遺伝的に決定されている鳴禽類の音楽の好み

 これは6月29日分の記事として掲載しておきます。鳴禽類の音楽の好みに関する研究(Wheatcroft, and Qvarnström., 2017)が公表されました。鳴禽類は、同種と近縁種のさえずりをヒナのうちから聞き分けます。しかし、囀りの聞き分けの背後にあるメカニズムは未解明で、ヒナの時期の経験・母鳥の影響・遺伝的背景など、さまざまな要因の寄与が考えられていました。この研究は、バルト海のエーランド島にいるマダラヒタキとシロエリヒタキの巣の胚を交換し、ヒナが同種ではない鳥の成体に育てられた場合でも、自身の種の囀りの方に強く反応することを明らかにしました。これは、ヒナの時期の囀りの聞き分けがヒナの時期に聞いた囀りに依存するわけではないことを示唆しています。

 さらにこの研究は、その2種を交雑させて雑種を生み出し、雑種のヒナが、母鳥がどちらの種であるかによらず、マダラヒタキの囀りの方によく反応することを明らかにしました。これは、ヒナの時期の囀りの聞き分けが遺伝的に決定づけられており、母鳥の種からの強い影響に依存するわけではないことを示しています。このヒタキ類の囀りの聞き分けに関する遺伝基盤は、地理的生息範囲が重複するそのような近縁種の遺伝的分岐を示すとともに、別の新たな種の形成で囀りの聞き分けが果たす潜在的な役割を示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


鳴禽類には遺伝的な音楽の好みがある

 2種のヒタキ科鳥類に関する今週の掲載論文によれば、鳴禽類が若いうちに鳥のさえずりの違いを聞き分ける能力は、遺伝的に決定付けられているのだという。

 鳴禽類は、同種と近縁種のさえずりをヒナのうちから聞き分ける。しかし、さえずりの聞き分けの背後にあるメカニズムは知られておらず、ヒナの時期の経験や母鳥の影響、遺伝的背景など、さまざまな要因の寄与が考えられる。

 David WheatcroftとAnna Qvarnstromは、マダラヒタキとシロエリヒタキの巣の胚を交換した。この2種は、バルト海のエーランド島にみられる鳴禽類である。著者たちは、ヒナが、同種でない鳥の成体に育てられた場合であっても、自分自身の種のさえずりの方に強く反応することを発見した。このことは、ヒナの時期のさえずりの聞き分けがヒナの時期に聞いたさえずりに依存するわけではないことを示唆している。次に著者たちは、その2種を交雑させて雑種を生み出したところ、雑種のヒナは、母鳥がどちらの種であるかによらず、マダラヒタキのさえずりの方によく反応することを発見した。このことは、ヒナの時期のさえずりの聞き分けが遺伝的に決定付けられており、母鳥の種からの強い影響に依存するわけではないことを示している。

 このヒタキ類のさえずりの聞き分けに関する遺伝基盤は、地理的生息範囲が重複するそのような近縁種の遺伝的分岐を示すとともに、別の新たな種の形成でさえずりの聞き分けが果たす潜在的な役割を示唆している。



参考文献:
Wheatcroft D, and Qvarnström A.(2017): Genetic divergence of early song discrimination between two young songbird species. Nature Ecology & Evolution, 1, 0192.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0192

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック