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zoom RSS 後期更新世のアジア北東部の新たな人類種?

<<   作成日時 : 2015/02/05 00:00   >>

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 後期更新世の初期となる海洋酸素同位体ステージ(MIS)5〜4(12万〜6万年前頃)の人類の歯に関する研究(Xing et al., 2015)が報道されました。この4個体分の9個の歯は、中華人民共和国河北(Hebei)省張家口(Zhangjiakou)市陽原(Yangyuan)県の許家窯(Xujiayao)遺跡で1976年に発見されました。許家窯遺跡の年代は、共伴した動物の歯のウラン系列年代法と、堆積層の光刺激ルミネッセンス法(OSL)から推定されています。

 この研究は、許家窯人の歯を既知のほぼすべての人類種の5000以上の歯と比較しました。その結果明らかになったのは、許家窯人の歯の原始的特徴と派生的特徴との混在です。許家窯人の歯は、それ以前や同時代のアフリカやレヴァントの初期現生人類(Homo sapiens)の歯と比較すると原始的です。また、中国南部で発見された初期現生人類(とされる人類)の歯と比較しても原始的であり、現生人類の変異幅には収まりません。許家窯人の歯の原始的特徴は、より古い前期および中期更新世のアジア東部の人類集団に見られます。

 一方で、許家窯人の歯には、アジア東部の中期更新世人類の歯よりも派生的な特徴も見られます。許家窯人の歯には、ネアンデルタール人の歯において高頻度で見られる特徴もあります。ただ、この特徴はネアンデルタール人の歯にのみ見られるのではなく、ユーラシアの前期および中期更新世の人類の歯にも低頻度で見られます。このように、原始的特徴と派生的特徴とが混在する許家窯人の歯は、既知の人類種に上手く分類することができません。そのため本論文は、東アジアには原始的人類の系統が後期更新世まで生存し、初期現生人類と共存していたかもしれず、人類の進化はこれまでの想定より複雑だったかもしれない、と指摘しています。

 この研究に参加した研究者は、許家窯人を新種と位置づけることに慎重です。許家窯人を新種と位置づける研究者もいますが、多くの研究者は許家窯人を新種と位置づけることに慎重なようです。推論にすぎない、との前提ではありますが、許家窯人がデニソワ人(種区分未定)である可能性や、既知の2種の間の交雑種である可能性も指摘されています。アジア東部において更新世後期〜末期まで原始的特徴を有する人類が存在していた可能性は先月(2015年1月)にも指摘されており(関連記事)、アジア東部の人類の進化は、近年まで想定されていたよりもずっと複雑だった可能性が高そうです。


参考文献:
Xing S. et al.(2015): Hominin teeth from the early Late Pleistocene site of Xujiayao, Northern China. American Journal of Physical Anthropology, 156, 2, 224–240.
http://dx.doi.org/10.1002/ajpa.22641

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12万〜10万年前頃の「許昌人」の頭蓋
 これは3月4日分の記事として掲載しておきます。中国で発見された上部更新世前期のホモ属頭蓋に関する研究(Li et al., 2017)が報道されました。この研究が分析したのは、中華人民共和国河南省許昌市(Xuchang)霊井(Lingjing)遺跡で発見された、125000〜105000年前頃の頭蓋です。この頭蓋に関しては、9年前(2008年)にこのブログで取り上げ(関連記事)、その後に補足となる追加記事を掲載したことがあります。 ...続きを見る
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2017/03/03 19:24

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