インド・ヨーロッパ語族の形成におけるコーカサスの狩猟採集民の遺伝的影響

 これは11月27日分の記事として掲載しておきます。現代のユーラシアの人類集団にコーカサスの狩猟採集民の遺伝的影響があることを明らかにした研究(Jones et al., 2015)が報道されました。この研究は、コーカサス地域の上部旧石器時代後期(13000年前頃)と中石器時代(9700年前頃)の人間のゲノム、およびスイスの上部旧石器時代後期(13700年前頃)の人間のゲノムを解析しました。現代ヨーロッパ人の形成には、ヨーロッパ西部の狩猟採集民、西アジアからの農耕民、西ヨーロッパに牧畜および冶金技術を伝えたヤムナヤ(Yamnaya)文化集団が重要な役割を果たした、と考えられています。

 この研究は、西ヨーロッパに青銅器時代を到来させたヤムナヤ文化集団が、東ヨーロッパの狩猟採集民集団とともに、コーカサス地域の狩猟採集民の遺伝的影響を大きく受けていることを明らかにしました。このコーカサス狩猟採集民集団は、45000年前頃にヨーロッパ西部の狩猟採集民集団と、最終氷期最盛期へと向かう25000年前頃の氷期に西アジアの農耕民の祖先集団と分岐し、孤立して氷期を生き延び、人口減少にともない遺伝的に比較的均質化していった、と推測されています。また、このコーカサス狩猟採集民の遺伝子は、インド・ヨーロッパ語族の拡大にともない、中央および南アジアにまで拡散した、と考えられています。


参考文献:
Jones ER. et al.(2015): Upper Palaeolithic genomes reveal deep roots of modern Eurasians. Nature Communications, 6, 8912.
http://dx.doi.org/10.1038/ncomms9912

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