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zoom RSS 中期石器時代の牛乳を混ぜた顔料

<<   作成日時 : 2015/07/04 00:00   >>

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 中期石器時代の牛乳を混ぜた顔料についての研究(Villa et al., 2015)が報道されました。本論文は、南アフリカ共和国におるシブドゥ(Sibudu)遺跡の49000年前頃の層から発見された、石の剥片に付着していた混合物について報告しています。シブドゥ遺跡には2.7mの中期石器時代の層があり、77000〜38000年前と推定されています。分析の結果、この混合物にはオーカー(鉄分を多く含んだ粘土)とカゼインが確認され、牛乳が用いられていた、と考えられています。

 現在の南アフリカ共和国の領域でウシの家畜化が始まるのは、紀元後300年の鉄器時代になってからのことなので、野生のウシ属から牛乳を得たのではないか、と推測されています。アフリカ南部の野生のウシ属のなかには、出産時に群れから離れ、仔牛が群れについていくことができるようになるくらい成長するまで、捕食者から仔牛を隠す種もいます。したがって、狩猟者が授乳期の野生ウシを容易に狩ることもできました。本論文では、当時の人々が授乳期の野生のウシを狩り、牛乳を得たのではないか、と推測されています。

 本論文は分析の結果、このオーカーと牛乳の混合物は、石器を槍に装着するさいなどの接着剤として、また獣皮処理のさいに使用されたのではなく、顔料として使われたのだろう、との見解を提示しています。人間の肌もしくは衣服に塗るか、岩絵を描くさいに使用したのだろう、というわけです。顔料の使用例は、ヨーロッパでは25万年前頃まで、アフリカでは285000年前頃までさかのぼりますが、身体の塗料としてオーカーに牛乳を混ぜる例はまだ知られていません。ただ、ナミビア共和国のヒンバ(Himba)人は、肌や髪や衣服の着色剤としてオーカーにバターを混ぜるそうです。

 5万年近く前のアフリカ南部の人類が、なぜオーカーと牛乳を混ぜ合わせて顔料を作ったのか、明らかになっていませんが、本論文は、野生のウシから牛乳を得ることに、当時の人々が特別な意味を見出していた可能性を指摘しています。この件に関して、当時の人々の意図は永久に不明なままなのでしょうが、多様な物質を用いて、それを組み合わせるような複雑な認知能力がその前提としてあるのでしょう。今後、他の遺跡でも、牛乳が利用されていた痕跡が確認される可能性もあり、研究の進展が期待されます。


参考文献:
Villa P, Pollarolo L, Degano I, Birolo L, Pasero M, Biagioni C, et al. (2015) A Milk and Ochre Paint Mixture Used 49,000 Years Ago at Sibudu, South Africa. PLoS ONE 10(6): e0131273.
http://dx.doi.org/10.1371/journal.pone.0131273

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