トゥゲネンシスとフロレシエンシスの大腿骨の分析

 今月7~13日にかけてオハイオ州コロンブスで開催された第77回米国自然人類学会総会にて、トゥゲネンシスとフロレシエンシスの大腿骨の分析(Richmond et al., 2008B)が報告されました。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P180)。この報告は、今年3月22日分の記事で取り上げた論文(Richmond et al.,2008A)の著者たちによるものです。

 トゥゲネンシスの大腿骨を、現代人の成人男性(大柄な体格の集団も小柄な体格の集団も含みます)・チンパンジー・ボノボ・オランウータン・利用可能な初期人類群のほとんどという膨大な標本と比較した結果、オロリン=トゥゲネンシスと初期人類(アウストラロピテクス=アファレンシス、パラントロプス=ロブストス、パロントロプス=ボイセイ)との類似性と、600~200万年前の間に人類の腰の構造または二足歩行に変化がなかったことが、改めて指摘されました。

 ホモ=フロレシエンシスの正基準標本であるLB1の大腿骨もまた、初期人類との類似性を示し、現代人やホモ=エレクトスとは異なっていました。そのため、フロレシエンシスはエレクトスよりも原始的な集団から進化したのではないか、とこの報告では推測されています。ただフロレシエンシスについては、全体的にエレクトスとの類似性が認められるとされているので(Brown et al.,2004)、フロレシエンシスと初期人類との類似性は、フロレシエンシスがエレクトスから小型化したさいに生じた、という可能性も考えられると思います。現時点でもっとも可能性が高そうなのは、これまでにたびたび述べてきたように、フロレシエンシスがエレクトスとハビリスの中間的な集団の子孫だということで、そうだとすると、フロレシエンシスと初期人類との類似性も説明しやすいのではないか、と思います。


参考文献:
Brown P. et al.(2004): A new small-bodied hominin from the Late Pleistocene of Flores, Indonesia. Nature, 431, 1055-1061.
http://dx.doi.org/10.1038/nature02999

Richmond BG, and Jungers WL.(2008A): Orrorin tugenensis Femoral Morphology and the Evolution of Hominin Bipedalism. Science, 319, 5870, 1662-1665.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1154197
関連記事

Richmond BG, and Jungers WL.(2008B): What does the proximal femur tell us about the evolution of bipedalism over the past six million years? The 77th Annual Meeting of the AAPA.

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック