大河ドラマ『風と雲と虹と』第46回「決断」

 反逆者とされてもかまわない、と決意した将門を、興世王が訪ねます。興世王は、武蔵権守を辞すつもりだ、武蔵守として着任してきた百済王貞連と反りが合わないということもあるが、公は自分と将門との関係を怪しんでいるからだ、と興世王は語ります。都から派遣された多治助実は、いかにも将門にとって物わかりの良さそうな顔をして帰京しただろうが、藤原忠平も含めて都の官人はいくつもの顔を持っているもので、一方では我々を信じているという顔を見せるが、もう一方では一度我々にかけた疑惑を解かないのだ、と興世王は言います。新任の武蔵守である百済王貞連は、自分をいっさい政務に関わらせようとしないが、自分も本心では民人をいじめたくないので、その方がありがたい、と興世王は言います。

 それでどうするつもりなのだ、と将門が尋ねると、分からないが、当分そなたの厄介になる、と興世王は答えます。将門は、今日は二人目の押しかけ居候だ、と笑って興世王を受け入れることにします。そのもう一人の居候である玄道が、不動倉を襲撃したことを、興世王はすでに知っていました。匿うつもりなのか、と興世王に訪ねられた将門が肯いたところ、大事になるから止めた方がよい、と興世王はいつになく真剣な表情で忠告します。しかし、将門の決意が固いことを見て取った興世王は、頼まれたら断れないそなたの気性は厄介だな、と言って笑います。

 不動倉を襲った玄道は、石井の館に匿われ、療養中でした。なぜ不動倉を襲ったのかと良子に尋ねられた玄道は、自分は今まで強請り・盗み・人攫いなどをしてきたが、民人をいたぶらないように心がけてきたし、意図せず民人に迷惑をかけても、できるだけ償ってきた、と答えます。自分は弱い者を苛めるのが大嫌いで、不動倉の襲撃もその続きのことなのだが、将門には迷惑をかけたくない、歩けるようになったらすぐに出て行く、と玄道は言います。

 将門が玄道を匿っているらしいということはすでに知れ渡っているようで、下総の国府の役人が石井の館を訪れ、玄道を差し出すよう将門に言います。しかし将門は、当家にはいない、と答えます。下総の役人は、常陸のことなのであまり関わり合いたくないようで、あっさりと引き下がります。員経は、将門が玄道を匿っていることを口外しないよう興世王に頼みますが、玄道・玄明兄弟(血のつながりはありませんが)と将門の親しさは周知のことなので、もう知られているだろう、やがて、常陸国府と将門は正面衝突するだろう、面白い、と言います。武蔵の国司をも従わせた将門が、今度は常陸の国司をも従わせたら、公の権威が通用しないことが広く知れ渡る、思いのほか早く自分の出番が来そうだな、と言って興世王は笑います。

 石井の館を将門の弟の将平が訪ねていましたが、将平は民人の「かや」と親しげにしています。良子は、将平が「かや」のことを好きなのだ、と察していました。「かや」の父は陸奥から下総にやって来ました。将平は、都が好きになれなかった、と言い、父の良将は都の生まれで、母は板東の生まれだが、母の里には「かや」の父のように陸奥の人も百済から来た人もいて、さまざまな血が混じり合っており、これが板東人なのだ、私も「かや」も板東人だ、と語ります。

 その夜、玄道の安否を気遣い、武蔵と螻蛄婆が石井の館を訪ねます。将門は、都で遭遇した初めての盗賊が武蔵だったことを知ります。将門は武蔵の配下の季光を討ち取ったことに言及しますが、季光の兄の季重も今では将門を恨んではいない、と武蔵は言います。将門は、武蔵と玄明が姉弟で武芝の子あることの縁の不思議さを語り、玄明は、今は常陸の国府から目をつけられているので、暇になったら武蔵とともに武芝の館を訪れるつもりだ、と言います。螻蛄婆は、常陸の国司の惟幾は臆病者だが、その息子の為憲がいきり立っている、と言います。療養中の玄道は、自分のために申し訳ない、と将門に詫びますが、そんなことより早く元気になれ、と言います。玄道が玄明に、姉ができてよかったな、自分は弟を失ったが、と言うと、兄はやはり兄だ、と玄明は言います。玄明がいつものように笛を吹いていると、武蔵・玄道姉弟も傀儡の女の子ならば、自分と同じように海の向こうの人の血を引いているのではないか、その笛の音がその証だ、と螻蛄婆は言います。螻蛄婆と武蔵は、玄明の笛の音に合わせて踊り、将門は楽しげにその様子を見ています。

 常陸国司の惟幾は、将門が玄道を匿っていない、との下総国府の役人からの報告を受け、とくに反応を示しませんが、惟幾の息子の為憲は、下総国府に頼むからだめなのだ、常陸国府が直接調べねば、と強気な姿勢を崩さず、常陸国府から将門へ使者を送り、将門が玄道とその一味を引っ立てて来るように言え、と常陸目に指示します。常陸目がためらっていると、目自身が使者として石井の館に行け、と為憲は命じます。惟幾は、あまり事を荒立てないよう為憲を諭しますが、為憲はあくまでも強気で、兵4000を集めようとします。惟幾は、朝廷の命もあり以前から兵を集めてはいるが、まだほとんど集まっていない、と言いますが、それは父上が手緩いからだ、威をもって事に当たればよい、と為憲は強気な姿勢を崩しません。兵4000を集める目的を惟幾から問われた為憲は、将門といえども反逆人を追捕する国府の軍に刃向かうことはしないだろうが、多勢でなければ侮られるのだ、と言います。誰が4000もの大軍の指揮をとるのだ、と惟幾に尋ねられた為憲は、自分が将になろう、と答えます。為憲は、将門を従わせることで武名をあげようと考えていました。為憲には実戦経験がなく、為憲は貞盛を副将にしようと考えていました。

 常陸目が石井の館を訪ね、将門は常陸国府からの書状を受け取ります。その書状には、玄道・玄明を捕らえて差し出せ、さもなくば容赦しない、とありました。玄明・玄道を差し出すつもりはない、と言う将門にたいして、大事になるぞ、と将頼は忠告します。玄道・玄明をかばっても得にてならないことは承知しているが、自分は利を捨てて義をとる、と将門は言います。そこへ興世王が現れ、どうするのだ、と尋ねます。従えないと常陸国府に返書を出す、と将門が答えると、それはまずい、と興世王は言います。いずれはそこまで行かねばならないかもしれないが、初めから喧嘩腰ではよくない、と興世王は言います。玄道・玄明の行方は不明だが、見つけたら報告する、と常陸国府に返答したらどうだ、と興世王は進言します。常陸国府でも調べはつけているだろうから、見え透いた嘘ということになろう、と員経は言いますが、官人にとって礼儀とは嘘なのだ、と興世王は言い、将門も興世王の進言を採用することにします。

 将門と常陸国府との書面による押し問答は数回にわたって行われ、その状況は藤太の知るところともなりました。藤太の郎党の八郎は、将門と常陸国府との衝突は起きないだろう、との見通しを述べます。しかし藤太は、将門が自分の思う通りの男なら、衝突が起きるな、と言います。書面による押し問答が数回続いた後、興世王は返答の内容を変えるよう、将門に進言します。その内容とは、かねてより探していた玄道・玄明が自ら名乗って出てきて、前非を悔い、心より許しを願っているので、将門に免じて罪を許していただきたい、将来のことは自分が引き受けて再び罪を犯させない、というものでした。その返書で常陸国府が納得するでしょうか、と問われた興世王は、常陸国府が納得するわけはないが、将門が板東一の武者だからこれでよいのだ、と言います。将門は興世王の進言を採用し、常陸国府に返書を届けます。この返書に惟幾もさすがに激怒し、為憲はいよいよ力をもって将門を従わせよう、とのかねてよりの自分の策を実行することにします。

 常陸国府には貞盛が来ており、貞盛は、将門と戦うことは無謀だ、と為憲を諫めます。惟幾は、大軍でもって常陸国府の決意・公の威を示し、戦わずして将門を従わせようとしているのだ、と為憲をかばいます。貞盛は、それならば分からないでもないが、この策では見落としている点、惟幾・為憲が見つけようとしても見つけられない点がある、と指摘します。それは、武器をもって大勢が集まると、普段はおとなしい人間が勇敢になり、普段は勇敢な人間が浮き足立つと臆病になる、というものでした。何を言いたいのだ、と為憲に訊かれた貞盛は、自分はそのような実例を多く見てきた、合戦にはしないつもりでも、何が起きるか分からない、と答えます。それでもよいではないか、我々は公の兵だ、豪族同士の戦ではない、と為憲は立ち上がって言います。かつて将門が、祖父や父の像に恐れをなして敗走したと聞くが、我々は公の尊厳を後ろ盾としているのだ、と強気な姿勢を崩せません。我々に逆らえば将門は反逆者なのだ、これでも自分を無謀と言うのか、と為憲は貞盛を強く問い詰めます。貞盛は、慄然とする思いで将門のことを考えていました。将門は、玄道・玄明を庇おうと決意すれば、国家への反逆だとしても、それを貫くだろう、と貞盛は考えていました。為憲は、強制的に常陸国内から兵4000を集めましたが、これにより常陸国府は民人からますます怨まれることになりました。貞盛は、惟幾・為憲に逆らっては生きてさえいけない現状を認識しており、不本意ながらも為憲の策に従うことにします。

 将門は、貞盛が常陸国府の軍に加わったことを清忠から知らされます。農繁期を過ぎたとはいえ、不作だった常陸国での徴兵で民人はいっそう疲弊しただろう、と将門たちは案じます。将門は、4000もの兵が下総に来たらそれだけで下総は荒らされるので、自ら打って出よう、すぐに集められるだけの兵でよい、と言います。興世王は、その前にもう一度常陸国府に書状を送り、玄道・玄明の赦免の件はどうなったか、問い合わせるのがよい、当然、返事は来ないだろうが、その返事を聞くために常陸国府へ赴くのだ、ということにすればよい、と進言します。将門は、玄道・玄明の赦免の件について常陸国府に使者を送り、嘆願のためだけに赴くのであり、他意はない、と伝えることにします。将門は、その使者に清忠を指名します。将門は、どう手を尽くしても戦になるだろう、と覚悟していました。戦になることを面白がっている興世王にたいして、戦うのはあなたではないからな、と将門はからかい、他の郎党たちも笑います。

 将門は、自分は合戦を好まないが、国府・公には我慢がならない、と言います。将門が、玄明たちが不動倉を襲撃したことでどれだけ常陸の民人の心を汲んだことなのか分からない、と言うと、自分にも分からないし、知る術はないのかもしれないが、穀物を分け与えた民人たちは喜んでいた、と玄明は言います。将門は、それでよい、正しかったのだ、公の法を犯したのは、公の法では民人は生きてはいけない、常陸のことはやがて下総のことだ、他の人は知らないが、自分は引くわけにはいかない、と力強く言います。ともかく、一足踏み出してみよう、と笑って言う将門に、郎等たちも力強く応えます。

 今回、いよいよ将門は反逆者としての道を歩んでいくことになります。これは自然な展開になっており、違和感がありません。惟幾・為憲父子は対照的でなかなか面白く、いかにもといった感じの小物ではありますが、しっかりと人物造形がなされていると思います。興世王は、都から来た新参者で奇矯な性格をしているということもあり、将門家に馴染めていないところがよく表現できていると思います。藤太は、将門にかつての自分を見いだしているということもあって、将門の行動が読めているようです。今回の藤太の登場場面はわずかだったのですが、印象に残りました。

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