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zoom RSS 反社会的個体にたいする懲罰感情の起源

<<   作成日時 : 2018/01/25 00:00   >>

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 これは1月25日分の記事として掲載しておきます。チンパンジーとヒトの懲罰感情に関する研究(Mendes et al., 2018)が公表されました。過去の研究では、ヒトも一部の動物も、害を被る他者を見ると共感的な苦痛を感じて心配することが報告されています。しかし成人については、罰を受けるに値する者や、反社会的な行動を取った者が害を受けるさいには、喜びの感情を覚えることも分かっています。この研究は新たな実験を考案し、懲罰が行われる状況を子供が見たいという動機を発達させる時期と、同様の動機がヒトに近縁のチンパンジーにも見られるか否かについて、検討しました。

 実験ではまず、参加者にたいして、二つのタイプのキャラクターが紹介されます。一方のタイプは、自分たちと食べものやおもちゃを分け合う(社会性のある)キャラクターで、もう一方は、そうしたものを独り占めする(社会性のない)キャラクターです。次にこれらのキャラクターたちは、実験参加者たちの目に触れない場所で体罰を受けます。実験のルールとして、キャラクターが受けている罰を実験参加者たち(子供あるいはチンパンジー)が直接見るためにはコストを払わなければなりません(子供の場合はレアもののステッカーを手放さなくてはならず、チンパンジーの場合は罰が行われている場所へ通じる扉をこじ開けなくてはなりません)。

 実験の結果、チンパンジーおよび6歳児は、社会の規範に従う他者よりも、反社会的な他者が罰せられる状況を見ることを動機づけられますが、4歳児または5歳児は動機づけられない、と明らかになりました。この知見は、「6歳という年齢は、子供が正義の達成のためにリソースを自ら進んで犠牲にする時期に相当する、ヒトの情動および認知の発達における重要な時期である」という仮説の証拠となるものです。公平な罰が加えられる状況を見たいという個人的な動機づけがチンパンジーにも見られる事実は、公平な協力を維持する戦略が進化的に古い起原をもつことを示唆するものと言えるかもしれません。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


チンパンジーと未就学児は正義が行われることを望む


 チンパンジーも人間の6歳の子どもも、自分自身がコストを引き受けてでも、悪いことをした者が罰せられるところを見たいと思うことを示した論文が今週掲載される。今回の知見は、社会規範を遂行して協力関係を強める手段としての「ピア懲罰」の進化に関する新たな洞察をもたらすものである。

 過去の研究では、ヒトも一部の動物も、害を被る他者を見ると共感的な苦痛を感じて心配することが報告されている。しかし成人については、罰を受けるに値する者や、反社会的な行動を取った者が害を受ける際には、喜びの感情を覚えることも分かっている。

 Natacha MendesとNikolaus Steinbeisの研究チームは新たな実験を考案し、懲罰が行われる状況を子どもが見たいという動機を発達させる時期について、また同様の動機がヒトに近縁のチンパンジーにも見られるか否かについて検討を行った。実験ではまず参加者に対して、2つのタイプのキャラクターが紹介される。一方のタイプは、自分たちと食べものやおもちゃを分け合う(社会性のある)キャラクターであり、もう一方は、そうしたものを独り占めする(社会性のない)キャラクターである。次にこれらのキャラクターたちは、実験参加者たちの目に触れない場所で体罰を受ける。実験のルールとして、キャラクターが受けている罰を実験参加者たち(子どもあるいはチンパンジー)が直接見るためにはコストを払わなければならない(子どもの場合はレアもののステッカーを手放さなくてはならず、チンパンジーの場合は罰が行われている場所へ通じる扉をこじ開けなくてはならない)。実験の結果、チンパンジーおよび6歳児は、社会の規範に従う他者よりも、反社会的な他者が罰せられる状況を見ることを動機付けられるが、4歳児または5歳児は動機付けられないことが分かった。

 今回の知見は、「6歳という年齢は、子どもが正義の達成のためにリソースを自ら進んで犠牲にする時期に相当する、ヒトの情動および認知の発達における重要な時期である」という仮説の証拠となるものである。公平な罰が加えられる状況を見たいという個人的な動機付けがチンパンジーにもみられるという事実は、公平な協力を維持する戦略が進化的に古い起原をもつことを示唆するものと言えるかもしれない。



参考文献:
Mendes N. et al.(2018): Preschool children and chimpanzees incur costs to watch punishment of antisocial others. Nature Human Behaviour, 2, 45–51.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-017-0264-5

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