中国北部の170万~160万年前頃の人類

 取り上げるのが遅れましたが、中国北部の170万~160万年前頃の人類の痕跡についての研究(Ao et al., 2013)が公表されました。この研究では、中華人民共和国河北省陽原県の泥河湾盆地(The Nihewan Basin)にある上砂嘴(Shangshazui)遺跡の年代が測定されました。上砂嘴遺跡の人工物層の年代は、古地磁気層序法により170万~160万年前頃の年代と推定されました。この人工物層からは、段階1のオルドワンに似た石器が発見されています。

 上砂嘴遺跡の人工物層の新たな推定年代は、じゅうらいの推定年代よりかなり古くなります。じゅうらいは、年代がやや新しいということもあって、上砂嘴遺跡はあまり注目されていなかったそうです。しかし、この新たな推定年代により、上砂嘴遺跡は中国北部における人類最初の痕跡と位置づけられるわけで、重要な遺跡として今後注目を集めるでしょう。この新たな年代は、人類化石の発見された中国南部の元謀(Yuanmou)遺跡よりわずかに新しいということになります。

 上砂嘴遺跡では人骨の共伴はないものの、他の動物の化石は発見されています。その動物相の分析から、当時の泥河湾盆地は森林の点在する草原だったと推測されています。また、当時泥河湾盆地には湖が存在したことも明らかになっています。この研究では、更新世前期における人類の東アジアへの移住は、アフリカとユーラシアにおける寒冷化と乾燥化の結果ではないか、と示唆しています。上砂嘴遺跡の170万~160万年前頃の石器の担い手は明らかになっていませんが、ホモ=エレクトスか、たとえばドマニシ人のようなエレクトスよりも原始的特徴を有する人類集団なのかもしれません。


参考文献:
Ao H. et al.(2013): New evidence for early presence of hominids in North China. Scientific Reports, 3, 2403.
http://dx.doi.org/10.1038/srep02403

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