青山和夫『マヤ文明―密林に栄えた石器文化』(岩波書店)

 まだ日付は変わっていないのですが、3月20日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、2012年4月に刊行されました。マヤ文明については、「世界史上まれにみる神秘的でユニークな謎の文明」との見解が今でも一般には根強そうで、そうした「偏見」の是正も、本書の執筆意図になっているようです。じっさい、日本ではそれほどでもなかったようですが、マヤ暦と終末思想を結びつけた言説が世界全体では一定以上の影響力を有したようですから、著者の懸念は杞憂というわけでもなさそうです。本書でも、マヤ文明の暦についての説明で、マヤ暦を根拠とする「終末予言」が的外れであることが指摘されています。

 そうした執筆意図のある本書では、マヤ文明についての「謎」の多くが現在の研究水準では誤解であり、マヤ文明の独自性とともに、マヤ文明が他の文明と比較の対象になるような共通要素を持つことが強調されています。また、マヤ文明の多様性が強調されているのも本書の特徴で、低地の熱帯密林地域や高地帯など多様な環境でマヤ文明は栄えたのであり、それゆえに、急激にマヤ文明が衰退したという俗説も批判されており、マヤ低地の南部地域が古典期末に衰退する一方で、北部地域が繁栄したことが指摘されています。本書は、現在の研究水準に基づくマヤ文明についての解説となっていて、新書としてはなかなかの良書ではないか、と思います。

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