さかのぼるドマニシ遺跡の年代

 ドマニシ遺跡で発見された石器の年代についての研究(Ferring et al., 2011)が報道(Kaplan., 2011)されました。この研究では、ドマニシ遺跡で発見された、剥片を主体とした122個の石器の年代が、考古学・地理学的証拠により185万年前からすぐ後のことだった、と推定され、177万年前頃とされていたドマニシにおける人類の痕跡が、さらにさかのぼることが指摘されています。さらにこの研究では、185~178万年前頃にかけて、ドマニシ遺跡には人類が繰り返し居住していたことも指摘されています。

 こうしたことからこの研究では、ホモ=エレクトスがアフリカ東部の化石記録に現れる前に、人類はユーラシアに進出していただろう、と指摘されています。上記報道ではさらに、エレクトスはアフリカで進化し、ユーラシア各地へ拡散した、という長年の通説の見直しも提言されており、エレクトスの起源地がアフリカではなくユーラシアである可能性も言及されています。ただ、アフリカ東部の化石記録に現れる前、との指摘もあるように、アフリカにおける最初期のエレクトス(もしくはエルガスター)の年代については、現時点での証拠を前提としていますし、そもそも、どの化石をエレクトスと認定とするかについても、確固たる共通合意が存在しているとは言い難いでしょう。

 今後、アフリカで200万年前近くまでさかのぼる、異論の余地のほとんどないエレクトス化石が発見される可能性は低くないでしょうし、おそらく、エレクトスがアフリカで進化した、との見解が通説の地位を失うこともないだろう、と思います。とはいえ、人類の拡散は異論の余地のないエレクトスの出現以降のこと、という通説を覆したという意味で、ドマニシ遺跡はきわめて重要だと思います。原始的特徴と派生的特徴が混在するドマニシ人は、ホモ=ハビリス(あるいはアウストラロピテクス=ハビリス)と分類されている人骨群の一部からエレクトスの祖先が分岐した後に、エレクトスへと進化する途中で、エレクトスとの共通祖先から分岐した集団なのだろう、と私は現時点では考えています。また、このドマニシ人もしくはその近縁集団が、ホモ=フロレシエンシスの祖先だった可能性もあるだろう、と思います。



参考文献:
Ferring R. et al.(2011): Earliest human occupations at Dmanisi (Georgian Caucasus) dated to 1.85–1.78 Ma. PNAS, 108, 26, 10432-10436.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1106638108

Kaplan M.(2011): Human ancestors in Eurasia earlier than thought. Nature.
http://dx.doi.org/10.1038/news.2011.350

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