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zoom RSS Chip Walter「人類はいつアートを発明したか?」『ナショナルジオグラフィック』2015年1月

<<   作成日時 : 2015/01/13 00:00   >>

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 この記事は人類のアートの起源について概観しています。とりたてて目新しい見解が提示されているわけではないのですが、近年の重要と思われる研究成果が引用されていますし、何よりもカラー写真が豊富なので、一読の価値はじゅうぶんあると思います。人類のアートは上部旧石器時代のヨーロッパで始まり開花した、との見解が一昔前には有力だったかもしれませんが、この記事では、ヨーロッパの上部旧石器時代よりもさかのぼる、アフリカにおけるアートと解釈され得る遺物に関する研究がやや詳しく取り上げられています。

 そうしたアフリカの「アート」が、上部旧石器時代のヨーロッパのものと比較して「原始的」に見えることや、長期的に継続するのではなく、散発的・断続的であることをこの記事は否定していません。ただ、この記事はその要因を、製作者の潜在的資質の差というよりは、人口密度とそれに伴う他集団との交流頻度の方に求めるのが妥当ではないか、との見解を提示しています。これは有力な解釈と言えそうで、さらにこの記事は、そうした見解から、現生人類(Homo sapiens)のみがアートの担い手だったのではなく、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)も一部でアートを残していたのではないか、と指摘し、その証拠とされる考古学的痕跡に関する研究を取り上げています。

 ネアンデルタール人のアートかもしれない事例としてこの記事は、シャテルペロニアン(シャテルペロン文化)の考古学的遺物(関連記事)や、鳥の翼(関連記事)や、網目模様の線刻(関連記事)や、スペイン北部のエルカスティーヨ洞窟の壁画(関連記事)に言及しています。ただ、この記事でも取り上げられている4万年前頃までさかのぼりそうなインドネシアのスラウェシ島の洞窟壁画(関連記事)の手形と、エルカスティーヨ洞窟(El Castillo cave)の壁画の手形との類似性から、エルカスティーヨ洞窟の壁画はネアンデルタール人ではなく現生人類の所産ではないか、とも指摘されています。

 この他には、スペイン南部のネルジャ洞窟(Nerja Caves)の壁画が、ネアンデルタール人の所産ではないか、との可能性が提示されています(関連記事)。私の検索した限りでは、ネルジャ洞窟の壁画について、その後の研究の進展は確認できませんでした。こちらは、当初の報道通りの年代ならば、ネアンデルタール人の所産である可能性が高くなるので、大いに注目されます。この他に、現生人類とネアンデルタール人だけではなく、エレクトス(Homo erectus)もアートを作っていた可能性が指摘されているのですが、昨年末の公表ということもあり、この記事の締切には間に合わなかったようで、取り上げられていません(関連記事)。


参考文献:
Walter C. (2015)、藤井留美訳「人類はいつアートを発明したか?」『ナショナルジオグラフィック』2015年1月号 P32-53

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