本村凌二『ローマ帝国 人物列伝』

 祥伝社新書の一冊として、祥伝社より2016年5月に刊行されました。ローマ帝国の人物列伝とはいっても、共和政初期以降の人物が取り上げられており、ローマ史人物伝になっています。最後に取り上げられているのはアウグスティヌスで、西ローマ帝国の滅亡の半世紀ほど前までが対象となっています。本村氏らしく読みやすくて面白くなっており、本村氏の祥伝社新書のローマ通史(関連記事)を読んでおけば、ローマ史の初心者にもじゅうぶん分かりやすいと思います。

 本書は人物の事績・個性という観点からのローマ通史となっており、一都市国家からイタリア半島の覇者を経て、地中海とその周辺地域を征服した巨大帝国となり、軍人皇帝時代の混乱とその後の統一・分割統治を経て、やがて分裂・衰退していく、というローマ史の流れが分かりやすい構成になっていると思います。基本的には、政治・軍事で顕著な功績を残した人物が取り上げられていますが、中には、医師や宗教家と分類できるような人物や、ネロ帝のように悪評の定着している人物も取り上げられています。

 ネロ帝の他にも、悪評の定着している人物が取り上げられていますが、本書は、単にその悪評に則っているのではなく、同時代人からは意外と人気があったとか、後世の視点からは先見性が認められるなど、多面的な評価を提示しています。これは、評価の高い人物に関しても同様で、その所業や人格などに問題点があるような場合には、しっかりと指摘されています。短い人物列伝とはいっても、単純な人物評ではないところが、本書の魅力になっていると思います。

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