大河ドラマ『風と雲と虹と』第40回「夜襲」

 承平7年(937年)11月11日、富士山が大噴火を起こし、火雷天神のお告げに多くの人が説得力を感じ始めます。 将門たちも富士山の噴火を見ており、員経は神の意思を信じないわけにはいかないと言い、良子は、神がまた老女の口から何か語ったら、それが実現するのだろうか、と言って恐れます。将門は、神には神の意思があるだろうが、人には人の心と意思があり、我々は自らの心と意思に忠実に生きるしかない、と言います。将門が恐れているのは、神の意思ではなく、降り積もった火山灰が農作物の害になるのではないか、ということでした。将門は、このような時に良兼や良将も攻めてはこないだろうと考えて、郎党たちを各自の所領に帰します。岡崎の砦には将頼が赴き、石井の館には、30人残そうという将頼の進言を退けて、将門は10人ほど残すことにします。

 富士山噴火の噂は、半月ほど後には伊予に届きました。その情報をもたらしたのは中央から派遣された巡検使で、伊予の大津の館にいる純友の動向を探りに来ていました。巡検使は、純友は依然として伊予掾なのに、なぜ国府には行かず、大津に留まっているのだ、と探りを入れます。純友は、伊予守の紀淑人はなかなか立派な方で、海賊の多くは喜んで帰順したので、この一帯の海はいたって平穏なのだ、と言います。しかし役人は、それはうわべのことであり、都の高官たちも心を許していない、と反論します。さらに役人は、紀淑人のやり方にも批判があり、公の目的は言うまでもなく、海賊どもをことごとく叩き潰すことだ、と言います。

 それが巡検使たる貴殿の目的か、と純友に問われた巡検使は、慌てて否定し、自分は色々と見回ってくるのが目的だ、と取り繕います。すると純友は、自分がなぜ国府に出仕せず、大津にいるのか、調べたいのですか、と尋ねます。巡検使は誤魔化そうとしますが、純友は構わず話を続けます。純友は、紀淑人は立派な人物だが、一人立派な人物がいたところで、この国の歪んだ柱が立ち直るわけではない、と言います。さらに純友は、私は海賊の仲間になり、海賊大将軍と呼ばれたが、私は今でもそのことを誇りに思っており、その自分を朝廷はなおも伊予掾として認めようとしているのだから面白い、と言って笑います。

 純友は、私は今なお海賊の仲間かもしれませんぞ、と強い口調で言い、巡検使の従者は刀を抜こうと身構えますが、純友はすぐに、冗談だと言って笑い、巡検使は安堵します。巡検使を演じたのは山田康雄氏で、声がいかにもルパン三世だなあ、と改めて思います。巡検使のもてなしを終えた純友は、武蔵と自分の息子の重太丸のいる寝室へと向かいます。武蔵は重太丸を寝かしつけていました。武蔵は純友にすがりつき、二人は3年の空白にもかかわらず、互いに相手のことを想い続けていたのでした。

 藤太の館では、武蔵がもう伊予に着いたか、藤太が気にかけていました。それを聞いた郎党の佐野八郎は、なぜ武蔵を引き留めなかったのだ、と尋ねます。しかし藤太は、武蔵には純友という惚れ抜いた男がいるのだから、とあっさり退けます。藤太は、富士山の噴火も静まり、火山灰の始末もあらかたすんだ今、この坂東でそろそろ何かが起きそうな気がする、と言います。しかし八郎は、良兼・良正・源扶らは、将門が堂々と決戦を挑んだにもかかわらず逃げ回るばかりで、坂東武者ならば恥じて人前に姿を現すことができないはずで、もはや何をする気力もないだろう、と言います。ところが藤太は、分からないな、と言います。藤太は、世の中の奥深いところで取り返しのつかない何かが変わっていきつつある、それを正しく捉える者こそ坂東の主だ、と言います。八郎は、殿にはやはり大望があるのか、と尋ねますが、迂闊なことを申すと許さぬ、と八郎を一喝し、笑いながら部屋を出て行きます。

 承平7年の暮、将門の下人の小春丸は恋人のところへ向かう途中、良兼の郎党の蓮沼五郎に捕まります。そこには、将門を倒すには将門の隙をつく奇襲しかない、と考えている良兼がいました。良兼は、小春丸の健脚と正直さを誉め、自分であれば、郎党に取り立てるのだが、と言って小春丸を浮かれさせます。郎党から小春丸の処置を尋ねられた良兼は、自分たちの勢力圏にいる女性を、たかが将門の下人の分際で夜毎訪ねて行くとは憎い、極刑に処せ、と命じます。小春丸はすっかり動揺し、泣き喚きます。その場には、扶もいました。良兼は、少人数でもよいので、石井の館を急襲し、将門を討ち取ろうと考えており、そのために、石井の館を詳しく知ろうとして、小春丸を利用しようとしたのでした。

 やがて小春丸の恋人も連れてこられ、良兼に味方するよう必死に説得します。小春丸の恋人は、良兼から絹を与えられるなど、良兼にすっかり篭絡されていました。小春丸は、一度は祖父の代からの将門の家の下人なので、と言って一旦は断りますが、恋人の説得と、郎党に取り立てられるとの約束から、良兼に従うことにします。小春丸は、郎党に取り立てるとの約束を良兼に迫るなど、軽薄な人柄ながらしたたかなところもあります。小春丸は岡崎の砦に帰され、岡崎から石井へと炭を運ぶ命を受けたとき、良兼の郎党らしき海老丸とともに行き、二人は石井の館の様子を探り、怪しまれながらも、なんとか使命を果たします。石井の館での会話から、小春丸の父に兄弟はなく、母は浮かれ人なので、身寄りの少ないことが分かります。玄明は二人を見かけたとき、海老丸の馬の乗り方が見事だったため、郎党ではないか、と疑います。

 石井の館では、火山灰の害への対策をいちはやく講じたことから、下総の国府の役人が将門に好意的であることが員経から報告されます。都から下総の国府に、良兼・良正・扶との合戦を報告するように指示がきていたが、これは良兼が自分たちに有利なように都への工作をしたためで、国府は事の真相を知っているから、将門に不利なような報告はしないが、念のために、人臣最高位の藤原忠平に手を打っておいたほうがよいのではないか、と国府の役人から聞いた話を員経は将門に伝えます。将門は、好意はありがたいが放置しておこう、都の人を頼る心も信じる気持ちもとっくになくなっている、と言います。

 玄明は馬に乗って石井の館を出ますが、石井の館へと向かう良兼・扶の80あまりの軍勢が、小春丸と海老丸の偵察のためにすでに石井の館の構造を熟知していることに気づき、直ちに石井の館に戻って将門に知らせます。良正は、病のためにこの奇襲には参加していません。将門は、少ない手勢ながらも迎撃準備を整え、ついに戦いが始まります。戦いは激しいものとなり、将門軍は数で大きく劣るために苦戦しますが、事前に奇襲を知っており、将門の武勇と玄明の活躍もあって、なんとか持ちこたえます。良兼は娘の良子のいる部屋へと入ろうとしますが、良子は手に槍(槍という言葉はこの時代にはまだないようですが)を持って良兼に向けます。将門軍は、さすがに少数だけあって苦戦し、将門もしだいに追い詰められていく、というところで今回は終了です。

 今回は、これまで登場の少なかった小春丸がじゅうような役割を担いましたが、これまでの登場場面でも、小春丸の軽薄な人柄と遠方に恋人がいることが描かれてきましたから、自然な話の展開になっています。このように、物語のうえでさほど重要ではない人物まで、しっかりと人物造形がなされているあたりが、この作品の良さだと思います。純友は久々の登場となりますが、最近はわりと平穏な日々を送っているようです。武蔵は、一途に純友を想い続けており、重太丸を可愛がる武蔵は、情に篤い人だと分かる描写になっています。藤太の人物像もじょじょに明らかになっており、藤太の威厳がよく表現されていたように思います。次回は、この夜襲を将門がどう切り抜けるのか、楽しみです。

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