現代人のような手の形態の起源

 まだ日付は変わっていないのですが、1月23日分の記事として2本掲載しておきます(その一)。人類の手の形態に関する研究(Ward et al., 2014)の要約を読みました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究では、ケニアのカイティオ(Kaitio)で新たに発見された、142万年前頃の人類の第三中手骨が分析・比較されています。この第三中手骨が貴重なのは、人類の手の化石の空白期間を埋めるからです。人類の手の化石は、アウストラロピテクス=ラミダスとアウストラロピテクス=セディバの比較的完全なものと、アウストラロピテクス=アファレンシスの部分的なものが発見されています。

 ネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ=サピエンス)をはじめとして、後期ホモ属の手の化石も発見されていますが、180万~80万年前頃の人類の手の化石は欠けていました。この期間にアシューリアン(アシュール文化)が出現し、拡散しています。現代人も含めて中期更新世以降の人類は、親指・手首・放射状手根中手骨関節の派生的特徴一揃いを共有していますが、それらは初期人類には著しく欠けています。そこで、こうした派生的特徴が人類の進化においていつ出現したのか、議論になっています。

 この研究は、第三中手骨の派生的特徴が142万年前頃のカイティオ人にも見られることを指摘し、現代人のような手の派生的特徴は、ホモ属の進化の初期、おそらくは広義のホモ=エレクトスにおいて出現したのではないか、と示唆しています。広義のエレクトスとは、アフリカの最初期の真正ホモ属をエルガスターと分類する見解もあることを考慮してのもので、エルガスターと分類されている人骨群もエレクトスに含めることを意味します。この研究でも言及されていますが、アシューリアンと手の派生的特徴との関係が気になるところです。アシューリアンの生産はアウストラロピテクス属の解剖学的構造では無理だったのか、今後の研究の進展により解明されることを期待しています。


参考文献:
Ward CV. et al.(2014): Early Pleistocene third metacarpal from Kenya and the evolution of modern human-like hand morphology. PNAS, 111, 1, 121–124.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1316014110

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