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zoom RSS ナレディの進化系統樹における位置づけと推定年代

<<   作成日時 : 2016/10/15 00:00   >>

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 これは10月15日分の記事として掲載しておきます。南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された人骨群の進化系統樹における位置づけと推定年代についての研究(Dembo et al., 2016)が報道されました。この人骨群はホモ属の新種ナレディ(Homo naledi)と分類されましたが、その年代については不明で、鮮新世後期〜更新世初期の、アウストラロピテクス属からホモ属への移行的な種ではないか、と報告者たちは考えていました(関連記事)。ナレディの発掘の様子は、最近テレビ番組で取り上げられました(関連記事)。

 この研究は、頭蓋と歯に関して、ナレディと他系統の人類化石およびチンパンジー・ゴリラと比較し、その違いから、ナレディの進化系統樹における位置づけと年代を推定しています。その結果、ナレディは、アンテセッサー(Homo antecessor)やアジアのエレクトス(Homo erectus)やハビリス(Homo habilis)やフロレシエンシス(Homo floresiensis)などといった他のホモ属とともに分岐群を形成することが強く示され、改めてホモ属に分類される可能性の高いことが明らかになりました。しかし、他のホモ属のみならず、ホモ属的特徴も備えているもののアウストラロピテクス属に分類されているセディバ(Australopithecus sediba)もこの分岐群を構成している、という結果が得られました。

 セディバとホモ属も含むこの分岐群のなかでのナレディの位置づけについては、この研究では明確にはなりませんでした。ただ、ディナレディ空洞の人骨群はアフリカやジョージア(グルジア)のエレクトスの姉妹群を形成する、との見解は否定されています。ジョージアのエレクトスに関しては、ゲオルギクス(Homo georgicus)という独自の種区分も提示されています。また、アフリカの初期エレクトスに関しても、エルガスター(Homo ergaster)という独自の種区分が提示されています。

 ナレディの推定年代は912000年前頃で、上述した、鮮新世後期〜更新世初期という当初の推定年代よりもずっと新しくなります。脳の小さなナレディは、アフリカで脳の大きなホモ属種と共存していたのであり、ホモ属のさらなる多様性が示されたのではないか、というわけです。ただ、この推定年代については、根拠となった他のホモ属化石の推定年代には幅がある、との懸念も提示されています。他のホモ属化石の年代が異なると、ナレディの推定年代も異なることになりそうです。

 このじゅうらいよりも新しい推定年代について、トッチェリ(Matthew Tocheri)博士は、少なくともいくつかのナレディの骨は化石化しなかったように見えるので、意外ではない、と好意的な見解を示しています。一方、この研究ではアフリカとアジアのエレクトスの頭蓋・歯の形態の多様性がじっさいよりも過小評価されており、ディナレディ空洞の人骨群はエレクトスに分類されるのではないか、とゾリッコファー(Christoph Zollikofer)博士は指摘しています。

 ナレディの推定年代については確たる根拠が提示されていなかったので、この研究はたいへん注目されます。とはいっても、上述したような弱点もありますし、人骨や堆積物の直接的な年代測定ではないので、今後新しくなることも古くなることも考えられます。この研究も指摘しているように、頭蓋以外の骨格の分析の進展も今後は重要になるでしょう。ただ、推定年代についてはまだ曖昧なところが残っているとはいえ、ディナレディ空洞の人骨群がホモ属に分類されることは、この研究によりほぼ確定した、と言えそうです。


参考文献:
Dembo M. et al.(2016): The evolutionary relationships and age of Homo naledi: An assessment using dated Bayesian phylogenetic methods. Journal of Human Evolution, 97, 17–26.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2016.04.008

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ナレディの新たな化石と年代
 これは5月11日分の記事として掲載しておきます。新種のホモ属とされているナレディ(Homo naledi)に関する新たな論文3本が報道されました(報道1および報道2および報道3)。ナレディは南アフリカ共和国のライジングスター洞窟(Rising Star Cave)にあるディナレディ空洞(Dinaledi Chamber)で発見された年代不明の人骨群(関連記事)で、一般誌でも大きく取り上げられる(関連記事)など話題になりました。ナレディの足と手には現代人的(派生的)特徴と祖先的特徴との混在... ...続きを見る
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2017/05/10 11:16

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