ネアンデルタール人は食人習慣のために絶滅?

 ネアンデルタール人の絶滅に、伝達性海綿状脳症(プリオン病)がじゅうような役割を果たしたのではないか、とする研究報道されました。パプアニューギニアのある部族には儀式的な食人習慣がありますが、その習慣と伝達性海綿状脳症との間には因果関係が認められました。パプアニューギニアの事例から推測すると、15000人ていどの集団で食人習慣があった場合、250年以内に集団の存続が不可能な水準まで人口が減少する、と考えられます。

 ネアンデルタール人にも食人行為があったのではないか、と古くから言われてきましたが、たとえば1999年にフランスの洞窟で発見されたネアンデルタール人骨(12~10万年前頃)も、食人があったことを示唆していました。食人行為、とくに脳を食すことにより、ネアンデルタール人の間でも伝達性海綿状脳症が広がり、人口を減少させた可能性があります。しかも、伝達性海綿状脳症の潜伏期間は長いので、ネアンデルタール人は、食人習慣と伝達性海綿状脳症との間に、因果関係を見出せなかった可能性が高いと思われます。

 さらに、現代の医療器具でさえ、殺菌された後にも伝染性プリオンを運搬することがありますから、ネアンデルタール人の間で石器が共有されていた場合、食人を行なわない者にも伝達性海綿状脳症が広まった可能性があります。こうして人口が減少したところに、気候変動や現生人類の出現といった他の要因が加わったことにより、ネアンデルタール人が絶滅した可能性があります。

 以上、この研究と報道についてざっと見てきましたが、ネアンデルタール人絶滅の要因を説明した研究として、なかなか興味深いものです。ただ、ネアンデルタール人の食人行為がどのくらいの頻度で行なわれていたかとなると、なかなか推測の難しいところなので、伝達性海綿状脳症がネアンデルタール人の絶滅にじゅうような役割を果たしたことを証明するのは、かなり難しいと思われます。


参考文献:
Underdown S.(2008): A potential role for Transmissible Spongiform Encephalopathies in Neanderthal extinction. Medical Hypotheses, 71, 1, 4-7.
http://dx.doi.org/10.1016/j.mehy.2007.12.014

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