シリア、デデリエ洞窟の先史人類学的発掘

 2010~2014年にかけて、科学研究費補助金「新学術領域研究」の一環で、「ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究」と題して、ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)とホモ=サピエンス(現生人類)の「交替劇」についての研究が行われることはこのブログで取り上げましたが、
http://sicambre.at.webry.info/201101/article_19.html
この研究計画および平成21年度高知工科大学学長プロジェクト共同研究費「博物資 源工学による脳と知の共進化に関する実証的研究」の成果の一部として、「シリア、デデリエ洞窟の先史人類学的発掘─2009年度調査報告」が公表されました。

 この報告では、2009年までのデデリエ洞窟の研究成果が記述されていますが、「予備的」という表現が見えるように、まだ明らかではないことも多く残されています。しかし、この報告を読むと、更新世後期~末期の人類の様相を研究するうえで、デデリエ洞窟が大いに貢献しそうなことがよく分かり、今後の研究の進展が大いに期待されます。この報告で指摘されていますが、下部旧石器時代末期のレヴァントは、その前の時代がアシューリアン、その後の時代がムステリアンという単一のインダストリーに席巻されているのにたいして、ヤブルディアンなど複数のインダストリーが混在しているのが大きな特徴となっています。レヴァントではこの時期の良好な人類化石が発見されていないので、この状況を的確に説明するのは現時点では困難なのですが、デデリエ洞窟の石器研究では、その出土状況からヤブルディアンの正確な定義が可能になりそうとのことで、他の下部旧石器時代末期のインダストリーとの比較への道を切り拓くのではないか、と期待しています。


参考文献:
西秋良宏他(2010)「シリア、デデリエ洞窟の先史人類学的発掘─2009年度調査報告」『高知工科大学紀要』第7巻第1号、P57-69
http://hdl.handle.net/10173/530

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