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zoom RSS フェニキア人のmtDNA解析

<<   作成日時 : 2018/01/13 00:00   >>

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 これは1月13日分の記事として掲載しておきます。フェニキア人のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析についての研究(Matisoo-Smith et al., 2018)が報道されました。フェニキア人は紀元前1800年頃に北部レヴァントに出現し、紀元前9世紀までには地中海全域に拡散していました。しかし、フェニキア人の情報はおもにギリシアとエジプトの記録に依拠しており、そこには偏りが生じているかもしれません。本論文は、サルデーニャ島とレバノンのフェニキア人およびフェニキア人出現前の住民の古代mtDNA(14人分)と、現代のレバノンの87人分のmtDNAを新たに解析し、これらを以前に刊行されていたサルデーニャ島の21人の先フェニキア人のmtDNAと比較しました。

 その結果、先フェニキア時代〜フェニキア時代にかけて、いくつかのmtDNA系統で継続性が確認されました。フェニキア人は征服者として地中海各地に拡散していったのではなく、交易商として拡散しつつ、各地の先住民と融合していったのではないか、というわけです。この見解は、考古学的証拠と矛盾しない、と指摘されています。少なくともサルデーニャ島では、先住民とフェニキア人との融合の可能性がたいへん高い、と言えるでしょう。また、フェニキア人の所産であるサルデーニャ島のモンテシライ(Monte Sirai)遺跡では、ヨーロッパ系のmtDNAハプログループU5b2c1が確認されており、フェニキア人社会にはヨーロッパからの女性の移動もあったのではないか、と考えられています。

 Y染色体の解析でも、フェニキア人が地中海各地に拡散していき、現代でも影響を及ぼしていることが指摘されています。フェニキア人系と推定されているY染色体ハプログループは現代では、フェニキア人が影響を及ぼしたと考えられている地域では6%以上、レバノンでは30%以上確認されています。フェニキア人系と考えられるY染色体DNAとmtDNAの分布は必ずしも一致しないのですが、これは、フェニキア人の拡散における性差を反映しているのかもしれません。いずれにしても、フェニキア人の地中海での拡散は男女どちらかに偏っていたものではなく、男女ともに広範に移動し、フェニキア人社会の遺伝的多様性と文化的多様性が示唆されています。


参考文献:
Matisoo-Smith E, Gosling AL, Platt D, Kardailsky O, Prost S, Cameron-Christie S, et al. (2018) Ancient mitogenomes of Phoenicians from Sardinia and Lebanon: A story of settlement, integration, and female mobility. PLoS ONE 13(1): e0190169.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0190169

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