人類のミトコンドリアDNAの変異率

 人類のミトコンドリアDNAの変異率について論じた研究(Zhang et al., 2009)が公表されました。正直なところ、私の学識ではじゅうぶんに理解できたとは言いがたいので、今後精読する必要があるとは思いますが、とりあえず、現在自分が理解している範囲内で、ごく簡単にこの研究の主張を述べていきます。

 人類の系統とチンパンジーの系統との分岐年代は500万年前頃というのが、分子遺伝学の分野では有力な説だったのですが、20世紀末~21世紀初頭にかけて、700~560万年前頃の人類の系統と考えられる化石が相次いで発見されたため、分子遺伝学と形質人類学・分岐系統学との見解の相違が問題になっていました。

 考古学的データも用いたこの研究では、人類の系統のミトコンドリアDNAの突然変異率が、年代によって大きく異なることが示されています(600~5万年前と、5万年前以降)。これは、人口規模の違いと、それに関連した瓶首効果の有無によって説明可能となります。こうした提案により、分子遺伝学と形質人類学・分岐系統学とのこれまでの見解の相違を説明することが可能になるかもしれません。今後、このような観点から、人類とチンパンジーの系統の分岐年代、さらには現生人類とネアンデルタール人との分岐年代について、研究が進展することを期待しています。


参考文献:
Henn BM. et al.(2009): Characterizing the Time-Dependency of Human Mitochondrial DNA Mutation Rate Estimates. Molecular Biology and Evolution, 26, 1, 217-230.
http://dx.doi.org/10.1093/molbev/msn244

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