遺跡から推測されるネアンデルタール人の認知能力

 今年10月11日分の記事にて紹介した、考古学者のジュリアン=リール=ザルヴァトール氏のブログにて、ネアンデルタール人の居住空間の利用についての見解が述べられました。これは、フランスのラ=フォリー遺跡(中部旧石器のムスティエ文化に属し、熱ルミネッセンス法では、年代は60100~55300年前)を紹介したサイト(フランス語)の内容を紹介したもので、フランス語がさっぱり分からない私にとって、ザルヴァトール氏のブログの記事はたいへん有益なものです。

 ラ=フォリー遺跡においては、石灰岩のブロックで囲まれた規則的な杭穴が存在し、空間を仕切っていたことがうかがわれますが、中央の柱が存在した証拠は見当たらず、テントや小屋ではなく、防風設備のようなものだったと思われます。また、ヨルダンのトア=ファラージャ遺跡の報告からも、ネアンデルタール人が居住空間を仕切って明確に組織化することができたのは確実だ、とこの記事では述べられています。これは、じゅうぶんに組織化された遺跡は上部旧石器以降にしかない、とする見解と対照的です。


 以上、この記事について簡潔に述べましたが、この記事でも紹介されているように、居住空間の合理的使用は上部旧石器文化以降以降に始まる、とする見解があり、この見解のほうが現在は有力だと言えるでしょう。しかし、ネアンデルタール人の遺跡のなかにも、じゅうぶんに組織化された居住空間が認められるとしたら、ネアンデルタール人の認知能力は現生人類よりも劣っていた、とする通説に修正を迫ることになるかもしれません。ただそのためには、地道に証拠を積み重ねていく必要があります。

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