証拠に見る旧人・新人の創造性」『ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化にもとづく実証的研究 考古資料に基づく旧人・新人の学習行動の実証的研究2011年度研究報告書(No.2)』P16-24

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