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zoom RSS 鉄の多い熱水環境で誕生した生物

<<   作成日時 : 2016/09/13 00:00   >>

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 これは9月13日分の記事として掲載しておきます。全生物最終共通祖先(LUCA)の誕生した環境に関する研究(Weiss et al., 2016)が公表されました。この研究は、LUCAに起源を持つ可能性のある古代の遺伝子を探すため、原核生物(単細胞)のタンパク質コード遺伝子610万個の進化上の関係を解析しました。この研究の厳しい基準に適合したのは355個のタンパク質群だけでしたが、LUCAが嫌気的(成長に酸素を必要としない)で、高温を好み(比較的高温で繁殖する)、二酸化炭素・窒素・水素を利用して代謝経路を維持していることを明らかにするには充分だった、と指摘されています。また、LUCAが鉄などの遷移金属やセレンなどの元素をも必要とすることが明らかになりました。

 これらの進化上の関係性に基づき、現在生存している生物の一部、たとえばクロストリジウム(細菌)やメタン生成菌(古細菌)などが、LUCAとよく似た生活様式を持つ、と結論づけられています。これらの知見は、地球の現在の生物が、熱水環境中の独立栄養生物(二酸化炭素のような無機物から栄養となる有機物を作ることができる生物)の子孫であることを裏づける新しい証拠である、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


生命は、鉄の多い温泉で誕生した

 あらゆる生命の進化の出発点になった生物の重要な代謝特性と、その生物が住んでいた可能性の高い環境を突き止めたとの報告が寄せられている。ゲノムデータ解析によって、いわゆるLUCA(全生物最終共通祖先)が、温かく無機物が豊富な無酸素環境で生存できるよう適応していたことが分かったという。それはおそらく、現在の地球上で見られる温泉に似た環境だろう。

 あらゆる細胞のLUCAという概念は、初期進化や生命の起源の研究では重要である。しかし、LUCAがどのような場所でどのような仕組みで生きていたのかについては、ほとんど情報がない。William Martinたちは、LUCAに起源を持つ可能性のある古代の遺伝子を探すため、原核生物(単細胞)のタンパク質コード遺伝子610万個の進化上の関係を解析した。

 Martinたちの厳しい基準に適合したのはわずか355個のタンパク質群だけだったが、これだけでも十分に、LUCAは嫌気的(成長に酸素を必要としない)で、高温を好み(比較的高温で繁殖する)、二酸化炭素、窒素、水素を利用して代謝経路を維持していることを明らかにできた。また、LUCAは鉄などの遷移金属やセレンなどの元素をも必要とすることが分かった。これらの進化上の関係性に基づいて、著者たちは、現在生存している生物の一部、例えばクロストリジウム(細菌)やメタン生成菌(古細菌)などが、LUCAとよく似た生活様式を持つと結論付けている。これらの知見は、地球の現在の生物が、熱水環境中の独立栄養生物(CO2のような無機物から栄養となる有機物を作ることができる生物)の子孫であることを裏付ける新しい証拠である。

 同時掲載のNews & Views記事では、James McInerneyが、「推定されたこのLUCAの代謝を見ると、細菌と古細菌の分岐よりも前から、地球に有力で極めて効率の良い代謝系が存在したのを見る思いだ。この研究は、40億年も昔の生命について、非常に興味深い手掛かりを与えてくれる。」と述べている。



参考文献:
Weiss MC. et al.(2016): The physiology and habitat of the last universal common ancestor. Nature Microbiology, 1, 16116.
http://dx.doi.org/10.1038/nmicrobiol.2016.116

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