アフリカ東部における中期石器時代~後期石器時代の移行期の年代

 アフリカ東部における中期石器時代~後期石器時代の移行期の年代についての研究(Gliganic et al., 2012)の要約を読みました。この研究では、タンザニア北部のMumba岩陰遺跡の新たな年代測定結果が報告されています。Mumba岩陰遺跡の年代は中期石器時代~後期石器時代で、アフリカ東部のこの時期のインダストリーの変遷の典型例を示しているとも言える重要な遺跡です。しかし、1930年代以降70年以上にわたって発掘されてきたものの、1980年代以降に以前よりもさらに発達した新たな年代測定法に基づく調査は進んでおらず、具体的な年代については曖昧なところもありました。

 この研究では、Mumba岩陰遺跡の中期石器時代および後期石器時代の堆積物に含まれる石英と長石が、光ルミネッセンス法および赤外光ルミネッセンス法により年代測定されました。その結果、Kiseleインダストリーのもっとも新しい層(VI-A層)が63400±5700年前で、Mumbaインダストリーの最初の層(V層)は56900±4800年前となります。もっとも新しいMumbaインダストリーは49100±4300年前となり、Mumbaインダストリーには駝鳥の卵殻製ビーズと豊富な細石器が見られます。この後のNasera インダストリー(III層)には豊富な駝鳥の卵殻製ビーズが見られ、その年代は36800±3400年前となります。

 アフリカ東部における中期石器時代~後期石器時代の移行期の年代について、この研究のMumba岩陰遺跡のような事例を蓄積して比較していくことで、その具体的様相をさらに詳しく復元できるようになることが期待されます。この問題は、かつては現代的行動の起源をめぐる議論と関連していましたが、現代的行動の起源が後期石器時代にあるとする見解はさすがにもう厳しいでしょう。今後は、後期石器時代になって人口が増加したのか、人類がそれ以前よりも広範に拡散していったのか、「社会的発展」があったのか、またあったとしてその具体的様相はどのようなものだったのか、という点が主要な関心になるように思います。


参考文献:
Gliganic LA. et al.(2012): New ages for Middle and Later Stone Age deposits at Mumba rockshelter, Tanzania: Optically stimulated luminescence dating of quartz and feldspar grains. Journal of Human Evolution, 62, 4, 533–547.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2012.02.004

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