中部旧石器時代のケバラ人骨の見直し

 今日はもう1本掲載します。中部旧石器時代のケバラ人骨の見直しについて、2014年度アメリカ自然人類学会総会(関連記事)で報告されました(Tillier, and Arensburg., 2014)。この報告の要約はPDFファイルで読めます(P227)。現在のイスラエル領北部にあるカルメル山のケバラ洞窟では、20世紀半ばの発掘により、中部旧石器時代の層から人骨が発見されています。ケバラ洞窟で人類の痕跡は、64000~48000年前という長期にわたって確認されています。

 一般的に中部旧石器時代のケバラ人骨はネアンデルタール人(ホモ=ネアンデルターレンシス)と分類され、早期現生人類(ホモ=サピエンス)と対比されています。しかしこの報告では、中部旧石器時代ケバラ人骨には、原始的特徴・ヨーロッパのネアンデルタール人と共有される特徴だけではなく、「現代的」で「独特な」特徴も合わせて見られることから、南西アジアにおいては、ネアンデルタール人と早期現生人類という二分法よりもっと複雑な人類の分布状況があったのではないか、と強調されています。

 ケバラ人骨の位置づけの見直しは、大いに注目されます。前後の時代のネアンデルタール人や現生人類との比較を見直すことにより、新たな人類史の見通しが得られるかもしれません。また、レヴァントで発見された人骨なので難しそうではありますが、ミトコンドリアDNA、さらには核DNAが解析できれば、ひじょうに興味深い結果が得られそうです。もっとも、それは人類進化の見通しをさらに混沌とさせる可能性もありますが、それも古人類学の面白さと言うべきでしょう。


参考文献:
Tillier AM, and Arensburg B.(2014): What can we learn from the Levantine Mousterian Kebara hominins? The 83th Annual Meeting of the AAPA.

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