雑記帳

アクセスカウンタ

zoom RSS 楊海英『「中国」という神話 習近平「偉大なる中華民族」のウソ』

<<   作成日時 : 2018/04/08 00:00   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 これは4月8日分の記事として掲載しておきます。文春新書の一冊として、文藝春秋社から2018年1月に刊行されました。本書は内陸アジアの視点から「中国」を相対化し、中華人民共和国における体制教義とも言える「中華民族」なる概念(関連記事)に疑問を呈しています。本書が強調する中華人民共和国の民族差別について、誇張や認識の誤りを指摘する識者もいるかもしれませんが、大きくは外していないように思います。まあ、門外漢の感想・印象にすぎませんし、本書を差別本・「ネトウヨ」的だとして罵倒・嘲笑する人は少なくないかもしれませんが。

 本書を読んで意外というか、勉強不足だと痛感したのは、中華人民共和国の子供向け絵本において、思っていたよりも民族差別的な観点が露骨に表れていることです。現在の中華人民共和国の体制教義的見解においては、「中華民族」の前提として「多元一体」という概念があり、建前としては重視されていると思っていました。したがって、匈奴と漢の関係などは、「兄弟喧嘩」として扱われ、公的には(建前としては)どちらか一方が悪役を担っているわけではない、と認識していたのですが、どうも、個人の認識に大きな影響を与えかねない子供向け絵本においては、露骨な漢人中心主義が採用されているようです。

 これは、中華人民共和国においては、建前として今でも唯物史観を堅持していることが大きいようです。「発展した(善なる)」漢人と「遅れた(悪なる)」匈奴やチベットなど「周辺民族」というわけです。近年の中華人民共和国の経済発展を見て、建前としては社会主義国だということを私はつい軽視してしまうのですが、中華人民共和国はその建前を活用というか悪用して、「多元一体」の「中華民族」と言いながら、漢人中心主義的な意識を国民に浸透させようとしているのではないか、と思います。中華人民共和国におけるチンギス=ハーンの評価が、中ソ対立や文化大革命を契機として何度か大きく変わったことは知らなかったので、自分の勉強不足を改めて痛感しました。歴史認識は政治・社会的要請の影響を強く受けることが珍しくないとはいっても、かなり露骨な事例でした。

 率直に言って、「中華民族」など現代の中華人民共和国における体制教義にかなりの無理があることは否定できないでしょう。しかし、当ブログで何度か述べてきたように、今後、中華人民共和国の経済・軍事・政治力がますます強大化するようなことがあれば、中華人民共和国の体制教義的な見解が「真実の歴史」・「正しい歴史認識」と称されて、日本で「進歩的で良心的な」人々により声高に主張される危険性もあるのではないか、と懸念しています。そうした「真実の歴史」・「正しい歴史認識」に否定的な見解は、「差別主義」・「ネトウヨ的」として糾弾・罵倒・嘲笑されるようになるのかもしれません。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
楊海英『「中国」という神話 習近平「偉大なる中華民族」のウソ』 雑記帳/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる